イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ヒラメ好きです

2008-05-25 18:29:28 | アニメ・コミック・ゲーム

7月期の昼ドラ(『白と黒』)でもうひとつ楽しみ、というか公式発表まで期待と不安なのが、音楽担当です06年『美しい罠』、07年『金色の翼』と、ドラマサウンドトラックの醍醐味を堪能させてくれた岩本正樹さんの音に、また会えるかどうか。

FMなどを通じて長年接してきた“○○(←アーティスト名)の「☆☆」(←曲名)という曲”式の認識と消費になんだか疲れてしまった(簡単に言えば、好きな曲ジャンルも贔屓のアーティストもあまりなくなった)時期と、ちょうど合致していたのもある意味ナイスタイミングでした。

ドラマという劇中世界と一体で楽曲を味わう楽しみ。劇中では23小節しかフィーチャーされなくても、実はキャッチーなフレーズだけではなくて、しっかり起承転結、2分ぐらいの独立した曲に織り上げられているものなんだなぁと、“音楽家の懐(ふところ)”という未知の扉を開いて新世界を垣間見た思いがしたものです。

この枠の音楽は充実していて、岩本さんの手がけた2作品をきっかけに、在宅時間のBGMとして、最近はFMラジオよりもCD愛聴時間が長くなりました。

今年はどんな音楽とドラマのコンビネーションとなるか。夏ですし岩本さんだったらもちろん第一希望なのですが、昨日の記事でも先週の新聞発表からちょっとさらって見たように、今作『白と黒』は20歳の西原亜希さんが扮する若いヒロインのお話と思われるので、あるいはこの枠初担当の、未知の作曲家さんと初お目(耳?)見えの機会があるかもしれません。それもまた一興。

『炎神戦隊ゴーオンジャー』GP15、害地副大臣ヒラメキメデス登場。造形は『電王』のデネブをちょっと思い出しました。似てないか。『電王』最終話しか見てないからかな。白基調の非ザラザラ質感だと、一気にプラスティックっぽく玩具っぽくなりますな。ゴーオンジャーたちに名前をなかなか正しく呼んでもらえなくて、最初は「…おバカたち」と余裕だったのが、だんだん本気でうなだれてくみたいになっているのが森の石松みたいで楽しかった。

5552話の巧のバッグの中身を思い出す走輔(古原靖久さん)の真っ赤プリントパンツ、マシンワールドの“天国”は“エンジェルワールド”らしいなど、今GPも、1秒も間延び退屈させないぎっしりメニューでしたが、死んだと思っていた副官帰還でルンルン、ヘビー級タップダンス始めそうなヨゴシュタイン様、なんだかなぁムードのケガレシア様(及川奈央さん)とキタネイダス様がやっぱりいちばんキュートでおもしろい。上官にも無断で行方をくらましていたということは、ヒラメキメデス、下剋上の野望を温めている曲者かもしれませんよ。

 空中戦のスペシャリスト炎神・トリプターとジェットラスも参戦して、絵柄が『エアーウルフ』みたいになってきました。GP16の予告映像では、中にの戦士が搭乗している様子。当然人間体もあるんでしょうね。この番組について書いた記事で何回このフレーズ使ったかわかりませんが、いやもう、ますます目が離せません。

 もうひとつ。ヒラメキメデスが搭乗機を操縦するシーンで、アクセル?を踏むブーツの足元、操縦桿を動かす手もとの各アップ、あのスティーヴン・スピルバーグ監督の実質デビュー作『激突!』のタンクローリー運転手を思い出しましたよ。あちらは最後まで顔かたち、正体わからないままでしたが、ヒラメキメデスも測量・計測器モチーフの造形の下に、いまは見えない“本当の姿”があるという暗示かな。

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ポスト陵陵

2008-05-24 18:50:19 | CM

毎年25811月中旬と言えば、そうです我らが(誰らがだ)東海テレビ製作昼ドラネクストワン情報のシーズンでありまして、現在絶賛(…………)(←何故固まる)放送中『花衣夢衣』に続く7月クールの作品が先般新聞発表されました。

http://www.sanspo.com/geino/top/gt200805/gt2008051908.html

http://www.tokyo-np.co.jp/tochu/article/entertainment/news/CK2008051902012501.html

