イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ハーフボイルドだど

2010-08-29 11:15:44 | 特撮・ヒーロー

祝!フィリップくん帰還!て言うか実体復元!(@『仮面ライダーW)。

亜紀子所長(山本ひかるさん)じゃありませんが「これこれ!やっぱこれよ~」

昼帯の最終話っぽく“結局、ヤツらも結構いいヤツでした”な園咲ファミリーになってしまったのが気にならなくもないけれど、“俺たち2人で1人”がエンドマークの彼方まで続いて本当によかった。伝統的に孤高・孤独のヒーロー、“本意に反して無理やり能力賦与”の要素を背負った“仮面ライダー”に、意志で選んだ、好きこのんでのチームワークと“凸凹コンビ”性を取り入れた。気がつけばさりげなく画期的なシリーズでした。

風都よ、鳴海探偵事務所よ、永遠なれ。めでたいので、今日は余韻にひたってここも休業。

みみっちいレヴューはまたの機会に。今日は一日脳内BGM『今までのダブルは』~『俺たち二人で一人』~『Wのチェンジ』~『空中バトル』~『出撃リボルギャリー』(@『W』サウンドトラック)のシークエンスで。

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ロールドキャベッジ

2010-08-28 16:37:34 | 朝ドラマ

昨夜からシーズンⅣ視聴に突入して、睡眠時間確保がヤバい状況になりつつありますが(@24(トゥウェンティフォー)』)、序盤、電話一本でジャックとオードリーを救出に駆けつけてくれたトニーはヒーローっぽくてカッコよかったけど、あの後自宅で「ビールでも飲みますか」って自分でガー注いで飲んでますよね。飲んでからジャックに誘われて、ヘンリー・パウエル確保など行動をともにしている。

 ……完全に飲酒運転なんですけど。

放送コード的に大丈夫だったのかしら。少量でも、飲んでから8時間は血中にアルコールが残存するので酒気帯びに該当すると聞いた覚えがありますが、『24』は24時間の話なので、飲んじゃうと劇中三分の一は出番がないことになる

 それともあれはFREEとかZEROのたぐいだったのか。シーズンⅠからトニーの端末デスク上にあったシカゴ・カブスのマグで飲んでたし。Ⅲで逮捕され投獄されジャックの奔走でパーマー大統領(当時)に特赦されてから、おもむろにCTUに引き取りに行ってきたのかな。段ボールに詰めたりなんかして。緩衝材代わりにコピー損じの紙クシャクシャして入れたりなんかして。ミシェルが宅急便の手配したのかもしれない。複写の送り状書いたりして。トニーはカブスのファンなんですね。福留孝介選手も応援してくれてるかしら。

 ………シリーズ進むごとにどんどんトニーから目を離せなくなってきている自分を否定しません。的確な指示びしびし出すときでも、迷いながらの苦しまぎれ発言でも、言う前に必ず吐く「ふはぁ」みたいな、水木しげるさん漫画の様な溜め息がたまらない。Ⅲではリアルタイムでヒゲがむくむくと濃くなってきてました。胸毛その他も濃いんだろうなあ(何を考えているんだ)(別にいいじゃないか)。

Ⅳではいきなりやさぐれコンディションからの参入でしたが、CTUに復職するならⅡのジャックのようにヒゲ剃ってから来いよと。本部栄転して副本部長にまでなっているらしいミシェルとの再会は何時頃かしら。夜になってからかな。ワクワク。

今週の『ゲゲゲの女房』は珍しくしげるさん(向井理さん)が働き過ぎで倒れてしまいましたが、「5時に締切りがある」と起きかけて布美枝さん(松下奈緒さん)に止められ「…晩飯まで寝るか」と従うのがなんとも。立ってられないほど体調が悪くても、メシ食うだけはおろそかにしないのがしげるさん長もちの秘訣。疲れてるなら疲れてるなりに、消化のいいお粥と好物のバナナを用意してくれる磐石のメシ補給担当=布美枝さんが常に身近にいてくれることをも含めて、“胃”“食”との縁が太く、絶対に途絶えない。こういう人は強いなあ。風邪引いた、仕事立て込んだ、疲れたくらいで食欲が落ちるようでは人間、大成せんのですな。

