イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

色気ムーンムーン

2011-10-24 00:13:52 | パワーストーン

またまた『カーネーション』を一度もレヴュらないまま今週も過ぎにけるかな。もたもたしてるうちに、糸ちゃん(尾野真千子さん)のパッチ店修業もどんどこどんどこ設定上2年余り進んで、もう来週第4週は発展的お払い箱になりそうな気配です。

もう月河ごときが論評めいたものをネットの辺境の弱小ブログでほざこうなんて目論む自体おこがましいくらい、このドラマの推進力は図抜けているのかもしれません。1話ごと、1場面1セリフごと、何か書けば絶賛になってしまうのが目に見えている。それじゃあんまり芸がないからと、ベタ絶賛ではないことを何か書こうと思うと筆が、と言うかキーボードが重くなってしょうがない。

何と言ってもこのドラマ、格別新奇なこと、型破りなことをやってやろうという糸が、じゃなくて意図が、まったくちらつかず、“戦争をはさんだ、頑張る女性のお仕事子育てサクセスストーリー”という、手垢つき過ぎなくらいのNHK朝ドラ伝統軌道上にずっぽり乗っかって、踏み越えず制限速度内で、それでなおかつ十二分に新鮮快速だというところが素晴らしい。

素晴らしい素晴らしいと言っているうちに、個人的にはちょっと慌てたアクシデントが今週勃発。↑↑↑ブログタイトル↑↑↑に謳う通り、天然パワーストーンの中でもイエローフローライト探しにここ数年燃えている月河が、ジャケ買いと言うか、意味をあんまり考えずに、色つやカタチだけに惹かれて購入してしまったムーンストーン=月長石のペンダントがあったわけです。

直径4㍉ぐらいのささやかに楕円形なカボション(禿げ頭)カットなのですが、濃いミルクに一滴オレンジジュースを垂らして表面だけサッと混ぜたような色と肌理にひと目惚れ。パワーストーンとしては直感力や予知能力を鋭敏にするとか、女性性の守護石とも言われ、女性ホルモンの分泌をスムーズにして生理不順や生理痛を緩和、ひいては子宝に恵まれ、女性性相互の衝突であるところの嫁姑問題解決にも効用ありとのことながら、まぁこの効能書きの、特に後半は、子供と年寄りと動物(馬を除く)とバカが滅法嫌いな月河にはあまり有難みはない。

……それはともかく、私服勤務にもかかわらず原則アクセ禁の野暮天職場にこっそりinトップスで着けて行き、帰宅して入浴前に脱衣してペンダントをはずしたら、なんと、石が無くて台しかない(激沈)。

いったいいつドコで無くなったんだか。今朝、出かける前に着けたときにはちゃんと台上に石があったはず、だよね?……と振り返ってみると、どうも自信がない。最初から人に見られる装身具としてではなく、むしろ人目につかぬようひそかなお守りみたいな気分ですから、着けて鏡で確認したわけではない。ひょっとしたらだいぶ前から、石無し台だけのペンダントと化して気づかずにいた可能性もある。

念のため石モノアクセ入れの隅々調べてみましたが、静かにしまっておくだけの状態で自然と台から石が外れるわけはない。そう言えば以前、オニキスだったかクォーツだったか、ペンダントトップごとチェーンから外れてブラのカップにちゃっかりはまってたヤツがあったなと思い出し、入浴前ついでにぜんぶ脱いで脱いだものフリフリしてみるもカラブリ。

ペンダントに限らず、石モノを愛用していると、こういうことはたまさか起きます。チェーンやストラップが切れたり、接着が外れたり、ツメがゆるんだりで石だけが紛失してしまう。チェーンや台が修理可能だったとしても、紛失した石と同じモノは地球上にふたつと存在しません。

あったものが無くなるのはショックですが、ネガティヴに考えないほうがいいようです。二つと同じモノのない“地球の一片”が、ひとときアクセ等に姿を変えて自分と共有してくれた時間を終え、再び地球の一部となるべく旅立ったのです。

ご縁があれば別の鉱物として再会できるかもしれない。たぶん何千年も先のことでしょうけれど。こっちも人間でなく、生物でなく、鉱物になってる確率が大ですがね。

身近から石が失くなるときは、大体、悪い物を持ち去って行ってくれることも多いとか。そう言えば、最近、周期的な腰痛わき腹痛が不思議と何ヶ月も遠のいているような。

単純に、アルコール飲んでないせいかな。

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ちらっ。

2011-10-16 23:54:18 | 朝ドラマ

50週中、2週経過しただけですが、もう“平成の化け物ドラマ”と言い切っていいでしょう。NHK新朝ドラ『カーネーション』開始週に、半年間追尾し甲斐のあるドラマがやっと来たみたいなことをえっらそうにここで書いたものの、早くも後悔ムードです。

