イタロ・カルヴィーノ、『レ・コスミコミケ』

@rinakko 10:02
【レ・コスミコミケ (ハヤカワepi文庫)/イタロ・カルヴィーノ】を読んだ本に追加
 
 “新月のときは、まっ黒いこうもり傘が風にころころ吹かれてゆくみたいに、空を転がっていく。三日月になると、今にも岬の頂きを刺し通して引っかけてやろうとでもいうように、角を低くかまえてやって来たものだ。” 9頁

 面白かった!これも好き! 宇宙の誕生から生き続けているQfwfq老人の、驚きの詰まった昔語り(語るかたる…)。とりわけ好きだったのは、「月の距離」。大潮を待ちかね、月の真下までコルクの小舟を漕いで脚榻を立てて月にのぼる一族。月の引力に持ち上げられる銀色の海の眺めと言ったら…! 他にお気に入りは、「ただ一点に」や「いくら賭ける?」、「恐龍族」。好みという点では、「光と年月」がツボだった。笑って笑って、最後にほろりと儚い気分にさせられたのが、忘れがたい余韻になった。

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