とは言え、前週「南の島は楽園、家族で移住しよう」と言い出したときにも、布美枝さんに「(漫画の)仕事はどげするんです」と指摘されて「南の島に、漫画の猛事業を持ち込むわけにはいかん」と思いとどまっていたし、なんだかんだでしげるさん、漫画を描き続けられることと、存分に食えることとが最優先で、南の楽園でのんびりはその後なのね。

実家でいちばん気心の通じるきょうだいだった貴司さん(星野源さん)が不慮の事故で亡くなって傷心の底に突き落とされた布美枝さんでしたが、戦争でなくても理不尽に、心の準備もなく親しい者が彼岸に奪われてしまうことがある。「お母ちゃんがおらんと、家の中が暗いなあ」とのしげるさんの所感を子供たちから聞き、「子供を(彼岸に)送るほどつらいことはない」との本心の言葉をイトツお義父さん(風間杜夫さん)イカルお義母さん(竹下景子さん)からも聞けて、“共感し必要としてくれる家族が、私にはある”を実感し、意を強く持ち直した週だったことでしょう。“受け容れ、耐え、咀嚼が必要なものは咀嚼消化、不要なモノはあっさりスルーして立ち直るキャパシティ”が、広やかでゆったりしているのが布美枝さんの魅力ですね。

ジャック・バウアーに布美枝さんを紹介してあげたかった。テリーよりケイト・ワーナーより、オードリー・レインズ(旧姓へラー)よりジャックに絶対合う、日本の誇る当代最高のお嫁さん。ちょっこし顔が長いけどそれくらい何だ。オードリーだって長かったじゃないか。身長ならお釣りがくるほどUSサイズだし。

言葉の壁があるけど。ミンチドミートがジャストアリトルな太った餃子とか、スイートポテトぜんざい、ジャックは好きかな。パンプキンの種の煎ったのとか。

…て言うか24時間は食べてる暇がないかチクショー。

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そんなことアルメイダ

2010-08-27 16:31:11 | 海外ドラマ

遅ればせ24(トゥウェンティフォー)』もシーズンⅢまで完食。週一の放送じゃなく、パッケージソフトでほぼ一気見のペースでⅠから視聴してくると、“製作側のテンション&意図の早送りウォッチング”みたいで独特な興趣がありますな。

この時期はまだ「ヒット作になったぞ、イケイケどんどん」な、フレッシュな空気で作っていたのでしょうしね。

それにしてもⅡまでで、殴られても蹴られても撃たれても、飛行機が墜落しても核爆弾運んでも、拷問で心停止しても平気な顔で生還して次の局面に飛び込むジャックさんが“死なないにもほどがある”ため、「視聴者が“どうせジャックは死なないんだから”とまったくハラハラしないのはユユしき事態である」と、製作サイドも考えたんでしょうねえ。Ⅲでは冒頭からジャックに時限爆弾持たせとけとばかり、“潜入捜査で麻薬漬け”設定と来ました。

しかし、クスリ打ちたい、でもいけない、打ちたい、いけない、くっそーチクショウ注射器バリーンゴムバンドバチーン!みたいな、絵的にわかりやすい葛藤があったのも最初のほうだけで、CTUに戻って何とかいう女性監理官の聴取を受けた後は、“こんなとき、ヤク中だから心配、大変”と観客がハラハラすることもまったくなくなっちゃいましたよね。

その代わりと言っちゃなんだけど、Ⅰからおなじみだった人物が続々“完全退場”しました。

まずは拘束されても拘束されても何かしらの理由つけては出てくるニーナ・マイヤーズ。最後のほうは悪女と言うより、なんだか妖怪みたいな質感になってましたな。この人が出てくると、ジャックとトニーが協調してても“被害者友の会”というか、ぶっちゃけ“穴ブラザーズ”に見えてしまうのがね。ご本人もトニーに聴取された際「(同じ自供を)ジャックの次はアナタ…昔を思い出すわね」とか何とか言ってたし。

Ⅱで墜落現場から連行される間際、ジャックが耳元で何かささやいていたように見えましたが、字幕も音声も何も拾っていなかった。何て言ったのかな。「くたばれ」「二度とシャバに来るな」などじゃなさそう。一応、元カノだし。「オマエの鎖骨萌え~」とか。