こんなに毎話毎話、ほとんど1シーンごとに見どころ、見せどころが来るんじゃ、感想にひたって咀嚼して書きおこす時間が、なんぼあっても足りない。先の第1週で、「これは全話追尾しないと損する作品だな」と直感した、“ロックオンの瞬間”は何曜日第何話のドコだったかをまず記録しておこうと思ったまでは覚えているのですが、振り返ればほとんど10秒刻みでロックオンされているのです。照準当たりまくりで、『カーネーション』がスナイパーだとしたら、月河は現時点ですでに蜂の巣です。

 かほどに手ごわいドラマと向こう半年、四つに組む決心をしてしまった。自分を殴りたい。いや褒めたい。どっちだ。前途は糸子(尾野真千子さん)並みに多難です。

とりあえず、7日(金)の第5話“お父ちゃん(小林薫さん)にしばかれてしょんぼり糸子(二宮星さん)、泰蔵兄ちゃん(須賀貴匡さん)の厚意で倉庫の中のだんじりに乗る”の約2分間は、朝の連続テレビ小説史上に残る、と言うより、テレビ小説の歴史を変えるかもしれない超絶名シーンだったと思います。と書いて今夜は終了。あぁ明日のBSプレミアムまで8時間を切ってしまった。

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ドレム 変身 地を駆けろ

2011-10-11 00:17:23 | 朝ドラマ

新しい連続テレビ小説『カーネーション』に、ざっくり言って席捲されています。になっています。3日(月)からこっち、日中でも深夜でも、起きている間、気がつけば『カーネーション』のことを考えている自分がいる。

こういう目にあわせてくれるTVドラマはいつの何作品以来でしょうか。『仮面ライダー龍騎』2002年末から03年明けの最終話前ぐらいまでが、ややこんな気分でした。あの年は暮れの買い物の間じゅう、ヒマさえあれば書店と玩具店に脱走して、龍騎本・龍騎グッズを大人買いしまくったものだ。当時は所謂“特撮イケメンブーム”のいちばん急上昇な時期で、ドラマやキャラにあまり関係なく出演俳優さんを表紙に持ってきただけのヴィジュアル本もリリースされ倒していて、『龍騎』ファンとしてはそういうシロモノを「チッ便乗商法」とニガニガしく思いつつも、店頭で真司くんに見つめられると「何かしら『龍騎』の未見情報あるかも」ととりあえず手を伸ばさないわけにはいかない。おかげで、月河史上、稀にみる金欠正月になったことも記憶に新しい。月河もいまより9歳ほど若かった(←こんだけ詰んだ年でのプラスorマイナス9なんか、基数がでかいんだから大して変わらないとの説もある)のでムチャもやった次第ですが、どうしてくれる泰蔵兄ちゃん(須賀貴匡さん)。

………逆恨みか。

2年後の『仮面ライダー剣(ブレイド)』『特捜戦隊デカレンジャー』との両輪に片足ずつかけた年末年始も、優るとも劣らない気分でしたが、このときは2年前の学習が活き、虜になりつつも制御はきいた。ドラマウォッチングも継続こそチカラなれで、いちいちカネと時間を野放図につぎ込んで、財政破綻したり“廃人”になったりしてちゃやってられないわけです。席捲され翻弄されることを楽しむ、知恵と余裕あるオトナになりませんと。

とにかく2011年のいまは『カーネーション』ですよ。普通に“早く続きが観たい”“次回が待ち遠しい”ドラマというだけなら、昼帯と特撮という非常に特殊なジャンルをレギュラーにしているおかげで、最悪でも年に1本か2本は拾えてきましたが、この『カーネーション』は、話の続きどうこうより、1話の中のどの1シーン、1カット、1セリフも見落としたくない、聞き逃したくない、バックに流れる楽曲の1フレーズもスルーしたくないという気持ちにさせる。

