5月27日(水)のつぶやき(読んだ本、『ウイダーの副王』)

@rinakko 07:45
こ、こねこ。たまらん……。



@rinakko 19:26
【ウイダーの副王/ブルース・チャトウィン】を読んだ本に追加

 素晴らしい読み応えだった。実在した奴隷商人をモデルに、彼の人生と末裔たちの姿が描かれている。その冒頭の場面は、一族の初代祖先ドン・フランシスコの追悼ミサだ。増殖し続けた子孫が一堂に会し、ミサのあとは毎年恒例の記念写真撮影そして豊潤な祝宴へとなだれ込む。ブラジル料理に皆で舌鼓を打ちつつ、毎度誰もが好む話題は消えたドン・フランシスコの富の行方であった。
 実のところ、非情で残酷な物語を想像していたが、どうしてどうして…。

 当時の奴隷海岸にのこと、奴隷販売という経済活動について知らされる内容には慄然とした。所詮そこに築かれた栄光は、如何わしく儚いものだった(それを彼だけの罪と呼ぶべきなのか…)。時代の流れは容赦なく誰かを置き去りにするし悪者にするし、ドン・フランシスコはその一人になってしまった。
 人の営みのどうしようもない愚かしさ、過ちへの悔いとその果てに待ち受ける絶望や狂気…に、静かな悲哀が沁み入るように残る。そして愛おしい場面は灯火のように残る。
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