11月27日(水)のつぶやき(読んだ本、『インセスト ―アナイス・ニンの愛の日記 無削除版』)

@rinakko 10:18
【インセスト―アナイス・ニンの愛の日記 無削除版 1932~1934/アナイス ニン】を読んだ本に追加

 “私の分身(ダブル)が怖くて、いつも私は逃げ出す。父とは違う人間になりたかった。” 174頁

 日記と創作を絡み合わせ、芸術家として生きる矜持。アナイス・ニンの日記を、これだけ纏まった形で読んだのは初めて。分身、親友、麻薬…という本人の呼び方が、あまりにも字義通りなのに驚嘆した。
 日記に憑かれ、日記に生かされ、どんな告白も書かずにはいられない。己の内面を突きつめ、深めていこうとする軌跡がまざまざとそこにある。恋多き女…というよりは、才能や父性に惚れ込み、常に神の如き存在に焦がれ続けていた女性が見えてくる。そして、並行させたままの複数の恋愛や、再会した父親とのインセスト関係の中で、なぜアナイスは母親の役割を演じてきたのか…。
 ランク博士の精神分析に出会い、古い呪縛から解かれていく件には胸を打たれた。
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