「早く先が見たい」より「繰り返し見たい」「すみずみ見たい」ドラマ。こういう視聴体験、体感も思い出せないくらい久しぶりです。

さぁ2011年の残りと、来年アタマの4分の1まではこの弱小無名マイナーブログにも目標ができたと言わせていただきます。帯は帯でもNHK朝なので週6日と録画も多忙ですが、このドラマを手がかりにすれば、こと朝ドラ、帯ドラマ限定ではなく、およそTVドラマというもの全般についてのいろいろなことが、ここへ来て掴めてきそうな予感がする。2008『瞳』の途中から、偶然に復帰した“朝ドラ”視聴は、『カーネーション』に出会うための長い助走だったのかもしれない。ほんの少し大袈裟を許してもらえればそんな所感すらあります。無色透明無味無臭じゃない、見せびらかしはしないが毒も臭みもトゲもカドもしっかりはらんでいる。“埋蔵量”の大きそうなドラマなのです。

「コイツについて好きなだけ書けるから、ブログ作っといてよかった」…と言いつつ、実際には3回か4回のエントリで終了なことも結構あるんですがね。

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子供は10時になったらネロ

2011-10-07 01:09:01 | 海外ドラマ

7日(金)から日本語吹き替え版が週1話ペースで放送開始とあって、『赤と黒』のカウントダウン番宣がBSプレミアムで放送されているようです。『仮面ライダーOOO(オーズ)』の天才真木所長=神尾佑さんのシム・ゴヌク声も聞きたい(むしろ、声入れ中の神尾さんを見たい)し、全体的に台詞が日本人声の日本語になると違った色合いで味読できるドラマかもしれないので、再度録画する予定ですが、どんなもんかな。

名古屋や下呂(ゲロ)温泉など日本ロケ風景も多少入り、外国人監督による日本での撮影作が例外なくそうであるように、日本人視点からは独特に見えるエキゾティシズムはありました。

9月集中放送の字幕版を視聴した限りでは、総じて不思議な感触のドラマでした。観ていて、掴んだかなと思ったらあらぬ方向にすり抜けて行くような“かわされ感”が随所にあった。

“幼時に自分を捨てたセレブ一族への、持たざるハングリー青年の知性とフェロモンを駆使した復讐劇”と聞いていたし、捨てられた彼にとって代わりセレブ息子におさまった庶子と、別方向から玉の輿狙いで接近するハングリー女子との擬似三角関係もありと、月河“大好物の気配”を嗅いでもいたのですが、主人公の気持ちに沿って、よろしくないこと、自滅を招きかねないこととわかっていて復讐果たせよと応援したり、逆に敵側=ホン一族側に肩入れして「全面対決で滅ぼされる前に改心して和解してくれたら…」と望みたくなったりという、復讐劇鑑賞の定石には一度もはまらなかった。

ゴヌクが、そもそもホン一族をどうしたいのか、もうひとつはっきりしないまま何話も経過してしまうのです。大企業グループのスキャンダル崩壊か、それを自分が乗っ取って最高経営者の権勢をほしいままにしたいのか。はたまた一族女性たちを誘惑し弄び堕落させたいのか、逆に夫の座におさまりたいのか。

むしろ、“復讐に名を借りた、復讐なんだと自分に言い聞かせながらの、実は迂回した自分探し”のように見えた。自分が接近し、接触し、彼らの感情を刺激するような言動を投下することで、彼らが怒ったり動揺したり、破顔したり、仮面家族の仮面を外して本音でいがみ合ったりするかどうか目撃し確認したい。「あなたたちも僕と同じ人間でしょう?これこれこんなことをされると、ほら、こんな気持ちになるでしょう?ならない?なるって言ってよ?」とゴヌクは問いかけているようでした。

彼らを憎み、本気で貶め踏みにじってやりたいというよりは、かつて「オマエはウチの子だよ」と天から降ってきたように連れて来られ、掴めたと思ったら「偽者だったのか出て行け」と奪われた“愛ある家族の絆”をもう一度取り戻したく、「あなたたちだって、本当は血のかよった、欲や憎しみもあるけど愛も情もある、普通の人間なんですよね、ね」と迫って行くための、方便としての“復讐”に見えました。

蔑まれ悔しい思いをさせられた相手に、本気でリベンジしようと思うなら、自分が相手を追い抜き乗り越えて偉くなり強くなればいい。1話でわがまま女優の付き人少女に諭したように、ゴヌクも復讐など徒労であり意味がないと理性ではとっくにわかっている。それでもホン一族を計算ずくで刺激し揺さぶらずにいられないのは、財産や出世欲や肉欲のためなどではない。彼らを知り、彼らの泣き笑いを自分の手で着火させてみなければ、ゴヌクは自分の拠って立つところ、自分はどこから来た何者で、どこへ行こうとしているのかを確認できないのです。

