2月に読んだ本

2月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:4932

誘拐されたオルタンス (創元推理文庫)誘拐されたオルタンス (創元推理文庫)の感想
やっぱりオルタンスいいなぁ…。隅々まで堪能したわ。うおん。心待ちにしていた三部作の第二巻なので、すぐに読むのは勿体ないような…いやいやこれ以上待てぬ…と。サラダ菜を食む蝸牛たち、深夜の三十三点鐘…に始まり、比較赤毛論、オルタンスの螺旋楕円面を描く記憶の痕跡、差し挟まれる著者編集者間の書簡、〈ビール分析〉、謎めく黒猫、美青年がいささか多過ぎる…など、ねぶねぶ反芻していても切りがなくなる。何しろ再読が楽しみになる作品。大好きだ。
読了日:02月28日 著者:ジャック・ルーボー
論理は右手に (創元推理文庫)論理は右手に (創元推理文庫)の感想
再読。三聖人シリーズは、人物の造形から設定から会話のセンス、悉くツボにくるので読んでいて楽し過ぎる。2作目で登場する元内務省調査員のルイ(あだ名は〈ドイツ人〉)は、ポケットからヒキガエルを出して「おれのヒキガエルだ」とのたまうほどの変人。そんな変人ルイと、神経質な中世史学者マルク…という取り合わせの妙も堪らない。マルクにはルイがゴート族に見えるらしい。“ビールなしで七時間過ごすこともできない”というルイは、事件を追いつつ規則的な間隔で断固として「ビールが飲みたい」と言っている(マルクによれば)。
読了日:02月27日 著者:フレッド ヴァルガス
ローベルト・ヴァルザー作品集〈2〉助手ローベルト・ヴァルザー作品集〈2〉助手の感想
偶々この巻を5冊目に手に取り、他の長篇との違いを少しく意外に思いつつ読んだ。訳者後書きで、ヴァルザー自身が発明家に雇われていた時期の事実に基づいて描かれた小説と知り、なるほど…と。雇い主トープラー氏をはじめ、トープラー夫人やその子供たち、前任者のヴィアジヒ…、それなりに善良ではあるが愚かでもあり成功には縁のない人たちを、主人公ヨーゼフは愛情を抱きながらも冷静な目で見ている。美しい自然に囲まれている彼の陶酔と、現実の醜悪さを受け入れていく過程の静かな幻滅の比に容赦はないけれど、ラストには不思議な解放感がある
読了日:02月24日 著者:ローベルト ヴァルザー
死者を起こせ (創元推理文庫)死者を起こせ (創元推理文庫)の感想
再読。大好きなシリーズ。
読了日:02月23日 著者:フレッド ヴァルガス
ローベルト・ヴァルザー作品集5ローベルト・ヴァルザー作品集5の感想
素晴らしい読み応え。“巨大な愛する能力”とか、“わたしの中の子ども的なもの” “わたしの中の男の子”とか、そういうことを臆面もなく言えてしかもそれが本当に相応しい言葉として響くのは、ヴァルザーが描く人物だからこそ。純粋な存在であることも時には厄介で、怖いことにもなり得ると私は思うけれど、ヴァルザーを読んでいる時間だけは、純粋で無為なならず者の主人公たちに魅かれている(愛すべき…と)。特に「盗賊」では語り手と盗賊の関係が面白く、訳者後書きで得心することがあった。ミクログラムも読めてすこぶる満足(鉛筆書き!)
読了日:02月21日 著者:ローベルト ヴァルザー
ギリシア人男性、ギリシア人女性を求む (白水Uブックス)ギリシア人男性、ギリシア人女性を求む (白水Uブックス)
読了日:02月20日 著者:フリードリヒ デュレンマット
いにしえの光―最後の王国〈2〉 (パスカル・キニャール・コレクション)いにしえの光―最後の王国〈2〉 (パスカル・キニャール・コレクション)の感想
少しずつ読みながら先ずはひと通り。時折手に取りぱらぱらめくって、目に留まった章を読み返していくのもよさそう。“和泉式部はこう記した。/「文人たちが鮭というのは本当でしょうか」、とわたくしは尋ねました。/「その通りでございます。というのも、彼らの墓は水源なのですから」(日本語で「泉」とは水源の意味である)。” “夜の夢を愛する分だけ、わたしは白昼夢が嫌いだ。”
読了日:02月19日 著者:パスカル キニャール
黄色い雨 (河出文庫)黄色い雨 (河出文庫)の感想
