佐藤哲也さん、『沢蟹まけると意志の力』

 いや、笑った笑った! いやはや、なんて面白いんだ!  
 キッチンで醤油を見るだけで、思い出し笑いをしてしまうではないか…! うはは。  

 『沢蟹まけると意志の力』、佐藤哲也を読みました。


〔 堅牢強固な意志の力によって今日もまた一日が始まろうとしていた。そこ、ちゃんと聞いてるか? 〕 48頁

 これでもかこれでもかと微に入り細を穿つ、“意志の力”考でござるよ。そこ、ちゃんと聞いてるか? 
 こほん。失礼しました。
 これ、結局何だったのだろう…。もしや、サラリーマンへの応援歌的小説(まさか)? でも、作者自身が以前はサラリーマンとして勤めた時期があり、いわゆる会社社会なる場に巣くう矛盾や欺瞞やあれやこれや…を、鋭く見抜きつつ失笑しつつ苦汁を舐めていらしたことは何となく伝わってきた。それで、“不真面目×不真面目×不真面目×不真面目×不真面目×……=大真面目”みたいな、そんな話だったような気がするけれど、どうでしょうねぇ…。

 人を喰ったような語り口がもうツボで、この作品を読む快楽は存分に享受した。ぐひ。
 今、手に入り難くなっていることに憤ってしまうほど、面白かった。怒涛のナンセンスに巻き込まれたよ!

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