「生まれ変わったら一緒になろうな」………ないか。もんのすごいS同士のカップルってのも悪くないと思うんだけど。

結局、嘘発見器で拾われたマーカス・アルバースとのゴムなし行為経由でHIVもらった疑惑は、トニーがカマかけただけだったのかな。あの、魂が九つあるヘビの様なニーナが、銃弾でも爆弾でも毒物でもなく、情報収集のため愛なくかかわった男からもらったHIVで命を落とすというのも、ちょうどⅢがウイルステロの話だったし、ある意味象徴的でよかったかなと思いますが。ヘタに改心なんかせず、ギリギリ足掻いて足掻いてジャックにとどめをさされる、彼女らしい最期。

本部のライアン・シャペルはちょっと惜しかった。Ⅱのジョージ・メイソンのように、一時にせよあからさまに逃げ出そうとしたバチ当たりの要素もないし、クロエの赤ん坊の一件で「キムに(世話を)やらせろ」「はい~?」の場面なんか、短髪に刈り上げて下ぶくれっぽくなったルックスとも相俟って、少しすっとぼけ鉄仮面系のおもしろキャラになりかかっていたのに。

そしてシェリー・パーマー、策士策に溺れると言うより、愚かで弱いから利用される立場になった者にも五分の魂があることを軽視した、これも天罰。

彼女のおかげで、黒人初の(劇中)合衆国大統領デイヴィッド・パーマーもⅢに来て大幅に株を下げました。現実主義だが忠実だったマイク・ノヴィックを切ってまで首席補佐官に抜擢した実弟ウェインが過去のつまらん下半身火遊びで足を引っ張るのも、デイヴィッドの人を見る目のなさの結果だし、その収拾のために、人もあろうにせっかく縁切ったはずのシェリーを担ぎ出し、案の定、彼女の無敵のあくどさを制御できなくなってやんの。再選立候補取り下げも遅きに失した。

反対に株を上げた筆頭はCTUのミシェルですね。ホテルで一般市民がバタバタ流血して死を待つ、自分も感染しているかもしれない地獄絵図を気丈に乗り切って、一難去ったら今度は拉致監禁。自力で脱出したが「人質交換が犯人逮捕の唯一のチャンス」とジャックに説得されて、勇敢にも武器を捨て再度拘禁されるに任せました。

彼女の存在で、夫トニーも心おきなくデレ披露できたし、まあそのせいで国家命令に背いた容疑で逮捕されちゃったけど、次シーズンは鉄格子越しの再会なんかもあるかしら。

爆弾娘キムは短髪プリンスのチェイス・エドモンズといきなり相思相愛設定でスタートしたシーズンでしたが、彼のジャックとの相克や前カノとの赤ちゃん問題を経て、序盤「僕らは厳しい競争試験でCTUにやっと入れたのに、パパコネで入りやがって」と敵対的だった若手分析員アダム・カウフマンのほうに、協働を通じて惹かれていく流れかな?と思ったのですが、ロバ顔アダムくんにあまり視聴者人気が出なかったのか、片手を失ったチェイスと相愛続行、切断張本人のパパも詫びて公認の流れのまま終了しました。総じて今季のキムはあまり捜査の足を引っ張らず、結構働きもあった印象です。ハイスクール時代は反抗的な遊びガール、母親テリーが楽しみにしていた大学進学も果たした描写がないわりには、コンピュータのスキルなんかは結構使いものになるのねキム。

テロ張本人のスティーヴン・サンダースは大物だったのかそうでもなかったのか。Ⅰで明らかにされたおなじみコソボの“夜のとばり(ナイトフォール)作戦”との接点があっただけで、伏線回収と満足して瞑すべしかな。俳優の有川博さんに似ていたこと以外特段の印象もない。シロウトのガエル妻に、結構な距離から私怨狙撃されてあっさり死んでるし。

“大勢の犠牲を防ぐための少人数の犠牲”“公的貢献のための私的、家族的幸福の犠牲”など、シーズンⅢはⅠ・Ⅱよりも社会メッセージ性において収斂度が高かったように思います。Ⅳではデイヴィッド退きし後、誰が合衆国大統領になっているのかな。

あとさ、この後のシーズンで、こんなのないかな。

Ⅰでテリーの妊娠カムアウトにカリカリきてたニーナが、実はこっそり隠し子を出産してて、そいつが19歳ぐらいのイケメンになって、大学中退のフリーターかなんかで、キムのだめんずマインドをキャッチして恋に落ちたりするのね。ほら、キムってⅢではモティベばりばりの若手のやり手チェイスに惚れてたけど、Ⅱではアタマより手足が先に出るミゲルと付き合ってたし、Ⅰでは気はやさしいけど臆病虫のリックに深情けだったし。

