ブログ 「ごまめの歯軋り」

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ES細胞の生命倫理

2007年02月21日 | 時事問題
asahi.com 2007年02月21日03時00分
捨てる卵子からES細胞 理研、マウスで成功

 体外受精で受精せず、ふつうは捨ててしまう卵子(非受精卵)を再利用し、クローン胚(はい)性幹細胞(ES細胞)をつくることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームがマウスで成功した。移植用の臓器などになりうるヒトES細胞をつくるためには女性から卵子の提供を受けなければならないが、入手が難しい。この方法がヒトに応用できれば、再生医療研究のすそ野が広がる。ES細胞は、人体のさまざまな組織になりうる「万能細胞」。患者本人の体細胞の核を抜き取って、卵子に移植し、クローンES細胞をつくることができれば、移植しても拒絶反応が起きない臓器や組織ができる可能性がある。

組織再生は期待し過ぎ 文部省研究費を貰う方便
この記事の前半はなにを言っているのか誤解を招く。この実験は終始マウスを使っている。「捨てる卵子からES細胞」は「まくら」にすぎない。研究者が研究費をもらう時にいつもやる手だ。簡単には出来もしない期待を持たせることにあって、夢に投資させようとする詐欺に近い。「望みの臓器が作れます」、「これで移植はしなくてすみます」なんて、何十年先か何百年先か分ったものではない。
マウスの研究をヒトに適用していいかどうかは生命倫理に関することである。日本ではヒト卵子を使用すること、治療的クローン胚は学会のガイドラインで禁止されている。ES細胞研究は行ってよい。つまりマウス研究はして良いがヒトへ適用する事は指針で禁止されている。したがってこの記事の前半はやってはいけないことを期待させるという点で犯罪的である。海外の状況はアメリカで禁止ではないが研究助成はしない(研究費が無くては研究できないので研究禁止に近い)、イギリスでは容認、フランス・ドイツでは禁止されている。