『白と黒』。放送は630日(月)からとなります。ヒロイン役西原亜希さんは、某柔道元・日本代表選手夫人のタレントさんと非常に近似した芸名をお持ちですが、すでに女優としていくつものメジャー作出演歴のある、頼もしい20歳とのこと。昨年89月頃、パンテーンのCMで拝見したときには“非常に微妙にいまっぽくない顔立ち”なんてここで書いてしまいましたがとんだご無礼を。「ゼェッタイィきれいになりたい」と意気込んでいた“やりたかった役”は、1年後のこのヒロインだったんですな。

……ってこともないか。ま、比較的ピークを過ぎめのお年頃の女優さんが来ることの多いこの枠、7年ぶりのハタチのヒロインだそうで、フレッシュさ、演技力、お手並み拝見といきますか。若くて綺麗で元気なだけじゃ、この枠はもたないよ。色気もエロ気も、陰りもないとね。

それより『白と黒』という何とも愛想のないような、逆に、どうとも読める余地ありのようなタイトルに注目ですね。横溝正史さんに同題の中篇がありますが、こちらは横溝作品には珍しい戦後の近代的団地を舞台におなじみ金田一耕助探偵が活躍する謎解きもので、今度のドラマと原作原案関係はまったくないようです。

“白”“黒”という色名に焦点を当てれば、近年のこの枠のドラマタイトルで色名が含まれていたものは、98年『緋の稜線』、01『レッド』05『緋の十字架』06『紅の紋章』と“”系がかなり水をあけて優勢です。

アカレンジャーにはアオレンジャーが永遠のライバルで相棒で…ってことで言えば04『女医・優 空クリニック』。さすがに月河は未見ですが77年に『いつか見た空』(吉行和子さん主演)てのもあったらしい。さらに遡って71年『ざめた午後』。この頃なら逆に学校の春夏冬休みなど見てた可能性もあるのですがさすがに記憶がない。亀井光代さん、宗方勝己さん。うーん、名前ぐらいは聞いたことがあるのだが。

意外に健闘しているのが“”で、記憶に新しい昨年の『金色の翼』のほか90年『新金色夜叉 百年の恋』。

赤と青が出たついでに、間をとって72年『むらさき心中』。渡辺美佐子さんと小野寺昭さん。うわー。『真夏の薔薇』『危険な関係』の小野寺殿下幾つだったんだ。調べてるとだんだん観たくなってきてしまうではないか。

“白”が使われた例は月河もリアルタイムで観て思い出せる作品があります。02『母の告白』。いささかこじつけか。再放送枠ででしたが98年『白衣のふたり』も。網浜直子さんがちょっと怖かった。『鬼平犯科帳』の伊三次・三浦浩一さんはちょっとカッコよかった。

70年『白い旋律』はドラマの記憶はまったくないものの、主演の谷口香さんについて、有名な監督さんだか脚本家さんだかが旦那さんなのよ、と実家母かその同年代主婦のお友達かに教わった記憶だけはあるのですが、いまや確かめるすべもありません。谷口さんも故人となられました。

こうしていろいろ調べると、この枠のタイトルに“白”はそこそこ頻出しても、“黒”は前代未聞じゃないでしょうか。“黒”ってかなり規定力の強い言葉です。イメージとしては松本清張さん、『黒い樹海』『黒の回廊』『黒革の手帖』…社会派の雄ですね。昼のイメージはあまり、と言うか、まったくありません。

投げ出したようなシンプルかつある意味不親切なこのタイトル、意外やこの枠に未曾有の革新作になるやも知れませんよ。これは必見。

ところで『白と黒』と聞いて、ドラマタイトルということを脇に置けば、何が連想されるでしょうか。

まずはゲームのオセロ。白黒が一枚のコマに兼ねそなわっていますね。いつもカド先に取られて負けちゃうんだなぁ。

続いて白と黒の陣取り合戦である囲碁。将棋よりは自分向きではないかと思い、実家から碁盤と碁石ぶんどって来て勉強し始めたこともあったんですが、いまだに五目並べしかできないという。対面式のゲーム、勝負事、どうも向いてないんだな。