ところがニーナは生前一時ジャックと関係持ってたから、母親がニーナと知ってジャックパパは心穏やかでないわけ。

…ところが、いろいろあったあとに「父親はトニーでした」とわかってジャックと3人で「幸せになれよ」とハグ………んなわけないだろ!!どんだけ昼帯の観すぎだ。

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薩長同盟を探して

2010-08-25 14:17:56 | 夜ドラマ

最近ほとんど視聴していませんが、NHK大河ドラマ『龍馬伝』の次回サブタイトルがさりげなくすごいですね。何の気なしにめくっていたTV誌で見かけて、軽く吹いてしまいました。

 『薩長同盟ぜよ』“ぜよ”って。

主人公の龍馬(福山雅治さん)が土佐人なので、龍馬目線で「今週の話はこういう内容を放送するぜよ」とまとめたらこうなったということなのかな。まだ準レギュラー視聴していた春頃も『松陰はどこだ』とか『海軍を作ろう!』なんて龍馬主語のフレーズがありましたから、「最近の大河ドラマはプレゼンがくだけているな」と片づけとけばいいのかしらん。

 それにしてもあんまり口語すぎて。なんとなく、『シャボン玉ホリデー』のサブタイ『○◎△▼だ、ピーナッツ!』とか、ドリフ番組によくあった『□◆★☆だョ!全員集合』を思い出してしまいました。

……『薩長同盟だョ!全員集合』でも別に違和感なくないですか(あるか)。

まあ、土佐人龍馬が主人公だから“~ぜよ”になるのであって、当事者の一方の雄=薩摩からすれば『薩長同盟たい』にしてほしいかもしれない、

長州のほうはどうだろう、『薩長同盟じゃけぇ』になるのかな。

主人公が京都人だったら『薩長同盟どすえ』だろうし、大阪人だったら『薩長同盟でんがな』。

『ゲゲゲの女房』の出雲安来界隈出身なら『薩長同盟だが』。月河の地元なら『薩長同盟だべさ』。

かりに、関東のほう出身で、水戸光圀公のお膝元あたりなら『薩長同盟だっぺ』。横浜ならもちろん『薩長同盟じゃん』。

信州長野なら『薩長同盟ずら』。

関東と関西の中間、尾張名古屋にも触れないわけにはいかない。『薩長同盟だでいかんわ』。…ちょっと違うか(だいぶ違うか)。

………こうなると、日本全国津々浦々に薩長同盟があるに等しい。

出身地域に関係なく、個人のクチ癖というのもありますわね。小倉優子りんなら『薩長同盟ですぅ』、ユニット名忘れたけど、10数年前のグラマー女性漫才コンビなら『薩長同盟だっちゅーの』。

ビートたけしさんなら『薩長同盟だっての、ジャンジャン!』、タモリさんなら『坂本龍馬さんからのご紹介、薩長、同盟さんですどぞー!髪切った?』。

ケロロ軍曹なら『薩長同盟なのであります』、バカボンのパパならもちろん『薩長同盟なのだー!』。

某ネット巨大掲示板の住人なら『薩長同盟だお』。

………………一家に一台薩長同盟。ひと部屋一台薩長同盟。

月河個人なら↑↑↑(記事タイトル)↑↑↑ですかねえ。それにしても、歴史上、何やったんだっけ薩長同盟。

コメント (2)
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わたし、いかない

2010-08-24 18:36:46 | 昼ドラマ

先週(16日~21日)『ゲゲゲの女房』も終戦ウィーク協賛?か、しげるさん(向井理さん)の出征死線体験と、生還者としての使命感を軸にしたお話でした。

旧日本軍式の価値観や帰属意識についに染まることなく、しかし心身酷い目に遭っても根性だけは潰れることなく生き抜いてこんにちがあるしげるなればこその、したたかな生命力と感性が伝わってくる、見どころの多い週でしたが、ふと気がつけば笑っちゃうのは、第1週の確か第2話ぐらいで、イトツ父さんイカル母さん(風間杜夫さん竹下景子さん)や地元境港の人たちに見送られて出征したしげるは、まだ1話で少女布美枝(菊池和澄さん)にべとべとさんを教えた丸メガネの少年(川口翔平さん)だったんですよね。

