マーク・トウェイン、『アーサー王宮廷のヤンキー』

 9月の課題本。なので、微妙に間に合ってない…。『アーサー王宮廷のヤンキー』の感想を少しばかり。

 “四年の歳月が流れた。――そしてその結果はどうなったか! それはとても想像できますまい。” 104頁

 とても面白かった。そも、アーサー王宮廷にヤンキーという、あまりにもちぐはぐな組み合わせに些かの抵抗があったが、実際に読んでいても、何故あえてアーサー王なのか…と時折溜め息がこぼれた(だって、イメージが。うう…)。でも、突っこみどころ満載な設定といい(え、SF?)、諷刺の効きまくった偏屈な語り口といい、ぶははっ…と思わず噴き出しちゃう箇所も多くて楽しめた。…やでやで。

 生まれも育ちもコネチカット州の“ちゃきちゃきのヤンキー”が、どうしたことか、昏倒から覚めるとそこは騎士の時代のアーサー王が治めるブリテンだった…。奇妙な男が語りだす、驚きに満ち満ちた身の上話。如何にして彼は、アーサー王宮廷の新参者でありながら、絶大な権力を得、王に継ぐ偉い人物として畏れられるまでに成りおおせたのか。そして、絶対の地位を固めた彼がかの地にもたらした、新しい文明とはいったい…。

 序盤がなかなか乗れなかったけれど、冒険の機会を持参してサンデーが現れ、ザ・ボスの武者修行(?)の始まる辺りから俄然面白くなった。特に後半には、マーク・トウェインの時代のアメリカに微妙に絡めたり揶揄するような記述もあり、興味深かった。それに、子ども向けの「トム・ソーヤーの冒険」しか読んだことがなかったので、こんなに反骨精神旺盛な作家だったのか…と感じ入った。
 しかし、電話とか新聞とか(他にもいろいろ)おいおいおい…と。マーリンも形無しで、気の毒過ぎるし(溜め息)。

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