勝負事で言えばサッカー、ユニホは多彩ですがボールは白と黒ですね。緑のピッチにいちばん埋もれない色という配慮かな。

勝負事ついでに競馬。色が来るのは枠と勝負服、白黒の服色でいちばん強い印象はバンブー牧場の黒地に白三本輪です。

創業者オーナー“竹田”さんの名字からの命名で、89年安田記念90年スプリンターズSなどの鼻白バンブーメモリー、89年菊花賞バンブービギンなど数々のGⅠ馬を輩出したオーナーブリーダーですが、月河がいちばん印象深いのは03年日経新春杯のバンブーユベントスです。贔屓のマヤノトップガン産駒で初めてクラシックに駒を進めた、父譲り鼻白栗毛の孝行息子。このGⅡ勝ちの後故障で生彩ないまま引退してしまいましたが、父の種牡馬としての評価にはかなり貢献してくれました。お母さんが夏のローカル場所の重賞で活躍したスプリングバンブーで、スプリング=春→ローマ神話の青春の女神“ユベントス”はなかなか技ありな命名でもありました。

そう言えばサッカーのイタリア・セリエAユベントスのユニホも白×黒ですね。こちらはタテ縞ですが。バンブー牧場さんがそこまで考えて名づけたかは不明。

競馬では服を抜きにまともに白vs.黒の争いになったこともありました。94年暮れの朝日杯3歳ステークス(現・朝日杯フューチュリティS)。噂の大物種牡馬SSことサンデーサイレンスの初年度産駒中でも総領格との呼び声高かった漆黒青鹿毛フジキセキと、マル外のこれまた大物、武豊騎乗の雪白芦毛スキーキャプテン。ともにデビュー22勝、負けなし無傷での対決で、暮れのほの暗い中山競馬場、二番手から王道の抜け出しを見せる黒と、後方から目の覚める追い込み白、照らし出されたゴール板に黒白2つの馬体がクビ差で並んだ瞬間は息が止まるようでした。

当時はマル外=外国で生まれた馬にクラシックレース出走権はなかったため、できれば内国産のフジキセキに無傷で4歳(現・3歳)春をと望んだ競馬ウォッチャーは少なくなかったはず。結果望みは叶いましたが、そのフジキセキもクラシック前哨戦弥生賞後に故障し「出走していれば三冠確実」との声もむなしく本番前に引退。ライバルの白・スキーキャプテンもUSクラシック・ケンタッキーダービーに挑戦して夢破れ、結局白黒2頭ともこの朝日杯が輝きと、観る者が託せた夢のピークだったように思います。

馬が出たついでに動物行きましょう。“白と黒”と言えばゼブラ=シマウマ。そして何と言っても大熊猫・ジャイアントパンダ。上野動物園リンリン亡きあと、胡錦濤主席が年に1億円で貸与と約束してくれましたよ。嬉しいんだか税金もったいないんだか。我らが(だから誰らがだ)東海昼ドラ『白と黒』、実はパンダ問題、ひいては日中関係の将来にまで思いをいたした絶妙のタイムリータイトルだったのです。スケールがでかい(…おい!)。

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写るんですけど

2008-05-23 23:32:04 | CM

『爆笑オンエアバトル』222440~)、トップバッターのパップコーン401kbとまあまあの滑り出しだった以降、結局over500どころか400台すらラスト10組めの天竺鼠445kbまで出ずという、近来稀に見る“玉の転がりの渋い”回となりました。

フィギュアスケートや体操などと同じで、採点方式の競技には大体トップ効果と言うものがあります。

後の演順の組が素晴らしい演技をした場合、トップ順があまり高得点を出した後だと差のつく点を与えにくくなる、それを懸念してトップ順の組の点は(特に後の演順に有名組・人気組がひかえている場合)評価以上に抑えめになりがち。よく言われる“客席が温ったまり足りない”ということも早い演順にはつきまとう。

