12月21日

 カン・ファギル/小山内園子訳『大仏ホテルの幽霊』を読んだ。
 
 とてもよかった。1950年代後半の韓国の港町仁川、実在の大仏ホテルを舞台に描かれたゴシックスリラー(でもある)。ホテルにはシャーリイ・ジャクスンがチェックインするし、エミリー・ブロンテも微妙な具合には絡んでくる。
 先に『丘の屋敷』を読み返したので、語り手の一人であるヨンヒョンはエレーナであるし、他の登場人物たちの中にもエレーナがいると思えて辛くなった。ヨンヒョンが何度も使う言葉「魅了される」も胸に引っかかって痛い。

 “シャーリイ・ジャクスン……たぶんこの人は、恨(ハン)という言葉を理解できるんだろう。”
 
 
 母娘の相剋もかなり描かれている。私自身が “母を愛せない娘” の一人なので、身につまされたりしつつ色々と思うところがあった。
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