嶋津隆文オフィシャルブログ

嶋津隆文オフィシャルブログ

健さんが残した、赤、白、そしてブルーの三色の時代

2014年11月26日 | Weblog

映画「あなたへ」

高倉健さんが逝きました。大俳優であれば誰もが健さんへの強い思い出を持つことでしょう。もちろん自分も団塊世代。例外ではありません。健さんは常に我らの傍にいたのです。

追悼番組でテレビ放映された主演映画を見ながら、ふと自分の中には3つの色の高倉健ワールドができていることに気付きます。赤と白とブルー。それは明らかに時代とともに形づくられているようです。

まずは赤。70年代前後であり、それは血の色といってよいかも知れません。「唐獅子牡丹」(1966年)であり「網走番外地」(1967年)、「死んで貰います」(1970年)といった健さんです。大学紛争の汗と催涙弾の臭いと絡む苦い思い出と重なります。

白は80年代前後です。吹き付ける吹雪のイメージであり、「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)、「八甲田山」(1977年)、「動乱」(1980年)、「駅station」(1981年)、「居酒屋兆治」(1983年)、そして「南極物語」(1983年)などが頭に浮かびます。浮かれたバブル期であっただけに一層その苛烈さが印象的であったのでしょう。

しかし平成に入ると大きくイメージが変わってきます。透き通った、あるいはくすんだブルーの彩りとなるのです。「ホタル」(2001年)、「単騎、千里を走る」(2005年)、そして最後の出演となった「あなたへ」(2012年)。それぞれに人や社会の深みを漂わせる海のブルー、空のブルーが脳裏に残る映画となっているのです。

こうした区分などいかほどの意味もないでしょう。しかし今こんな小さな作業を営むことが、自分なりのこの大俳優に対するせめてもの供養と思えるのです。そう、健さんは常に常に我らの傍にいてくれたからです。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする