2月21日

 ジェイムズ・ジョイス/丸谷才一・永川玲二・高松雄一 訳『ユリシーズ Ⅲ』を読んだ。
 
 とても面白く読めている(これも偏に訳注のお蔭)。
 とりわけ第十四挿話「太陽神の牛」の文体パスティーシュには圧倒された。古代英語から順々に時代を下って書かれているそうだが、ラテン語散文直訳体は明治の漢文くずしとか、ロレンス・スターンの文体は三遊亭円朝の人情噺の文体、本居宣長の擬古文、石田梅岩の文体とか平田篤胤『古道大意』の文体…とかとか凄い(マニアックw)。
 それでその内容は、婦人科病院の一室で管を巻く男どもの“猥談の宴”って何なのww 

 巻末のエッセイも面白くて、『ブヴァールとペキュシェ』続編説にはのけ反った。
 めも)当時のアイルランドの貧しさ、人々の鬱屈と諦めの感覚、大飢饉のトラウマ、パーネル崇拝(メシアニズム)。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 2月15日 2月23日 »