つれづれ

名古屋市内の画廊・佐橋美術店のブログ

松方コレクション展と原三渓の美術展

2019年08月27日 | おススメの展覧会、美術館訪問

朝夕、随分と涼しくなって参りました。

 
日中との、この気温差に「秋」を感じておかないと、夏から冬に一足飛びになってしまうかもしれないなぁと感じます。
 
 
 
一昨日は日帰りで上京し上野の西洋美術館さんで開かれている「松方コレクション展」と横浜美術館さんで開かれている「原三渓の美術  伝説の大コレクション展」に伺いました。

2学期の始まりの早い地域では、夏休み最後の日曜日、上野も横浜もとても混雑していました。

こういう時は、人を見ないように。。気になる絵だけを見るように心がけて館内を歩きますが、両コレクションともに、作品数も圧巻の量ですので、なかなか疲れる鑑賞旅行となりました。


松方コレクションは、戦前、戦中、戦後にわたり、世界を舞台に繰り広げられた一大コレクションですので、1人のコレクターの個性や表現を楽しむというよりも、よくぞここまで集めていただきました!という感動の強い展覧会でした。




 
皆さまよくご存知のようにモネの睡蓮など世界の名画もこのコレクションには何点も含まれていますが、私達はやっぱりこれかな?
 
 


 
セザンヌの風景やゴッホの花、などコレクターサイズの作品に心惹かれました。
 
 
横浜美術館さんへはもう少し早く伺えばよかったのですが、9月1日までの会期ギリギリでの鑑賞になってしまいました。
 
近代日本絵画を扱うわたしどもにとっては、原三渓は画家たちのパトロン的な存在としての認識が大きいのですが、あらためてそのコレクションを眺めてみますと、やはりご本人が絵を描かれるということもあってか、コレクターとしての「目の高さ」に驚かされることばかりでした。
 
「安宅コレクションのように、鋭い切れ味を感じるコレクション」そうお伝えするとよろしいでしょうか?
 
 








 
平安から鎌倉〜室町時代の絵画コレクション、とくに室町時代の作品収集の層の厚さ、江戸期に入って、円山応挙、そして宮本武蔵の絵のうまさに驚き、これらの作品に対する原三渓の「感度」に感動を覚えました。
 
 


茶道具を選ぶ目も儚く、生家のある岐阜から上京、生糸貿易商家である原家に入籍、実業家としての成功と同時に始めたとされるコレクションの個性、表情の深さに原三渓70年の人生を感じます。
 
 
 


 
近代に至っては、やはりここでは私の好きな下村観山に触れるべきでしょうが、この今村紫紅の描く人物の素晴らしさに今回は軍配を上げざるを得ないように思います。
 
描かれた人物像を鑑賞し、今村紫紅はやはり人間的に優れた人だったのだと感心させられました。
 
 
画家に生まれ持っての才能があるのは当然ですが、コレクターにも生まれ持っての才能というものがあるのだと、このコレクションの全体を見渡して感じました。
 
財を築くこと、財を築いて美術品を買い求めること。
 
しかも一級の美術品を感じ、集めるセンス。
 
それは自分の生きる時代との縁にも関わることですが、原三渓はご自分に与えられた才能を遺憾なく発揮することの出来た人であったと思います。そして、その才能は人としての覚悟や決意によって満たされるものであったはずで、このコレクションに彼の誠意と努力を感じてこその展覧会であると思えました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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