嶋津隆文オフィシャルブログ

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第1回定例会で所信表明した私の田原市教育方針

2014年03月26日 | Weblog

田原市議会

昨日で田原市の第1回定例会が終わりました。規模の大小はあれ、自治体の議会でのやりとりは次年度の市政の基本方向を議論するだけに、執行機関も議会サイドにも様々な思惑が交錯するものです。田原市では今定例会から初めて市長だけでなく教育長の所信表明の場が設定されました。以下に私が教育長として述べた田原市の教育方針を掲載します。
  
平成26年度の田原市の教育方針と主要事業について述べさせていただきます。初めにこういった「場」を市議会の中でお許しいただいたことに感謝申し上げます。
(学校の再編)
さて今年度の初め、教育長に就任して愕然とした数字がございました。田原市における小学校入学が予想される児童の数の少なさです。例えば六連小7人、若戸小7人、亀山小4人、伊良湖小に至ってはたった1人という年度さえありました。
「小中学校の規模適正化」を図らねばならない。まずこれが私どもの改革の出発点でありました。早速に昨年4月に教育委員会として学校再編の基本方針を定め地元説明会を重ねて参りました。お蔭様で多くの人にご理解をいただき、和地、堀切、伊良湖の三小学校の統合が決まりました。野田中の田原中への統合も具体化しつつあり、また他の校区でも再編に向けた「学校を考える会」が発足しているところであります。
本議会では学校設置条例を改正し、伊良湖岬小学校の新設をお願いしているところですが、今後とも120人以下の小規模校の解消を図っていく所存であります。よろしくご理解のほどお願いいたします。

(いじめの防止)
次に取組みを強く決意しました課題がいじめ不登校問題です。
いじめは子どもの心を深く傷つけます。しかし昨年出された文科省の研究所調査でも「いじめの加害と被害を経験した児童は9割以上」という驚くべき報告をしています。田原市でもいじめに苦しむ子どもがいることは事実であります。
この事態には「いじめは絶対に許さない」という毅然とした姿勢で臨みます。いじめを未然に防ぐよう学校を挙げて取り組み、またいじめが起きた折には家庭や地域と協働して迅速に解決できるよう努めます。そのため「地域いじめ防止方針」を策定する一方、24時間365日SOS相談窓口などを設置し、キメ細かい対応策を講じていきます。子ども達が夢をもち仲間の大切さに気づかせる小学生の「夢の教室」事業も次年度には中学校へも拡大し、いじめに走らない社会性を養います。

(不登校をなくす)
他方不登校問題も深刻であります。不登校は小学生でもありますが、中学生になるとその数は急増しております。思春期特有の悩み、勉強の遅れなどが原因と思われます。
そこで、学校におけるバックアップ体制を強化するとともに、赤羽根の教育サポートセンターを充実するといたします。もちろん地域や関係機関との連携は重要であり、ともに子どもを見守る体制を作って参ります。  
「まず一人を救う!」「新たな一人を出さない!」。
この姿勢で積極的に取り組みます。さらに引きこもりは、中学を卒業した若者も苦しむ事態が生じています。そこで新たに子ども・若者支援事業を展開し、引きこもり・ニートの子ども若者の支援を図って参ります。

(スポーツの振興)
ついで重視するのは「スポーツの振興」であります。スポーツは健康に良いだけでなく、人と人との絆を深めます。そこで平成26年度から、生涯スポーツ社会という観点にたち、市民の健康と連帯感の増進を図るため、スポーツ推進の総合的な部署を新設いたしたいと思います。
さらに渥美半島の一体感を育む事業として市民体育祭の再開を検討したいと考えております。今後地域コミュニティ連合会の皆様やスポーツ推進委員、体育協会の皆様とじっくり意見を重ねて参ります。
また6年後の平成32年には東京オリンピックが開かれます。「田原からもオリンピックへ」。そんな気概を持って、スポーツ振興を進めます。

(文化の振興)
さて「文化の振興」も田原市にとって極めて重要な課題であります。田原には、舞踊、絵画、茶道などのサークルが120以上活動しています。NPOの活動も盛んです。歴史を振り返れば、渡邉崋山や静坐法の岡田虎二郎の足跡を広く世に広めた伊奈森太郎、多くの考古学者を渥美半島の縄文文化に惹きつけた斎藤専吉、幅広く作家・文化人との交流を持った杉浦明平。こういった先人たちが当地の文化を全国に発信してきました。
しかし今日、ともすれば郷土文化に対する市民の関心が低く、交流の場や発信の場も少ないと言われます。残念であります。「ふるさとに学び、人がつなぐ、田原の人づくり」。田原市教育基本計画に謳われたこの基本理念を再確認しながら、田原の文化振興を図っていきたいと心しております。

(博物館を変身させる)
その一環として取り組むのが、「博物館を変身させる」ことであります。田原博物館はオープンして20年。入場者数は年々減少し、昨年は約1万3千人と半減しております。運営方針を見直し集客力のある企画事業へとチェンジし、子どもから大人までに幅広く親しまれる「わがまちみんなの博物館」をめざします。ちなみに次年度は渥美線開通90周年の年であります。新三河田原駅オープンとも絡めて鉄道展を開催いたします。また平成26年は糟谷磯丸生誕250年にあたります。「ふるさとに学ぶ」という観点から、この記念事業にできる限りの支援をしたいと考えております。

(図書館の改革)
もう一つ文化振興で特に重視しますのが、「図書館の改革:生涯読書の視点に立つ」というものであります。平成26年度は学校図書館司書を増員し、また渥美図書館も本格的にリニューアルし「知的広場づくり」を進めていきます。全生涯を見据えた「生涯読書推進計画」も策定いたします。

そして今、以上申し上げてきた諸課題、即ち学校再編、いじめ不登校、スポーツと文化の振興といった課題に対処すべく、教育委員会では「緊急課題対応プラン」の作成を進めております。このプランを基に、市民の皆様の意見やチエをいただきながら、教育改革を一歩でも二歩でも進めて参りたいと考えております。

(教育委員会運営の改革)
 それにしても改革には多くの痛みが伴います。それだけに隗より始めよとの故事から、教育委員会自身の改革が不可欠と考えます。
ともすれば「教育委員会は動きが鈍い」あるいは「何をやっているか見えない」との声があります。国にあっても制度改革の議論が重ねられ、今国会に提出の運びとなっております。田原市教育委員会は、地域の声やこうした国の動きを先行する形で、「打って出る教育委員会」「顔の見える教育委員会」でありたいと考えました。
そこで教育委員が大いに議論する場をつくる、教育委員室を設ける、関連するどんな会議へもフリーパスで参加できるといった改革を行う一方、広報の充実、学校・PTA・校区コミュニティ協議会とのネットワーク化を図るなど、情報が相互に迅速に流れるよう工夫をして参ります。

(未来とは今)
20年ほど前にニューヨーク市役所に勤務していたことがございます。ニューヨークと東京の文化交流、学校交流の業務に従事していたのです。その折、当時の市長からこう聞かされました。
「未来とは今である」(Future is Now.)

ある米国の社会学者の箴言です。まさに国の未来を担い、田原の未来を担うのは今の子ども達です。そして人の未来のためにも子ども時こそが基礎づくりの時なのです。私どもはこの言葉を原点とし、日々の教育行政を進めていきたいと考えております。
議員や市民の皆様のご理解を宜しくお願い申し上げる次第です。ご静聴ありがとうございました。


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