つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

山口薫

2018年03月04日 | 山口薫

無事に展覧会の初日を終えることが出来ました。

他の画廊さんの展覧会でしたら、1日に何十人、何百人もいらっしゃることもあるのでしょうけれど、私達の展覧会は1日に10人もいらしてくだされば大盛況

ですから、昨日は大盛況の1日にとなりました(^^)v



さて、このふる草の会では合計25〜30点程の作品を展示させて頂いていますが、その中でも今回は山口薫の作品を3点飾らせて頂きました。



 

以前に、デッサン2点と油彩の柿をご紹介させて頂いていると思いますが、今回新しく入手いたしましたのは、「湖畔に飛ぶ影」という少し意味深なタイトルの作品です。

 


 


このタイトルで、しかもこうした構図の作品を描いた場合、普通はもっと画面全体が感傷的になり、観る側に圧力?お涙頂戴?的な要求をしてくるものです。

お若い方の作品にはよくありがちなことですね。

けれど、これだけ感傷的なタイトル、また鳥、羽ばたき、黒い影を描きながら、薫の作品にはその嫌味を感じることがありません。


金山のような「孤高」の格好良さはありませんが、そこには確かな「孤独と誇り」が感じられるのです。

たっぷりの詩情性と高い芸術性、或いは矜持というのでしょうか?これが薫の最大の魅力ではないでしょうか?

 




画面右側の鳥の視界に広がる風景、沼だと思いますが、、その幽玄は薫独特の色の美しさで表現されています。そして、何よりも、この画家の孤独と誇りは、鳥の羽の内側の線、外界と一線をひく広げた羽の線描と鳥が鳥たる美しさを保つ、首の線に見事に現れていると感じています。

「薫が好きですと言いながら、この作品に出会って、買わないで済ませることが出来なかった」というのが仕入れてきた際の、佐橋自身の最初の言葉でしたが、薫の何が好きかという答えは、確かにここによく表現されているように思います。

詩情ある作品には、ある種の厳しさと孤独に対する覚悟がなければ、その表現を観るものに納得させることは出来ません。

春爛漫の桜のころにあるのでなく、まだまだ寒いこの季節に雛祭りの1日があることに、嬉しさと美しさが感じられるのだと思います。

ふる草の会を3日に始めさせて頂いてよかったと思っています。

そして、昨日、以前の店からお通いくださるお客様方にこの薫をご覧いただけてよかったと感じています。

本日は2時から6時の営業となります。よろしければ、お立ち寄りくださいますようお願い申し上げます。

 

山口薫 キャンバス・油彩 8号 湖畔を飛ぶ影  1959年 キャンバス裏に作家サイン、タイトル

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ひな祭り | トップ | 次の記事へ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

山口薫」カテゴリの最新記事