嶋津隆文オフィシャルブログ

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“革新”離れの進む市長とその迷走ぶり

2007年09月24日 | Weblog

先日終了した国立の9月議会。4月の市長選後の始めての本格的な議会であり、何よりも国立市100年の未来を決める駅周辺まちづくり計画の論議が開始されるなど、この半年の動きと絡め大変に関心をもちました。

駅周辺まちづくりは、前上原市長が数年来放り出していたものです。そのビッグ開発について、関口市長は今年度末までの数ヶ月で具体的な行政計画をつくると宣言したのですから、その前向きさにまずは驚かされるというものです。

とくに南口公共施設用地の整備には事業費で100億円はかかり、それを民間業者で行うことも事実上決めました。公共文化スペースの確保や三角屋根保存でJR用地も買収する(最近の地価上昇で30億円近い)となれば、かなりの高層化による資金捻出策は避けられないプロジェクトです。

こういう積極姿勢は企業誘致についても同様です。南部の未整備地区を中心とした開発は長いこと地元の人たちの懸案でした。ひとり清化園跡地だけでなく、市は矢川、谷保、国立駅にも企業誘致すべきという基本方針案を7月に公表しました。このプロジェクトに今後大いに取り組んでいこうというのですから、いつ常識を持ち始めてくれたものかと、これまた驚かされます。

さすがに市長のこうした開発に対する積極的な姿勢に、議会で共産党の女性市議から「修復型まちづくりしかやるな」との反発や、「新しい風」とかを名乗っていた市議から「左から右に突然変異する」との懸念が出てきています。革新市長が“革新”離れをしてきているのですから、彼らにとっての動揺は当然でしょう。

そういえば、日の丸掲揚についても、これまで卒業式や入学式の子供たちの前で背を向けて抗議行動をしていた関口氏。その市議時代と打って変わり、今や市長として粛々として敬礼するようになったことも、社会人としての良識を取り戻したこととはいえ、共産党はじめ“革新”の諸兄には不愉快な変節ではないでしょうか。

それにしても、こうした思想や政策の矯正ぶりとは裏腹に、この間の駅周辺まちづくりの基本方針案をめぐる迷走ぶりは、行政責任者としての力不足を示して余りあるというほかありません。たとえば次のような経緯があったのです。

駅周辺まちづくり計画について、市民協議会で論議してもらおうと発足させたのが8月20日。にも拘らず当初から、市の公式の方針はこの通りですといって、市民会議の論議を拘束する所為を行ったのです。まして一番大事な、財政(財源)の本格的な検討を欠いた姿勢を示し、出席の商工会関係の委員から異論の声が出たほどでした。

加えてその方針案をよく見れば、平成16年に公表の報告書の見出し部分をそのまま並べただけのペーパーでした。それだけに議員からクレームがつき8月31日に持ち回りで修正、さらに議会最終日にまたまた再修正案を配ってまわったのです。また少数会派には連絡もしないという非民主的なやり方で、彼女たちから抗議文が出されたいきさつさえありました。

いやしくも本プロジェクトは国立の100年を決める市にとっての大計画です。議会や市民に情報公開し、じっくり検討を願っていくのでなくてはなりません。その前提となる方針なるものが、市長当局としてのまともな準備もなく、コロコロと変わるいい加減な内容と手続きでコトを進めようとしたのです。市政や議会が混乱するのも当然です。

この迷走ぶりを見るにつけ、あと数ヶ月で市民や商店街の意向をまとめ、JRや都と調整し、議会の合意までとりつける本格的な計画が策定できるのか、大いに不安をもってしまいます。しかし駅周辺整備を遅らせてはいけません。財政スキームをきちっと備えた実現性のある行政計画を策定させなくてはいけません。これ以上、前市長のように市民会議と報告書だけ積み重ねては放り出す、積み木崩しのような市政を受容できる時間的、生活的な余裕は、もうこの国立の街にはないからです。

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