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上砂理佳のうぐいす日記

阪神百貨店の女流版画家5人展無事終了。多くの方にご高覧いただきました。ありがとうございました★

東山魁夷展★

2018-10-22 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ


これはなんでょう?



平安神宮の大鳥居でしたっ。 



ということで、京都近代美術館で開催されていた東山魁夷展に行ってきました。
もう二十年以上前に、まだ万博エキスポランドにあった国立国際美術館で、大きな回顧展を見て以来のことです。
あの時、東山ワールドの素晴らしさに圧倒されましたが、なんといっても当時の国際美術館は広く大きく、絵を架けると、どこまでも山や湖や森や大地の広がりを感じとることが出来ました。
自然風景の中に宇宙を見いだす東山魁夷の絵には、うってつけの「箱」だったわけです。

その体験からすると、今回の近代美術館は狭さを感じました。東山魁夷は、押すな押すなの行列で見るもんじゃない!
だだっ広い空間で絵を一人占め…がベストですが仕方のないことですね。それでも名作から晩年の作品まで、存分に楽しめました。
私思うけど、こういう長期間展覧会って、「この日とこの日は、車椅子・杖の方だけが入れます」って「専用日」もうけたらどうかな。車椅子で見に来てはる方はとても見にくそうでした。

東山魁夷が素晴らしいのって、とにかくテンションが変わらないんですよね。
いや、内面的にはアップダウンが何度もあったことでしょうけど、若い時も壮年の時も最晩年も、画面クオリティが全然変わらない!
テーマへの真摯なアプローチ、完成へ導くまでの異常ともいえる根気、とにかく一枚絵を仕上げるだけでものすごい集中力が要りますから、精神力と体力の両方が備わってないと、あそこまでの作品群は描けないでしょう。
山に連なる樹木を一本一本たゆみなく描いていく。気持ちが緩んでくると、絵もダレてきますから、画面が台無しになってしまう。そうなるともう失敗作であきらめるしかない。まさしくマラソンレースです。
山から見た風景を描くために、実際に登山の訓練も積んだということですが、本当に、「頂上まで登った人間にしか目に出来ない」壮大な自然描写が、えんえんと続きます。
自然を単にリアルに写生するのではなく、「私はこう感じた」というピュアな感覚が、絵から伝わってくるから素晴らしいのですよね。
上手い画家は沢山居ても、東山さんは何かが違うのです。
「地に足が着いたメルヘン」なんです。荒唐無稽じゃない!

白い馬が登場する幻想的なシリーズ、唐招提寺襖絵の大作、ヨーロッパ旅行の町並みの絵、どれを見ても「こんなに美しいものがあっていいのかな~」とため息が出る。
静謐の中に、生命の息づかいが聞こえるというか、しんと冷えた空気や、滝の音まで聞こえてきそう。
いつまでもいつまでも浸りたい原画群でした。
私もあんな絵を描きたい。
とにかく「美しい絵」を★
コメント
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