12月13日

 藤森照信『フジモリ式建築入門』を読んだ。 
 
 建築とは何か──。神の住まいとしてはヨーロッパ建築史をたどることで、人の住まいとしては日本の住宅の変遷に着目することで語られる。
 例えば、“民家” は神殿や教会とは違い、その時代の普通の人々の無意識の世界と如何に深くつながっているか…という話は、私には意外な観点でとても面白かった。
 
 “人は、自分の時間的アイデンティティを、目に映るものが変らないことで確認している。”
 “建築は記憶と美の器。民家は生活と無意識の器。”

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12月12日

 長野まゆみ 文/桑原弘明 作品『湖畔地図製作社』を読んだ。 
 
 大好きな長野ワールドとスコープオブジェのコラボレーション、なんて美しく濃ゆい…(と、ため息しか出ない)。頁から頁へと異世界をたどって行きつ戻りつ、幾度も眺めて見惚れていられる。
 そして凝った装幀といい手元に潜ませておきたい宝物みたいなサイズ感といい、まず本そのものがオブジェとして素敵で流石だ。

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12月11日

 シェイクスピア/松岡和子訳『ヘンリー四世』を再読した。 
 
 初読時は刊行順だったので、今回は『リチャード二世』からの時系列で読めてよかった。
 ハル王子とフォルスタッフの行状と掛け合いは見どころだが、とりわけフォルスタッフの出番の長いことよ(些か食傷してくるw)。やり過ぎで露悪気味なこの人物が、シェイクスピアの登場人物の中でも人気があるというのは、何だかイギリスらしい…。

 “名誉ってなんだ? 言葉だ。名誉って言葉に何がある? 名誉ってやつぁ何だ? 空気だ。結構な結論だ。名誉の持ち主は誰だ? この水曜日に死んだやつ。そいつは名誉にさわれるか?”

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12月9日

 昼ビール部です。オレンジピール風味のクラフトビール。
 

 

 お昼ごはん。「3por cellini3びきのこぶた」にて。前菜(イカ墨、ポレンタとかとか♪)
 

 

 「3por cellini3びきのこぶた」にて。ほうれん草とポテトのラビオリ、鱧とトマトのソース。むまむまでした。
 

 
  
 

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12月8日

 シェイクスピア/松岡和子訳『リチャード二世』を再々読。
 (ちくま文庫のシェイクスピア全集、素晴らしいです。愛読してます…) 
 
 “さあみんな、この大地に坐り、/王たちの死にまつわる悲しい物語をしよう──/ある王は退位させられ、ある王は戦争で虐殺され、/ある王は自分が退位させた王の亡霊に取り憑かれた、/妻に毒殺された王、寝ているうちに殺された王──/みな殺害されたのだ。”
 “下の庭へ? 下へ降りる? 裁きの庭へ、王は落ちる!/揚げヒバリの鳴くべきときに夜のフクロウが鳴くご時勢だからな。”

 

 そして、「嘆きの王冠 ホロウ・クラウン/リチャード二世」を観た。
 兎に角、ベン・ウィショーのリチャードが素晴らし過ぎた。駄目駄目な王様なのにとても高貴で気の毒だった…。
 何年か前に梅田の映画館に通って「ホロウ・クラウン」を観たのだけれど、もうかなり忘れててw 苦味走ったヨーク公があのデヴィッド・スーシェだと知って(すっごく見覚えがあると思いつつわからなかった)、頗る驚いたりしたのであった。
 

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12月7日

 J.R.R.トールキン/瀬田貞二・田中明子訳『指輪物語2 旅の仲間 下』を読んだ。 
 
 うん10年前に一度挫折したのだが、言及されることの多い作品なので読めていないことが気にはなっていた。「北欧神話からの思想を受け継いでいる」という話を聴いたのも、あらためて興味を持つきっかけになった。
 という訳で最新版で読み始めたら、今回は面白い…です(そんな予感はあったw) あまり間を開けずに続きへいきたい。
 
 『指輪物語』を読んでいると、エルフとかドワーフとかルーンの世界が懐かしくて、『クリスタル☆ドラゴン』がめちゃ読み返したくなった(でも、あの絵柄のイメージで『指輪物語』は読めないなw)。 てゆか、『クリスタル☆ドラゴン』完結して欲しい。命があるうちに…(´ー`)

 

 

 

 食べ応えがあるのでブランチにした、ノグリラーメン。 青空ごはん部
 

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12月4日

 マルセル・シュオッブ『夢の扉 マルセル・シュオッブ名作名訳集』を読んだ。
 訳者は、上田敏、日夏耿之介、堀口大學、山内義雄、鈴木信太郎、矢野目源一、青柳瑞穂、渡辺一夫、日影丈吉、松室三郎、澁澤龍彥、種村季弘。
 
 どの作品も翻訳違いで再読。なのだが、流石は “十二人の翻訳者の手になる名作名訳” はとても贅沢な内容でうっとりする読み心地だった。
 とりわけ戦前の文章の味わい深さは格別でもあり、そもシュオッブの名文家ぶりが往時の仏文学者や詩人たちを如何に魅了し、その翻訳に腕を振るわせたかが窺われる。素晴らしい作品集だった。
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12月1日

 my new gear…
 花のカービングを施されたアマゾナイトのピアス。暖色のニットに合わせるつもり (๑˃̵ᴗ˂̵)
 

