先日、愛宕山近くにある下河辺淳事務所「青い海」に足を運びました。NPO法人「フォーラム自治研究」の特別顧問として就任していただいている御大に、設立の認証の経過と登記完了の報告に伺ったものです。
開口一番、こう言われました。
「ところでここでいう自治とはなんですかね? だいたい自治省のような中央組織が存在する国に自治などというものがあるんでしょうか。自治省の言うことを具体化することが自治体の役割であるかのような、そんな事態になっています。おかしなことです」。
衰えることのない下河辺節の強烈な一つと受け止めながらも、日本社会における各自治体の閉塞状況を考えると、まさに正鵠を得た指摘と感じ入ったものでした。
下河辺御大は戦後日本の骨格をつくってきた人物です。国土総合開発から人生80年時代の過ごし方、あるいは文化・文明論に至るまで、この巨人の発言の深さには啓発されっぱなしであったように思います。それにもかかわらず、ゆったりと伝わってくる体温。私にとって、宝物のような存在です。