そこで評価する者がそれらを逆に懸念して「トップは不利だから、玉入れるか入れないかで迷うぐらいのレベルなら、とりあえず入れといてあげよう」と思うもの。

トップ順の組はこうして、点が抑えられる要因と高くなる要因とが相殺し合って、結局は高めに出ることが多い。

これを称して“トップ効果”と言うのです。

パップコーンの401kbで「これは実質360370ということだな」と思って、以降の計量を見ていたら、アルコ&ピース253kb「これは確実にスベったんだな、期待の組だったけどパップの直後で150も下回るんじゃ仕方ないか」…しかしその後、前エントリー時スタッフミスのため棄権の後で同情票もあるかのハマカーン389kb恋愛小説家397kbえんにち381kb…客席も、待っている“何か”が何なのか、結局わからないまま、ラストの天竺鼠がまあまあだったので吐き出しちまうか、みたいな流れになったようです。

その吐き出されの受け皿になって1位?天竺鼠が、3連敗後の初オンエアでおもしろければ何の文句もなかったのですが、正直もうひとつだったなあ。タモリ風、大門団長(@『西部警察』)風のボケ店長、もう少しはじけてくれるかと思ったら結局客役のツッコミに持って行かれるオチはもったいない。ヘンな店のヘンなマスターネタなら、東京ダイナマイトのほうがキレがある。

逃げ粘りというより、取り残されるような感じで2位のパップコーンは、何度も何度もここで言っているように、5人いるということのメリットが依然感じられない。今回も結局、最後にステージ登場したサイババ頭の人の“顔出しオチ”。

3人での2つの石の投げ渡し合い押し付け合いがスラップスティックとしていちばんダイナミックな箇所なのに、ここの演じ方見せ方がせせこましく窮屈。もう少し舞台を広く使わないと。メガネ細身の芹沢「(霊が見えてるの)オレだけ…?」と表明してからの動きがお芝居としてはなかなか良かった。サイババ頭を定点にして、ほか4人の持ちキャラをもっと明確にするなど、とりあえずまだ向上の余地はあると思う。

初コントで4389kbハマカーンは、結局、ボケ浜谷に落研下地があるということをご披露しただけで終わった感。落語風味を取り入れたことでコントとしての広がりや、他組のコントにはない独自の味が出たかというと何とも言えない。神田が(今度ばかりは)ムダに(姉ゆずりに)長身なために、座位を通した浜谷との落差で絵ヅラとしても見辛かった。

むしろギリ5位でのオンエアとなったえんにち381kbのほうが珍しく素直に笑えました。今回はツッコミ望月の声の通りとテンポがいままでのオンエアでいちばん良かったと思う。チャンピオン大会経験もプラスになったか、表情も締まって愛嬌が出ていて、相乗効果でアイパーも光った。アイパーの顔芸とヤクザキャラを定点としてこれからも行くなら、どうやって、どこまで上昇できるかは望月のツッコミにぜんぶかかっていると言ってもいい。

計量ジャッジ時の、いちばん左端の天竺鼠との顔芸ガンタレ比べは結構会場が湧いていましたね。いつもこの人たち、どうってことないパフォのわりには玉が入るなあと思って見ているのですが、もう無傷の5連勝。TVを通してだけではわからない、現場でライヴで見てこその、客席を惹きつけるチャーミングな要素を何かしら持っているのでしょうね。こういう角度から認知度を高め地歩をかためていく方法ももちろん“アリ”です。

3397kb恋愛小説家は、いつだったかいつもここからがフリップに描いていた“見送りの列車がなかなか発車しないときの車窓越しの間の悪さ”を採り上げ、着眼は悪くないのですがちょっと動きの多さ比で燃費が悪い。「ボクはええけど、オオグモさんこの電車で名古屋まで行くねんぞ」などツッコミ西野のごもっとも至極なとぼけたセリフで呼ぶ笑いを、もっと前面に出すほうがよかった。

個人的に残念だったのはアルコ&ピースのオフエア(253kbでヴィンテージ317kbに次ぐ7位)。惜しいオフエアには「好キャラだけどネタが弱い」「うまいんだけど古い」「良ネタだけど硬い」「高センスだけど粗い」などいろんな“Yes~,but…”がありますが、たぶんこの人たちの今回は、「おもしろいんだけどわかりにくい」