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11月に読んだ本

11月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:3541

最新版 指輪物語1 旅の仲間 上 (評論社文庫)最新版 指輪物語1 旅の仲間 上 (評論社文庫)
読了日:11月30日 著者:J・R・R・トールキン
ナイトランド・クォータリーvol.31 往方の王、永遠の王〜アーサー・ペンドラゴンとは何者だったのかナイトランド・クォータリーvol.31 往方の王、永遠の王〜アーサー・ペンドラゴンとは何者だったのかの感想
アーサー王をめぐる物語の短篇や抄訳を楽しんだ中で、とりわけアレクサンダー・レルネット=ホレーニアの『帽子の男』(抄訳)がとても気に入った。アーサー王伝説の特集に便乗してニーベルンゲン伝説を題材にした作品の紹介(ちょっと強引w)とのことだけど、同作者の『両シチリア連隊』が好きだったので、是非全訳を読んでみたい。
読了日:11月28日 著者:トマス・マロリー,マイクル・ムアコック,チャールズ・デ・リント
柑橘類と文明: マフィアを生んだシチリアレモンから、ノーベル賞をとった壊血病薬まで柑橘類と文明: マフィアを生んだシチリアレモンから、ノーベル賞をとった壊血病薬までの感想
再読。昔から北ヨーロッパの人々が抱き続けた地中海南部への憧れ、その心象風景としての “レモンの花咲く国” をめぐる紀行文であり、イタリアとその柑橘類の物語を紹介するエッセイでもあり。突然変異のキメラ(例えば仏手柑のような)が珍重されたメディチ家の柑橘類コレクションについて、シチリアに富をもたらしたレモンの果樹園がマフィアの台頭を招くことになった経緯、大量のオレンジが武器として使われるピエモンテ州のオレンジ合戦を見物した話…などなどとても面白かった。アマルフィ・レモンを使ったカラマラータの美味しそうなことよ
読了日:11月27日 著者:ヘレナ アトレー
源氏物語 2 (河出文庫 か 10-7)源氏物語 2 (河出文庫 か 10-7)の感想
再読(源氏物語は他の訳者で幾度か読んだが、角田源氏は初めて)。「紅葉賀」から「明石」までの流れで、様々な女性たちが描かれる。私は朝顔の斎院が好きだけれど、彼女の立場は身分の高さに守られているとあらためて思った。寄る辺ない紫の上に対する光君は、そもそもの始め方から(誘拐、そして手〇〇)扱いがかなり軽いという側面は否めない。この先も紫の上が “最愛の人” ではあり続けても、対等な存在として光から見られることはない(その発想すらこの時代にはない)んだなぁ…と。
読了日:11月23日 著者:
パピルスのなかの永遠: 書物の歴史の物語パピルスのなかの永遠: 書物の歴史の物語の感想
素晴らしい読み応え。本を閉じて「書物の歴史の物語」という副題に向き合うと、本当にその通りだったなぁ…と胸がいっぱいになる。古のギリシアからローマへ、本を巡る遥かな時間旅行のようなエッセイ。ただ歴史をたどるのではなく著者自身の本への深い思いが伝わってくるのもよかった。思い出の中の数々の本たち。書物はそこにありつづける、これからも。手に取るのが楽しみだった装幀は、カバーを広げてみてなるほど…と感嘆。“ある意味では、私たちすべての読者は、自らに轍を残した言葉をおさめた秘密の図書館を自分のなかに持っているのだ。”
読了日:11月22日 著者:イレネ・バジェホ
セシルの女王 (5) (ビッグコミックス)セシルの女王 (5) (ビッグコミックス)
読了日:11月16日 著者:こざき 亜衣
レオナルドのユダ (エディションq)レオナルドのユダ (エディションq)の感想
ペルッツ再読8冊目。とても好きな作品だが、刊行順をたどって読み返してきたので、遺作なのねぇ…としみじみ。『第三の魔弾』の解説には、未完で見つかったのを弟子で友人でもあった人物が完成させたとある。“「君はユダの秘密と罪を知っているのかい? なぜユダがキリストを裏切ったのか、わかるかい?」/「ユダは、自分がキリストを愛しているとわかったから、キリストを裏切ったのです」少年は答えた。”
読了日:11月14日 著者:レオ ペルッツ
視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話
読了日:11月12日 著者:深井 龍之介,野村 高文
恐竜の復元 (たくさんのふしぎ2023年12月号)恐竜の復元 (たくさんのふしぎ2023年12月号)
読了日:11月10日 著者:犬塚則久
源氏物語 1 (河出文庫 か 10-6)源氏物語 1 (河出文庫 か 10-6)の感想
再読。源氏物語は他の訳者で幾度か読んだが、今回は気になっていた角田訳で。帚木巻の序盤に雨夜の品定めがあり、その後の光君の行動に及ぼした影響を思うと、ある意味で物語展開の予告になってたんだなぁ…とあらためて面白かった。紫式部が描きたかったのが “中流の女” たちだったとしたら、それも得心がいく。あと、これは仕方がないと思うけれど、源氏物語を読むのがかなり久しぶりで、かつて以上に光君に対していらっとすることが多いw(『女は素直がいちばんですよ』とか何なん…)
読了日:11月08日 著者:
教皇ハドリアヌス七世教皇ハドリアヌス七世の感想
すこぶる面白かった。久しぶしに奇書を読んだという満足感。「澁澤龍彦が絶賛」というのもさもありなん…と思いつつ、訳者あとがきでかなり自伝的な内容と知って驚いた(そして19世紀末のロンドンに生まれた作者が、何故カトリック教会なのか…という理由にもw)。“人間嫌いの利他主義者” ジョージの半生がほぼ自伝であるなら、その後の型破り教皇爆誕からの展開が幻想文学…か。“教皇には大きな目標と、見通しのきく目と、よく聞える耳と、機知と、ひねくれた性格と、大胆さと、寂しい心とがある。おまけに世界から敵意を向けられていた。”
読了日:11月07日 著者:コルヴォー男爵

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