イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

スクランブル態勢

2008-05-22 23:29:32 | アニメ・コミック・ゲーム

四川大地震被災地に、日本人医療チーム到着。人工透析用の機材や簡易手術装置・超音波診断装置なども持ち込んで、かなり高度なニーズにも対応できる装備とのことです。医師・看護師・薬剤師ら22人編成らしいですが、余震・ダム決壊など二次災害の危険もあり、感染症の拡大などリスクの予測もむずかしい現場を勇躍買って出る。日本にも志高く勇気あるお医者さんや医療技術者はまだまだいるんだ、と心強い…反面、「そんならなぜ当地郡部の地域拠点病院や自治体経営の病医院は、いつまでたっても慢性的に医師不足だ医師不足だ言ってるんだろう」と首を傾げたくもなります。

寝起きや食事、バストイレも思うにまかせないであろう海外辺境の被災地に乗り込む使命感と体力と医療の能力があるなら、頼むからウチの町立病院で半年でいいから診療してくれ、給料は倍はずむから、と訴えたい地方の人は少なくないと思う。

東京発の報道番組などでは夜間救急や小児科、産婦人科の医師が特に足りないことを再三強調して「夜中に赤ちゃんが熱出したらどうする」「安心して子供など産めない」と視聴者ひいては国民の不安を煽っていますが、何をいまさら。そんなのは地方では56年前にすでに通ってきた道。いまや小児科や産科に限らず、一般的な内科を筆頭に、外科も眼科も整形外科も、何科もカニカもぜんぶ、そこらじゅう医師不足です。

地方で拠点病院に医師が不在のため、地方在住者は否応なく大学医学部のあるような大都市の総合病院に押し寄せ、そのせいで都市部の病院、特に腰椎だの痛風だの“なんちゃらの専門医”が常駐する級の有名病院は月~金、朝から晩まで災害直後ぐらい患者が行列ぎゅう詰めです。

今般の日本医療隊、災害現場の最前線に赴く希望はかなわなかったものの、成都市の大学病院を“視察”し現地のスタッフから歓迎と激励を受けた、という報など聞くと、ようするに日本国内で、意欲と技量のある医療者を適切に“配分”する知恵が足りないだけじゃないのか?という気がしてきます。

人手が求められているところに、志ある人が、いないわけではないのになぜ投入されて行かないのか。その知恵は医科大学や大学院などの医療教育養成機関の担当なのか、地方・中央の行政がやるべきことなのか、よくわかりませんが。

『花衣夢衣』39話。東海昼ドラ名物・創作料理登場。今作は澪(吉田真由子さん)が真帆(吉田真希子さん)に作った、夫婦茶碗の破片入りオムレツでした。ガリッガリガリガリクソン(←意味無)。

嫉妬に狂った女が、裏切った男に出して「召し上がれ」がいままでの創作料理の基本(基本ちゅうのもなんだが)でしたが、今回の澪→真帆は嫉妬や嫉妬からくる憎しみというより、幼い頃から苦楽をともに育ってきた(と澪は思ってきた)姉に「私がこんなに悩んで傷ついているのに、なぜ察してくれないの」という訴え「姉さんとの絆より、いまの私にはもっと大切なもの(お腹の子、それによって回復するはずの家庭)があるのよ」との所信表明の様相も帯びているところが新しい。少女時代は、ひとりが危険やつらい目に遭いそうなときは、テレパシーのように離れていてももうひとりに伝わる…という場面も一度ならずあったのに、澪が将士(眞島秀和さん)と結婚し生活・関心の重心がふたり分かれてからは、きれいにテレパシー描写はなくなりましたから。

この場面に先んじて、澪が行き先も告げずに外泊してしまったために、イライラ将士が莉花(伊倉愛美さん)のために朝食にやっつけで焼いた失敗目玉焼きも登場。その頃澪がくだんのオムレツを真帆宅の台所で焼きながら「お父さんが生きていた頃は、卵は貴重品だったわね、万平おじさんが持って来てくれるたびに、私食べたくて食べたくて」と意味深に微笑むなど、“卵”というベーシックかつアットホームな食材を、心かよい合い物質的にも満ち足りる平和な家庭生活の象徴のように使った、なかなかワザありの今作の創作料理プレゼンでした。

02年の『真珠夫人』束子コロッケに始まって、いつの間にかこの枠の“伝統”“お約束”になってしまった仰天創作料理ですが、月河は毎作、さほど突飛ともネタ臭いとも思わずに視聴しているんです。なんだかんだ言っても“料理”は女性、特にビジネスや芸術などで自己を解放し評価されるすべを持たない専業主婦にとっての、ほとんど唯一の自己表現手段だということは否めない事実でしょう。財布ステーキや携帯ケーキを実際作る女性はさすがにいないと思いますが、ハラの立つ男に手料理を用意するとき、「辛子かワサビごっそり仕込んでギェー飛び上がらせてやっか」ぐらい一度は考えたことがある人は多いと思う。普通の女性の、普通の情動の延長線(長い延長線だが)上にちゃんとあるのです創作料理。

先鞭をつけたのはもちろん『真珠~』以下の脚本を書かれた中島丈博さんですが、女性の情念主導の物語である昼ドラに、まさにピンポイントなモチーフをうちたててくれたと思います。

もちろん、定まってコンセンサスを得た“お約束”を、以後、それこそどう“料理”するかは、後続作を製作する側のセンスと知恵にかかっていますが。

……澪が意味深スマイルでジュワー卵を溶いている場面で、脳内に連(片岡信和さん)が登場、「火が通り過ぎないうちに手早くかき混ぜるのがポイントっスよ」と声が聞こえてしまうのはもちろん『炎神戦隊ゴーオンジャー』の見すぎです。

コメント
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