現代が舞台の韓国ドラマは初視聴でしたが、同国の皆さんにとって“家族”というものが別格に重要欠くべからざる存在だということが改めてわかった本作でもありました。家族をどうにかしなければ何も始まらないし決着もつかない。1話からからんでくる貧乏育ちの叩き上げキャリアガール・ジェインが、あわよくばの玉の輿願望を捨ててゴヌクに本気を見せてくるにつれ、「復讐なんか虚しいと知って、ひとりの男としてジェインと幸せになったらいいのに」「もう少しでなれるのに、くぅぅ~」という気持ちで見守れればいちばんおさまりが良かったのでしょうが、残念ながらそうは一度もなれずに終わりました。ゴヌクも、“もうひとりのゴヌク”であるテソン(←ゴヌクが“もうひとりのテソン”であるのと相似)も、あまりに母恋い、家族恋いキャラ過ぎるのです。ジェインであれ誰であれ、女を愛し欲すれば、それはもれなく“失われた母の代用”であることが目に見えている。こういう男性人物に恋愛劇は無理です。“家族”と“恋愛”とは利害が対立する。どっちかに命を賭けるなら、もう一方とは訣別する必要がある。血を分けた親きょうだい=家族が好きで好きで、大事で大事でたまらず、家族のためなら何でもなげうって惜しまない人に、恋愛上手も恋愛体質もいません。

終盤、事故で精神が壊れてしまったゴヌクをジェインが探しあて抱きしめる場面は感動的ですが、悲しき恋愛劇のせつなさとは本質的に違う。最後まで“かわされ、そらされ、はぐらかされ”感がつきまとった全17話ではありました。

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⑧枠:00番アズミノテイオー

2011-10-04 16:38:31 | 朝ドラマ

もう終わって何日も経って、後番組も開始して快走中の、過去となり果てたドラマになんだけど、これだけは書かずにいられません。

馬か。

競走馬か。「テイオー」って。

「あらぁ、帝王」。白紙同盟真知子さん(マイコさん)の親父(平泉成さん)の百白花来店に、陽子(井上真央さん)のお迎えリアクション(@『おひ』)(←“さま”付けがもはや面倒くさい)。面と向かって。いつからこんなにフレンドリーな仲になったんでしたっけ。真知子さんの結婚拒否→須藤家お便所立てこもり→帝王手下と来襲ドア叩き壊して連れ戻しの一件は、もう微笑ましい昔話になったのか。

「あのときのテイオーったら、うちのお鍋で叩いたんですもんねぇ」「いやぁ悪い悪い、よく覚えてたなあ」なんてノリで。融通のきかない師範学校タイプだった井上さんの陽子が、鄙には稀な婀娜っぽさの熟年若尾文子さんの陽子にどうもつながらないなとずっと思っていたのですが、こういうノリがこの時期にすでにあったと想像するとつながらないこともない。一応、町長って、選挙で選ばれる公職なんだから、いまだに“安曇野の帝王”を名乗るのは金脈問題を誘発して議会でしぼられたりしませんかね。料亭やキャバレーでの「社長さん」呼びぐらいのモンかしら。老舗でもなくなった野っ原の、20余年後の“アンノン族”御用達みたいなラフな店で、陽子もこんなラフな接客するうちにくだけて行ったと思えばいいのか。

 「あの人はその後こうなった、いまはこうしている」のナレとともに懐かし場面のフラッシュが流れた人物はともかく、流れなかった人物はそれなりの逝き方で彼岸に行ったと思っとけということなのか、いろいろスースー風通しのよすぎる、仮設住宅みたいな最終週でしたが、まぁとりあえず半年間お疲れさまでした。好むと好まざるとに関係なく日本じゅう震災復興一色、がんばろうムードに塗りこめられた時期に放送がまるごとぶつかって、スタッフもキャストの皆さんもヘンな緊張、なくもがなの気遣いを強いられたふしもあったのではないかと拝察します。

それかあらぬか最後のほうは、「帝王」呼びもだけどいきなり英語教師イイダコ太郎(近藤芳正さん)がジャズバンドマスターになって育子(満島ひかりさん)と再会したりなど、文字通りタコの糸が切れたかのようなネタ化も目立ちました。まぁあの人物もこの人物も、出しては放置、登場させられてはフェードアウトの連続で、ドラマ視聴していてこれ言うのは最大級の反則なんですが、「こんなホンなら月河でも書けるわ」と何度思ったことか。