わかりにくければ「おもしろい」ってこと自体わからないだろうと思われがちですが、なんかわからないんだけどおもしろいぞ、ってことがお笑いにはあり、評価して点数上下つける場面ではそれが有利にも不利にもなる。

この人たちは6:4で不利と出やすい芸風じゃないかなと前回の“ショップ店員と客”ネタでちょっと思ったのです。放送作家さんやディレクターさんたちにではなく、シロウトの観客に披露して喜ばれるのは「うーん、うまい!」と“唸らせる笑い”ではなく、“気分が高揚し開放される、お祭りの笑い”。そこらへんが調整されてくれば、最近ちょっと沈滞気味なコント勢の新勢力にもなれると思います。

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スクランブル態勢

2008-05-22 23:29:32 | アニメ・コミック・ゲーム

四川大地震被災地に、日本人医療チーム到着。人工透析用の機材や簡易手術装置・超音波診断装置なども持ち込んで、かなり高度なニーズにも対応できる装備とのことです。医師・看護師・薬剤師ら22人編成らしいですが、余震・ダム決壊など二次災害の危険もあり、感染症の拡大などリスクの予測もむずかしい現場を勇躍買って出る。日本にも志高く勇気あるお医者さんや医療技術者はまだまだいるんだ、と心強い…反面、「そんならなぜ当地郡部の地域拠点病院や自治体経営の病医院は、いつまでたっても慢性的に医師不足だ医師不足だ言ってるんだろう」と首を傾げたくもなります。

寝起きや食事、バストイレも思うにまかせないであろう海外辺境の被災地に乗り込む使命感と体力と医療の能力があるなら、頼むからウチの町立病院で半年でいいから診療してくれ、給料は倍はずむから、と訴えたい地方の人は少なくないと思う。

東京発の報道番組などでは夜間救急や小児科、産婦人科の医師が特に足りないことを再三強調して「夜中に赤ちゃんが熱出したらどうする」「安心して子供など産めない」と視聴者ひいては国民の不安を煽っていますが、何をいまさら。そんなのは地方では56年前にすでに通ってきた道。いまや小児科や産科に限らず、一般的な内科を筆頭に、外科も眼科も整形外科も、何科もカニカもぜんぶ、そこらじゅう医師不足です。

地方で拠点病院に医師が不在のため、地方在住者は否応なく大学医学部のあるような大都市の総合病院に押し寄せ、そのせいで都市部の病院、特に腰椎だの痛風だの“なんちゃらの専門医”が常駐する級の有名病院は月~金、朝から晩まで災害直後ぐらい患者が行列ぎゅう詰めです。

今般の日本医療隊、災害現場の最前線に赴く希望はかなわなかったものの、成都市の大学病院を“視察”し現地のスタッフから歓迎と激励を受けた、という報など聞くと、ようするに日本国内で、意欲と技量のある医療者を適切に“配分”する知恵が足りないだけじゃないのか?という気がしてきます。

人手が求められているところに、志ある人が、いないわけではないのになぜ投入されて行かないのか。その知恵は医科大学や大学院などの医療教育養成機関の担当なのか、地方・中央の行政がやるべきことなのか、よくわかりませんが。

『花衣夢衣』39話。東海昼ドラ名物・創作料理登場。今作は澪(吉田真由子さん)が真帆(吉田真希子さん)に作った、夫婦茶碗の破片入りオムレツでした。ガリッガリガリガリクソン(←意味無)。

嫉妬に狂った女が、裏切った男に出して「召し上がれ」がいままでの創作料理の基本(基本ちゅうのもなんだが)でしたが、今回の澪→真帆は嫉妬や嫉妬からくる憎しみというより、幼い頃から苦楽をともに育ってきた(と澪は思ってきた)姉に「私がこんなに悩んで傷ついているのに、なぜ察してくれないの」という訴え「姉さんとの絆より、いまの私にはもっと大切なもの(お腹の子、それによって回復するはずの家庭)があるのよ」との所信表明の様相も帯びているところが新しい。少女時代は、ひとりが危険やつらい目に遭いそうなときは、テレパシーのように離れていてももうひとりに伝わる…という場面も一度ならずあったのに、澪が将士(眞島秀和さん)と結婚し生活・関心の重心がふたり分かれてからは、きれいにテレパシー描写はなくなりましたから。

