嶋津隆文オフィシャルブログ

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「ハエもトラもたたく」で思う陳希同北京市長の涙

2014年08月12日 | Weblog

「陳希同自叙伝」

習近平政権は先日、腐敗問題をめぐって「ハエもトラもたたく」とし、中国の元治安部門トップ、周永康(前党政治局常務委員)を拘束しました。

周は同じく収賄の罪に問われた重慶市の元トップ、薄煕来元政治局員の後ろ盾で江沢民元総書記に近いとされます。それだけに習近平政権と江沢民元総書記との全面戦争が始まったとの指摘もあります。

昨今のこのニュースは、私に20年前の北京市庁舎での光景を思い出させないわけには行きません、1994年、私は当時の鈴木俊一都知事に随行して友好都市である北京市を訪問しました。市長は陳希同であり党の中央政治局委員でもありました。鈴木知事との交流は長く、それだけに大きな歓迎を受けたものでした。

ところが別れに際し陳市長は、都知事を強くハグし、何と涙まで流したのです。少なくない関係者が囲む公の場です。その光景は唐突でもあり異様でもありました。

しかし帰国し、暫くして私たちにその涙の意味が分かります。市長は汚職審査を受けていた副市長の自殺で監督責任を取って辞任。本人も汚職容疑がかけられ、やがて懲役16年の実刑判決を受けることになったのです。

涙した陳市長はそうした自分の行く末への予感を持っていたに違いないのです。もう鈴木知事と生きて会うことはない。そう感じていたのでしょう。実際に陳氏はガン治療で保釈されるまでの10年間を牢で過ごし、その後数年して昨夏に他界しました。

陳氏は天安門事件を制圧した時に北京市長でもあり、それだけに権力を誇っていました。しかし前後して党総書記に抜擢された江沢民は、その「北京独立王国」を築いていた陳市長を徹底的に潰す策に出たのです。中国支配層における汚職容疑。それは明らかに権力抗争という言葉と同義といってよいようです。

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