再読。素晴らしい読み応え。しばし息を詰めて読み進むのだが、ふと気付くと、しん…とした静けさの内にいる。孤独も死も、ただあるがままに受け入れる。たとえ幾度となく心が波立っても、その都度に、黄色い雨に染められ宥められ…。見捨てられ朽ち果てゆく廃村の情景と、そういう境地の美しさが重なるように見えて、引き込まれた私は心許なく立ち尽くした。…で、他の2篇も凄く好きなので短篇ももっと読みたい。
読了日:02月17日 著者:フリオ リャマサーレス
おとぎ話の忘れ物おとぎ話の忘れ物の感想
再読。
読了日:02月16日 著者:小川 洋子
アガサ・クリスティー自伝(下) (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)アガサ・クリスティー自伝(下) (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
読了日:02月14日 著者:アガサ ・クリスティー,乾 信一郎
村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)村田エフェンディ滞土録 (角川文庫)の感想
再読。
読了日:02月13日 著者:梨木 香歩
海の感想
再読。またあらためて、表題作も「ひよこトラック」も「ガイド」もいいなぁ…と思ったけれど、「バタフライ和文タイプ事務所」にやられてしまう。参ってしまう。花弁を揺らしながら雌しべの奥に触角をのばす蝶々の動き、震える翅、一滴の蜜…などに譬えられる和文タイプの機械、揃えたように地味なタイピストたち、3センチほどの長さの鉛色の活字、すべての活字を扱う管理人…。無機的に誂えたようなこの場所で…と、かけ離れた組み合わせの妙にくらくらする。建物の三階のあの小部屋で、本当は何も起こってはいない。彼女の官能は、孤独故に美しい
読了日:02月11日 著者:小川 洋子
家守綺譚 (新潮文庫)家守綺譚 (新潮文庫)の感想
再読。
読了日:02月09日 著者:梨木 香歩
漁師とドラウグ (魔法の本棚)漁師とドラウグ (魔法の本棚)
読了日:02月08日 著者:ヨナス リー
ムッシュー・パン (ボラーニョ・コレクション)ムッシュー・パン (ボラーニョ・コレクション)
読了日:02月07日 著者:ロベルト・ボラーニョ
魔術師の帝国《1 ゾシーク篇》 (ナイトランド叢書)魔術師の帝国《1 ゾシーク篇》 (ナイトランド叢書)の感想
再読…なのだが訳者が違うので、読んでいて思い描く色味が“木乃伊かミイラか”ぐらいには違う。お気に入りは「ジースラ」や「死霊術死の島」「最後の文字」「アドンフォの園」。
読了日:02月06日 著者:クラーク・アシュトン・スミス
不時着する流星たち不時着する流星たちの感想
消え入りそうに慎ましくあえかな声を、その愛おしい記憶や夢の綻びを、掬いとる眼差しに慰撫される短篇集。胸の内の雨降りに耳を澄ます読み心地。幻滅も喪失も、やがて静かに受け入れられる。忘却としてではなく。ヘンリー・ダーガー、ローベルト・ヴァルザー、グレン・グールド、世界最長のホットドッグ…、モチーフとなった人や出来事と同じようにそこから紡がれた物語たちも、ただひたむきで生きづらそうで…尊い光を放っている。ことに好きなのは「散歩同盟会長‥」「測量」「手違い」「肉詰めピーマン・・」「若草クラブ」「十三人きょうだい」
読了日:02月03日 著者:小川 洋子
約束約束の感想
頗る面白かった。うおん。なまじ地図があるのは目眩まし、気付けばどす黒さを増していく狂気の渦にひきずり込まれていた。建築の奇跡(そして地図には透視を)。独裁体制下の息苦しさの中、ブルノで起きた恐るべき復讐の企てとは。建築家モドラーチェクの回想から始まる物語は、他の人物たちの声を重ねながら語られていく。ナボコフと文通していた亡き父の話、ある短篇がもたらした贈り物のこと。チェスの二手詰をめぐるエピソード、豪勢過ぎる晩餐の場面、「見えない妻」。私立探偵ダン・コチーの章も凄く好きだ。ひたひたとグロテスクで心掴まれた
読了日:02月02日 著者:イジー クラトフヴィル

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