この場面に先んじて、澪が行き先も告げずに外泊してしまったために、イライラ将士が莉花(伊倉愛美さん)のために朝食にやっつけで焼いた失敗目玉焼きも登場。その頃澪がくだんのオムレツを真帆宅の台所で焼きながら「お父さんが生きていた頃は、卵は貴重品だったわね、万平おじさんが持って来てくれるたびに、私食べたくて食べたくて」と意味深に微笑むなど、“卵”というベーシックかつアットホームな食材を、心かよい合い物質的にも満ち足りる平和な家庭生活の象徴のように使った、なかなかワザありの今作の創作料理プレゼンでした。

02年の『真珠夫人』束子コロッケに始まって、いつの間にかこの枠の“伝統”“お約束”になってしまった仰天創作料理ですが、月河は毎作、さほど突飛ともネタ臭いとも思わずに視聴しているんです。なんだかんだ言っても“料理”は女性、特にビジネスや芸術などで自己を解放し評価されるすべを持たない専業主婦にとっての、ほとんど唯一の自己表現手段だということは否めない事実でしょう。財布ステーキや携帯ケーキを実際作る女性はさすがにいないと思いますが、ハラの立つ男に手料理を用意するとき、「辛子かワサビごっそり仕込んでギェー飛び上がらせてやっか」ぐらい一度は考えたことがある人は多いと思う。普通の女性の、普通の情動の延長線(長い延長線だが)上にちゃんとあるのです創作料理。

先鞭をつけたのはもちろん『真珠~』以下の脚本を書かれた中島丈博さんですが、女性の情念主導の物語である昼ドラに、まさにピンポイントなモチーフをうちたててくれたと思います。

もちろん、定まってコンセンサスを得た“お約束”を、以後、それこそどう“料理”するかは、後続作を製作する側のセンスと知恵にかかっていますが。

……澪が意味深スマイルでジュワー卵を溶いている場面で、脳内に連(片岡信和さん)が登場、「火が通り過ぎないうちに手早くかき混ぜるのがポイントっスよ」と声が聞こえてしまうのはもちろん『炎神戦隊ゴーオンジャー』の見すぎです。

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そうね大体ね

2008-05-21 19:33:03 | テレビ番組

サザンオールスターズの無期限活動休止発表、何が驚いたって、聞いても全然驚かない自分に驚きました。

コンスタントに整理入れ替えはしているけど、いちばん多い時期はフルアルバム4タイトルぐらいと、桑田佳祐さんのソロやKUWATA BAND名義も含めればシングル8枚ぐらい持っていたのに。……って、少ないか。でも自分の中では、邦楽でいちばんシンパシーのあるアーティストのひと組に違いはありません。少なくとも、「もう飽きた、つまらなくなった」「なんでこんなのが好きだったんだろう」と思ったことは一度もない。こういう体温で接し続けられているアーティストは洋・邦を通じて、と言うより、広く芸能人自体が他にいないかもしれない。

自分が1人暮らしを始めて、実家の家族に気を遣わずに好きな音楽を身近におく、流しておくことにこだわりを持ちはじめた“元年”がまさに『勝手にシンドバット』での♪ ラーラララララ ラーララー …衝撃デビュー78年だったことも「一緒に歩いてきた」感を強めています。

でもま、ご当人たちの身になってみれば、30年ですよ。一緒にやってて「そろそろ潮時」感が全員の胸に去来して当然でしょう。桑田佳祐さんと原由子さんはご夫婦も兼行だからそうもいかないだろうけど、あとのメンバーは他人だし。

それはともかく、自分がサザン休止の報にこんなにクールでいられるのは、やはり音楽、音楽家というものの特性だと思う。ご本人たちがバンド活動をやめても、かりに音楽活動自体を休止したとしても、30年間にリリースされレコード化CD化され、FMAMラジオで流れ続けている曲はそのまま流れ続け、聴き続けることができる。むしろ今般の休止の報で、各局が特番の企画を大車輪で立てて、ここしばらくはサザンの曲を耳にする機会が、むしろ増えるかもしれません。バンド、演奏者の活動に関係なく、すでに発表された楽曲は独立してひとり歩きしているのです。

