癌春(がんばる)日記 by 花sakag

2008年と2011年の2回の大腸癌手術
   ・・・克服の先に広がる新たな春を生きがいに・・・

熊野古道6日目(小辺路)・請川~熊野本宮大社~十津川温泉〈18km〉

2014年05月24日 | 登山・旅行
《天空の郷・果無集落と世界遺産を刻んだ石》

いよいよ今日から小辺路に入る。熊野本宮と高野山の二大聖地を結ぶ70kmの道である。1000mを越える4つの峠を越える熊野古道で最も険しい道とされている。

中世の天皇や皇族の行幸から始まった熊野詣でだが、彼等はこの小辺路はあまりにも険しくて利用していない。近世になって一般民衆の熊野詣でや西国三十三ヶ所巡りに頻繁に利用されるようになったとのこと。

距離的には2泊3日で歩けるのだが、その記録はほとんどテント泊だ。宿泊まりでは、宿のある集落の関係で、3泊4日にならざるを得ないようだ。

5:30、お茶のセットも湯沸かしポットも座布団もない侘しい部屋でパンとジュースだけの朝食を済ませて、早々にスタートしようとしたら、主人が握りたての温かくて大きな梅ジソおにぎりを持たしてくれた。悶々としていただけにとてもうれしかった。これで少し加点となった。それを食べながら国道を歩いて本宮大社へ向かった。


4日前に下りてきた熊野本宮大社の表参道の階段を登り、裏鳥居から出て、中辺路と小辺路の分岐の三軒茶屋まで同じ道を辿る。


やがて国道に出る。「道の駅ほんぐう」でのんびり休憩。目の前の熊野川の向こうにこの後越えなくてはならない果無山脈が見える。

8:10、さらに国道を歩き、果無峠への登り口の八木尾に到着。

《大ハプニング発生!》
そこを携帯で写そうと思ったら、財布や携帯電話などの入ったウエストポーチがない。道の駅のトイレに忘れたらしい。慌てて戻ったがどこにもない。道の駅はまだ開いてない。

お金もないので電話も掛けれない。一縷の望みは親切な人が警察へ届けてくれていることだけ。もし届いてかなったら一銭もないので動きようがない。とりあえず、お先真っ暗な気持ちで近くの派出所へ行ったが留守だった。警察電話が使えるので、とりあえず110番へ。事情を話したら、関係する交番へ問い合わせてくれた。

なんと、本宮の交番に届いているとのこと。「助かった~!」道の駅に戻ってバス賃を借りようとしたら、交番まで車で送ってくれた。

届けてくれた人は、旅行中の名古屋の方だった。謝礼も不要とのことだったが、警察から電話をかけてもらって、直接お礼の言葉を申し上げた。良い人に拾われて、感謝・感激!

交番から出たら、5分もしない内に道の駅まで行くバスが来た。道の駅から仕切り直しで八木尾まで戻った。


9:55、1時間45分遅れで、標高差960mの果無峠への急な石段の道に取り付く。


この登り口から十津川の降り口まで三十三観音の石仏が設置されている。それらを眺めながら登って行く。やはり、疲れはあるようだ。いつもより休む回数が多い。


やがて、展望が開け、左下に熊野川と県境の七色集落が見えた。


12:10、標高1060mの果無峠に到着。間もなく立て続けに3グループが反対側から到着し、にぎやかになった。

いよいよ十津川へ向かっての下りだ。自分が登って来たよりずっと斜度がきつそうな感じだ。


途中で北側の展望が広がる。眼下は十津川の流れと十津川の集落だが、その先の山並みは明日以降越える峠の山並みのようだ。一番奥の高い山並みは、2年越しで縦走した大峯山脈らしい。


石畳や石段の道も古道らしいか、長年歩き込まれて深く掘れた道も古道の雰囲気がある。

茶屋跡やそね茶屋が雨水だけで米を作ったという天水田を見ながら下って行く。


13:45、標高450m付近の尾根に位置する天空の郷・果無集落へ入って行く。畑仕事をしていた可愛いばあちゃんとお喋りをした。宿に着いたら、そのばあちゃんが写った十津川村の観光ポスター市がはられてびっくり!カツばあちゃんはこの村のスターらしい。

果無集落からの石畳のジグザグを切る道のあまりの急さに驚きながら下った。滅多に経験できない斜度である。あのカツばあちゃんも登り下りしたのだろう。

下りて、古道の接続点となるつり橋の柳本橋まで行ってみた。幅広で両側に掴まることができない上に凄く揺れて、自分にはとても渡れそうもない。対岸へは国道からも行けそうなので、明日はそうすることに決めて、十津川温泉街の方へ戻った。


十津川沿いの温泉街は落ち着いた風情だ。


今日の宿は、「温泉民宿やまとや」。部屋はとてもきれいな8畳間。ありとあらゆるものが揃っている。これが普通。昨夜は酷すぎた。


特に温泉棟が凄かった。昨秋に建て替えたという真新しい総ヒノキ造りの建物で、浴槽も広くて源泉掛け流しに大満足。何度でも入りたくなる。


夕食は、同じ経営のドライブインで、その店の名物の釜飯がメインだった。とても美味かった。

今日の所要時間は、ハプニングに費やした時間を除いて、6時間10分だった。

それにしても、ウエストポーチが盗まれていたら、カード類も全てなので、今頃どうしていたのだろうか?警察でお金を借りてでも旅は続けるつもりだったが…。同じことを繰り返さないためにも対策を講じなければならない。