顔真卿(がんしんけい)展―王義之を越えた名筆ーは東京上野の国立博物館さんで開催されています。
私達が伺ったのは日曜日でしたので、日本初公開の台北・国立故宮博物院の「祭姪文稿」には30分ほど待ち時間がありましたが、ほかの作品は割とスムーズに鑑賞することができました。
甲骨文に始まり、書の歴史の流れに沿っての展示でありましたので、顔真卿作品の時代的価値についてもよくわかることが出来ました。
絵画の展覧会と違って、一緒に並んでご覧になっている鑑賞者のみなさんから漏れ聞こえてくる会話が「これ臨書したわ~」「どうして先生はかなも漢字もいっぺんに学べっていうのかしら?」など❝書道を習っている人あるある❞でとても面白く感じました。
日本には書道をしている人が多いのだなぁとしみじみと感じ、また意外にも中国の方達がお子さんをつれてこの展覧会に多くいらっしゃっているのに驚きました。
中国でご覧になればよいのに、、と思っていると
なるほど中国の名筆は一時期日本人が多くを買い求め、その所蔵は現在も日本の美術館のものとなっていますので、幼いころから書道教育の盛んな中国の皆さんがご家族で日本旅行のついでにこの展覧会をご覧になりにいらっしゃるのだと合点がいきました。
あらためてそう考えてみますと故宮博物館の祭姪文稿の30分待ちの列に中国の方はほとんどいらっしゃいませんでした。
書は妹が長く学んできましたので、私の出番はないと思いずっとこの世界に触れることはありませんでした。
そして妹の文字の美しさ、華やかさには、きっと私が幼いころから学び続けても一生敵わなかっただろうと今も思っていますが、
私は紙に文字を書くことが大好きですので、筆と紙の感触を楽しみたいと思い直し、昨年から名古屋のお教室に通い始めました。
妹がファックスや郵送で送る私の文字を添削してくれた数年間もありましたので、お教室に通うことにもそう抵抗はありませんでした。
書道を初めて一番良かったのは、佐橋の鑑識眼の素晴らしさをあらためて実感できたことです。
佐橋も学生の頃長く書を習ったこともあるからだと思いますが、お手本の文字の構成、作者の筆意を見抜く力は抜群だと思え、我が夫を 初めて??尊敬致しました😆
書は全ての芸術の原初と言われますが、書を学ぶことによって、絵を観る力も養えてきているように感じます。
画面右から 王義之、 欧陽詢、顔真卿、小野道風
>美術品を集めるのはなぜだろう?
自分が綺麗だと思う物、好きな物をそばに置き一緒に暮らしたいから。
>綺麗な物ってなんだろう?
自分を支えるもの、自分の美意識が選ばせる物
>美意識?
全ての物に、私の心と目で美を見つける力。
石ころにも、流れる水にも、植物にも昆虫にも、書にも、音楽にも、スポーツにも、機械にも、嫌いなあの人の心にも、、そして心を無限に解き放つ力。
これからも絵画ばかりでなく、書の展覧会にも伺って参りたいと思います。