9月20日

 金子薫『鳥打ちも夜更けには』を再読した。
 
 「架空の港町」という呼び方がいつしか地名になった町で、観光の呼び物である希少種の蝶アレパティロオオアゲハを保護するため、海鳥を駆除する仕事が必要になった。それが鳥打ちである。
 採用された3人はそのまま鳥打ちと呼ばれ、10年間ただ鳥たちを殺し続けてきた…。
 不条理は個人をどこまでも蝕み得るし、逃走することでしか己を救えない人がいる。私には、慰撫のある物語だった。(そして、いぐあな老師のレシピが美味しそうです) 

 “彼は木箱のなかを見つめる。自分のなすべきことが、生涯で初めて心の奥底から浮かび上がってきた。”

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