嶋津隆文オフィシャルブログ

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もう一度指摘しておきたい駅周辺問題

2007年09月01日 | Weblog

その後、話しがおかしいので、もう一度指摘しておきます。
いや、今次の国立駅周辺まちづくりの計画策定作業の件についてです。

平成16年3月に「国立駅周辺まちづくりに関する提案書」が出ました。検討会の会長であった北沢猛東大助教授の名前から「北沢報告」と言うべきものです。もちろん市税で取りまとめられました。思い出して欲しいものです。

そこでは「厳しい市財政の状況を承知の上で、多額の財源が必要と思われるものについても、市民要望が強いものは取り込んであります」としていました。そして、その第一の要望として「本提出後、市の方針としてすみやかに成立を図ること」を市に求めていたのです。

それから3年。「市の方針」としては策定されず今日にいたっています。ところでなぜ市の方針とすることが必要か、それは整備計画としての信頼性を担保するためです。市民や関係者(JRや東京都)に市の方針としてブレないこと、財源的にも行政として大丈夫であることを明示する必要があるからです。しかし上原市長はこの作業を放棄してきたのです。三角屋根であれだけ混乱する事態になったにも拘らずです。

確かにこの周辺の整備計画は大変な事業です。市民の意向調整もさることながら、何よりも金額的に膨大であるのです。北沢報告は平成14年から先行した市職員の「国立駅周辺まちづくり計画検討委員会」の資料を踏まえて進められていますが、その資料にこう記されているのです。

例えば駅東ガード下道路拡幅に50億円、南口駅前広場(ほぼ三角屋根だった所)に17億円、北口駅前広場に7億円、駐車場のある南口公共施設用地の活用で93億円(6階建てを想定)等などです。総事業費215億円になるとしているのです。国立市の年間予算は200億円ちょっとですから、市にとって天文学的な数字であることが分かります。

他方で収入です。都や国の交付金をもってくれば足りるという人たちがいます。しかし資料では「まちづくり交付金」は32億円が限度額であるとし、市の負担は132億円(ガード下道路分は除外)になると算定しているのです。市民負担は避けられないのです。

「市の方針」としての整備計画をつくるということは、とりもなおさずこういった財源の困難さを考えて事業の優先順位をつけ、場合によっては一部整備を放棄する選択をしなくてはならないということになります。民間委託も避けられないでしょう。夢を語りたい首長としては頗るつらい決断を迫られるのです。それだから前市長はこの計画づくりから逃げていたのです。

しかし新市長は、基本計画づくりに着手すると宣言しました。ようやく現実的なまちづくりが進むものと評価します。ところが話しを聞くと、市の方針でなく、またまた協議会をつくって報告を出してもらうというのです。しかも前回と同じ北沢猛東大教授が会長です。他の参加メンバーも大半が前回と同じです。

そうであれば基本的な方向に変わりはなく、また財源問題には触れず、単に「まちづくりの夢を具体的なプランとする」だけのものになってしまうと心配するのが当然です。しかもこの屋上屋を架す作業(既に作成資料は山程ある)に850万円もの委託費を出すというのですから言葉を失います。

中央線の高架化はあと少ししたら完成です。もう周辺の整備は時間的に火がついているのです。商工業の人など周辺住民の利害関係は錯綜し不安は大きいものになっています。一時も早い市としての提案が求められているはずです。一番大事な財源の工面と財政スキームを明示した、情報提供が必要です。あれもこれもというバラ色報告でなく、優先順位をつけた責任ある行政の方針をもう出さねばいけません。

したがって、百歩下がって申し上げるべきは、もし北沢協議会が議会で認められてスタートするなら、そこで財政問題の整理もしてもらわなくては時間がないということです。三角屋根の土地を買収するのか否か。駐車場のある公共施設用地には何階建て程度の建物を建てるのか。その事業は民間でやるのか、市の単独事業でやるのか。そういったことも明確にして欲しいのです。もうここまで来て曖昧はダメです。情報はきちっと公開して、市民に問いかけなくてはいけません。

その際、もう一つ気になることがあります。軽視されている議会の存在です。今次の北沢協議会も、委託予算(850万円)の可否を9月議会で審議する前に、既に8月20日に発足されてしまっているのです。民主主義の基本が堂々と無視される風土に、失笑しないわけにはいきません。

それにしても、駅周辺の整備計画は百年の国立市の姿を決めるものです。十分な意見表明が必要です。議会は議会としてこの歴史的プロジェクトに早急に特別委員会などを設け、市長と協議会のチェックをすることも大切ではないか。そう考えますがいかがでしょう。



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