こう考えるとやはり“音楽”の力は偉大だなぁと思わざるを得ません。“無期限活動休止”発表したのがミュージシャンでなく、俳優さんだったとして、デビューから30年シンパシーを持ち続け欠かさず出演作をチェックしているような人だったら、たとえ過去作をビデオやDVDでほぼ完走していたとしても「もう新作が観られないのか」というショックは大きかったと思います。映画やドラマの過去作は、出ずっぱりの主演だったとしても“役者誰某さんのもの”ではないし、それに役者さんのファンはやはり“作品”ではなく、芸風などで差はあってもたぶん73かそれ以上の比率で“人”につくものではないでしょうか。

ばりばりメジャーなまま休止するバンドの話題からいきなり失礼な連想ですが、「演歌や歌謡曲の歌手は、売れなくなっても一発屋でも、人口に膾炙したヒット曲持ち歌が12曲あれば、それをひっさげての地方回りで、声が続く限り食い詰めることはない」「昭和ベスト盤やコンピ盤に収録されればそのたび印税も入る」という話を思い出しました。

「…それに比べて役者(俳優)は、どんなに演技力があって過去作で名演技を披露していても、いまオファーがなければ収入はゼロ」と続きます。

サザンの場合、いままでのヒット曲のほとんどがメンバーの自作・自編曲で、バンドうちそろって顔を出しパフォーマンスし続けなくても“実入り”は途絶えないということも、きっぱりあっさりの休止決断を促したのかもしれません。

それにしても、休止報道の翌日いきなり所属レコード会社の株価が暴落、なんて聞くと苦笑を禁じ得ませんな。喩えは悪いけど「…小判ザメ」とか連想してしまう。やはり“サザンオールスターズ”のラベルで“新製品”を無期限発売できなくなったという“経済損失”は大きいのでしょう。市場経済、音楽も商品、アーティストも、アーティストの名前も商品。

『花衣夢衣』38話。今日は何が笑ったって澪(吉田真由子さん)の「成仏しちゃったら晃ちゃんもう産まれて来ないじゃないの!」。……もう、しっかり妊娠していることはわかっているんだから、「赤ちゃんができたのよ、天国の晃一が私たちにもう一度幸せをと授けてくれたのかもしれないわ」ってさっくり将士に言えばいいのに澪。

“(将士が跡取りとして溺愛していた)晃一さえ還ってきてくれれば、壊れた夫婦の絆も回復でき、いちばん幸せな時代が戻って来る”との妄念に取り憑かれて正常な判断力がなくなったと見ました。過去の幸せを象徴する“何か”にすべてを仮託して、その奪回に血眼になり、新規に別なものを構築するほうに気が行かなくなる。もちろん“何か”は不可逆的に失われたものなので、奪回できるはずもなく、挫折感と徒労感、閉塞感がいや増すばかり。不幸の拡大再生産、デススパイラルですな。笑ったあと、そこはかとなくコワ寒い。

澪が「晃ちゃんをもう一度産む」という狂信的なレトリックまで使って晃一にこだわるのは、角度をかえれば将士(眞島秀和さん)の、自分の妻としての価値の評価が“跡取りになる男児を産み育ててくれている”という、一点にかかっていたからとも言えます。少女時代から、才気でも色気でも姉に後れを取り評価が低いと感じていた澪にとって、“結婚して子をなし夫に喜ばれた”ということだけが姉に勝てた項目だから。

「晃ちゃんを事故に遭わせてしまったから、将士さんにとって私は価値がなくなり、真帆に奪われてしまった」「晃ちゃんをもう一度産みさえすれば将士さんも私を見直し帰って来てくれる」という妄想が、いまの澪を衝き動かしています。

第一子の莉花(伊倉愛美さん)が生まれたときは跡取りにならない女児ゆえに、さほどの関心も親バカぶりも見せなかったという将士。将士も“家系の継承”という呪縛にとらわれ人生を誤った哀れな男です。これまた失礼な連想ですが、現在の日本皇室、特に東宮ご一家のことも思い出されました。

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