『ゲゲゲ』の2年ほど前は土曜ドラマ『フルスイング』で高橋克実さんの鉄道好き中1息子を演じていた、あどけなさ残る川口さん。出征が昭和18年だとすると、ラバウル場面までの2年ばかりで向井理さん(の外見)に成長したことになる。向井さん公称身長182センチ。兵糧、少なかっただろうに。ビンタもされまくったそうなのに。恐るべき成長力。

戦争と人間の命…という重いテーマを採り上げしんみり語りつつも、底の一部分だけザルになってるみたいなツッコみどころを残してある。返す返すも好きですねえ、このドラマのこういうところ。

先日クランクアップの報が公式サイトに載り、放送も残すところ1ヶ月ほどになりましたが、貧乏ボロ家時代のしげるの仕事場が、ダウンロードしたPC壁紙でしか見られなくなったのがちょっと淋しい気もします。

いちばん手前に、男の子の小学校入学祝いにあげるみたいな、元気スカイブルーのT字型卓上蛍光スタンドがあり、じゅりんこじゅりんこレバー手回しする鉛筆削りがあり、机上には布美枝さん(松下奈緒さん)が結婚一周年のお祝いに贈った、はちみつ空きビンリフォームのお手製ペン立てがある。背中の書棚の、執筆資料や貸本時代の自著本、字引や事典類などは、背は古ぼけていても結構整理整頓は行き届いていて、ボロ家のボロ部屋でも、意外なほど惨めさ感はありません。新婚間もなくの“花と自転車”の和解劇以来、仕事場立ち入り掃除を許された布美枝さんが、出しゃばらず折りを見て片付けていたからかもしれないし、「生活が貧乏なのは仕方がないが、人間まで貧しくなってはいけん」という、しげるさんの精神至上主義の顕現とも言える。

置き道具、調度など、物言わぬモノをして持ち主の信条や心根を語らしめる。“目で見せる”に忠実で、目と想像力全開でしっかり見ている観客にはしっかりわかるように作ってある。初見で見落としても、時間をおいて再視聴するとちゃんと「そう、実はね」「よく気づいてくれたね」と教えてくれる。このドラマのそういうところにも好感持っています。

先週は、しげるの当時の上官(辻萬長さん)と、苦渋のナイス判断で左腕切断を敢行してくれた軍医さん(井之上隆志さん)とともに、戦中を回顧するシーンなどで、窪田ミナさんの新しい音楽もいくつか流れました。6月に出たサウンドトラック第1集はハートウォーミングな曲や癒される系の曲が多かったので、915日リリースの第2集には、ドラマ後半仕様の勇壮な曲やシリアスな曲もだいぶ入るかな。

今週(23日~)は夫婦の会話レス難局篇になる模様。仕事のピンチ(=版元から原稿料とアニメ映画製作出資金回収難)を打ち明けてくれなかったことものみ込み、妻として寂しさを訴えた手紙のゴミ箱直行も「読まんで描き損じと間違えて捨てたのかも」と無理やり善意に取り、「仕事のことにクチ出すな、家の事だけやっとれ」との亭主関白お決まり言辞にも持ちこたえた(←実家父を幼時から見ていて耐性もある)布美枝さんが、「今度の日曜、富士山に行くぞ」でキレたのがなんとも彼女らしい。

苦しいときに愚痴ってくれない、相談求めて頼ってくれないのも女房としてはせつない話ですが、夫が好きで楽しみにしていること、気持ちが晴れることを「一緒に行かないか、行きたい、行ってほしい」と分かちあってくれないのは、鼻紙も買えない貧乏のどん底で戦艦模型を一緒に作った思い出のある身にはたまらないでしょう。「どうしようもない時こそ、楽しくなる事をせんといけん」と教えてくれたのはほかならぬ夫なのです。

たぶんどこかでしげるさんが“お母ちゃんがおらんではいけんな”と気づいて歩み寄るのでしょうけど、「これからは何でもオマエにまず相談する」なんて180度宗旨替えすることはもちろんないのでしょうな。

“夫も妻も、基本は変わらない”“受け入れ、慣れ、順応するだけ”という安心感が、このご夫婦の魅力でもあるのです。人間、そうそう劇的にひと皮剥けたり成長したりするものでもないし。

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