人生も人間関係も、あらかじめ首尾一貫した線上につながって起承転結したり上昇したり堕落したりすると決まったわけじゃなく、その日その場で自分に、あるいは目の前にいる大切な人に、良かれと思った言動が、単発単発のエピソードを生む日々の連続。そんな日が何ヶ月、何年と積み重なって、気がつけば全体的に幸せらしきものになっている。そう思えばかなりリアルな…とまではいかないけど、無いこともない、昭和日本のどこかにいそうでいない、いなさそうで実は結構いる、庶民女性の一代記だったのかもしれません。

とにかくこの作家さんが、ここまで“白紙同盟”を愛しておられたとは思いませんでした。丸山家舅姑の晩年も、結局蕎麦打ちより作陶がライフワークになっちゃった和さん(高良健吾さん)の老後ヴァージョンも、東京で結婚したという日向子ちゃん(井上琳水さん→曽我美月さん)の大人ヴァージョンも登場せず、真知子さんが司葉子さん、育子(満島ひかりさん)が黒柳徹子さんになった、白紙同盟のシルバー版“銀紙同盟”が、最終話祝いの花環の様に乱入、「いちばん先に逝くのはイヤよ」「でも最後に残るのもイヤ」「二番目がいいわね」「ワタシも二番目」「ワタシも」という、笑えるんだか気が滅入るんだかわからんご長寿トーク展開、これがオーラスひとつ前のシーンになるとは。安曇野より、蕎麦打ちより、戦争を耐えた夫婦愛より、“女学生の友情”が大事だった様子なのです。

長兄の遺志を継いで、勉強苦手だったはずの次兄茂樹(永山絢斗さん)が復員後、人生の目標に医師を目指すという展開はかなり大きな脇ストーリーになると思ったんですけどね。教師退職してしまい夫婦善哉と子育てぐらいしか、ヒロインにはイベントがなくなった矢先でもあったし。

育子を黒柳徹子さんで出すなら、臥薪嘗胆めでたく須藤医院を開業した茂兄ちゃんのシルバー版も出して、“お似合い度”判定を視聴者に仰ぐべきでしたな。黒柳さんが文句言わなかったのかな。「若い育子にはこんな素敵な相手役がいたのに、アタクシになったらもう出てこないの?相手役はアタクシには要らないってこと?」とかって、あの声で。あのメイクで。「ココにアメ入れてあるんだけど、茂樹さん出してくれないならあげないワ」なんて。

誰がいいかな、シルバー茂樹役。森繁久弥さんとか。故人か。年齢逆転するけど、黒柳さんとの名コンビつながりで久米宏さんとか。震災にドンと寄付以後、動向聞きませんがお元気かな。

タモリさんとか。クチと料理が初期設定を超えて達者すぎるな。休診日はずっと密室芸。「須藤医院にはロシア人やベトナム人の患者も来てるらしい」と安曇野一帯でウワサになる。

 草野仁さんとか。医専で解剖実習などするうち筋肉に興味を持ちすぎたか。完治した患者さんには“しげきせんせい人形”が1体ずつプレゼントされるらしい。

 ……バカなことばっかり考えてますが、視聴する側の関心体温の載りどころと、作り手が熱くチカラ入れたがっていたところとが、後半特に噛み合わなかった。白紙同盟への偏愛に端的にあらわれていますね。高圧帝王オヤジをものともせず、持たざるリーマン男性のもとに転がり込み結婚、男の子・実くんを産んで「孫可愛い」で帝王を屈服させてしまった“なにげに魔性”な真知子さんも素敵だし、世界を跳び回る育子はカッコいいし、受け身で目先限りの夢しか持てない陽子との好対照として機能はしていたけど、半年続いた物語のラス前シーンがここというのは、いささかバランスが悪い。ほかの、もっと愛され、劇中でも尊重され深く長く描出されていいエピや人物が軽視されて、もったいなかった。

←←左柱←←に載せた渡辺俊幸さんのサウンドトラックCD、リリースが6月と早めだったので、放送終了前に第2集リリースはないかなと期待したのですが、気がつけば8月頃からあまり耳に新鮮な曲も投入されなくなりました。1集きりで打ち止めで正解だったのかも。

良くも悪しくも掘り下げないほうが花なドラマ。最終話で富士子お祖母さま(渡辺美佐子さん)を足止めさせるべく、運転手神蔵さん(中原丈雄さん)の腹痛芝居アゲインは良かった。結局、故・桐野子爵より奥様の良きパートナーになってんじゃないかと思う「カミクラ。」、奥様との漫才映像も出せばウケたのにね。

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