イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

テレビは何処へ行った2020 ~麒麟はこないが異論がくる~

2021-01-19 22:45:05 | テレビ番組

 年明けもう半月過ぎてからいまさら前の年を振り返るのもなんですが、去年は本当に、稀に見る“テレビを見なかった年”だったなぁと思います。

 春先からのステイホーム推奨で、うちの高齢組がTVを占拠し、お任せ降伏状態の期間が長かったせいもありますが、それにしても、それならそれで、十年ほど前の韓国史劇ドラマ渉猟期のように、“脇から横目で見ていて、レコーダーの操作など手伝ってるうちに、誘い込まれて沼”となるコンテンツやジャンルが、ひとつふたつあってもよさそうなもの。

 どんだけテレビから低体温になっていたかの証左として、年末年始からのハードディスク録画。高齢組に頼まれて録って編集してブルーレイディスクに焼き中のタイトルのほか、自分で思いつきで録画リストに入れたのもあるのですが、再生せず放置になってるサムネの多いこと多いこと。

中でも、毎年正月恒例NHK『新春テレビ放談』改め『あたらしいテレビ 2021』(1月1日放送)が、焼いたまままるっきり放置。こんなのは近年初めてです。

 なんでだろう?ようするに、昨年のテレビがどのジャンルも、どこの局もあまりに逆境過ぎ、苦闘過ぎ、暗中模索の手探り過ぎたことがわかっているので、いち視聴者として“もう振り返りたくない”“振り返ってもらってもどうせシンドイの二乗”という気持ちがどこかにあるんでしょうな。

 本当に昨年は、「これだけは絶対見逃さない!」と思える番組が現れない一年でした。

 『いだてん ~東京オリムピック噺~』の後を受けて、放送開始直前撮り直しの危機にもめげず2週遅れスタートした『麒麟がくる』だけは未だ高齢組が忘れず見放さずに追尾していますが、誰からも言い出さないけど放送中断を挟んでの8月再開後はシロウト目にも明らかなテンションのばらけようで、湧水が小川になり何本も合流して巨大な流れになるていの“大河”どころか、個々の役者さんたちの“頑張った場面を並べてつないだ”だけの電気紙芝居と化しています。

 考えてみればドラマ、特に一本の話を多話数つかって起承転結させて行く連続モノにとって“中断”は、大工殺すにゃ刃物は要らぬ級の致死性です。NHKの組織力と大河ブランドの風圧で、よく役者さんたちを束ね切り集中力をもたせ切ったと、むしろ褒めてあげていいくらい。

 月河は完走できませんでしたが手堅く盛り付けた朝ドラ『エール』が、この年の連続ドラマの全局通じての最優秀作でしょう。キャストも演出も隙がなかったし、朝ドラの慣例“一週で一エピ完結”の刈り込んだ見やすさも効き、何より“戦争を生きて乗り越えて、戦後成功したとわかっている人の話”という点が、コロナに翻弄されるお茶の間に底知れない安心感を与えました。この点は、企図不明の謀反の挙句非業の死とわかっている明智光秀主役の『麒麟~』とは対照的。やっぱり、いまの日本人みんな、幸せに終わるお話を見たいんですよ。

 コロナで思いもよらず遺作となってしまった志村けんさんの出演もあずかってチカラ大だったと思います。やっぱり、1カットでも多く、動いてしゃべる志村さんを見たいよね、みんな。月河もネットで情報拾って、志村さんの出演回だけは忘れずに見ようと思ったもの。事件を起こして出演作を撮り直しや再編集余儀なくさせたり、お蔵入りにしたりする俳優さんも近年目立つ中、こんな形で作品を照射してくれた志村さんは人徳と言うべきか。

 3年前の『探偵が早すぎる』(前後編SPは一昨年)みたいな、人を食ったスマッシュヒットや、はなから半笑いで見始めたら意外や豪胆リメイクだった一昨年のテレビ朝日版『白い巨塔』のような、出合いがしらの拾い物も見当たらなかった一年でした。

 10月半ばから始まった『危険なビーナス』は久々に番宣で引っかかるものがあり、東野圭吾原作とは相性悪いんだけど・・の懸念を抱えつつとりあえず最終話まで来ましたが、最終話の録画をCMカット編集しているうちに、どうにも結末が楽しみと思えてない自分に気づいて、一応ダビってそのまま放置。

 家族の失跡や事故死の謎など真相探しのミステリ要素、資産家一族の財産を巡る“親の因果が子に報い”的なドロドロ、そして謎の美女に心乱されるラブ・サスペンス要素と盛りだくさんなんだけど、虚構感・非日常感のまぶし方のバランスがいまいちでした。所々に挟まれるコント風なコメディ要素もまったく笑えずに浮いていたし、なんとなくこのドラマの制作陣が、主演の妻夫木聡さん吉高由里子さんはじめキャスト陣に対するほどには、原作のお話に惚れこんでいなかったような気がします。

 ドラマ自体がしらしらとしていたわりには、役者さんたちは贅沢なくらい持ち味全開でミスキャストがひとつもなかった。「“謎の”“美女”ってガラじゃないだろう」と一部で不評だった吉高さんの楓も、いちいち先回りで目端が利くところなどぴったりだったと月河は思いました。1話見ただけで“探偵捜査のプロだな”と誰にでもわかるじゃないですか。古い話ですが07年の東海テレビ制作昼帯ドラマ『金色の翼』における、高嶺ふぶきさん扮する自称女流小説家を思い出しました。「演技でトボけてるだけだな」「トボけてるせいでかえって怪しまれてるな」と、劇中の誰にわかられなくても視聴者がわかればいいのです。こういう見え見えの書割り感、虚構臭さを楽しめればそれでいいのですが、どうも最後まで視聴者側の周波数に合ってなかった感。コロナ下でこのTBS日曜劇場枠の放送日程もだいぶ揺れ動いたようで、撮影も三密回避を課されるなど、いろんな意味で熱っつい集中力を掻き集めるのが難しい現場だったかもしれません。長丁場の『麒麟~』のバラけっぷりにも端的にそういう空気が現れていますね。

 ・・そんなわけで、去年は既視聴作の『刑事コロンボ』シリーズなど、リバイバルものばっかり見ていたような気がします。面白いとわかっているから、絶対裏切られない期待はずれにならないという、盤石の安心感がありますよね。いまやドラマにも、と言うよりドラマにぐらいしか“安心”が期待できない時代になったわけです。続きはこの次。

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マスクとティアラ ~慮(おもんぱか)りの可視化~

2021-01-03 16:14:20 | ニュース

 皇族方もマスク着用での新年祝賀の儀、ってのも、不謹慎だけど絵的にはなかなかのシュールさでしたね。

 普段着姿でなく、ぎっちりコードに則った正装でマスクだと、なんか“そこだけナマ身”みたいで、逆にコスプレ感が・・というか、いっそ萌えますな。ここで何度も書いているように、いまだ“萌え”というワードがしっくり使いこなせないままの月河でも、歴然と萌えました。豪華アンティーク衣装をまとった美少女フランス人形が“片手だけナマ身”みたい。握ったら温かくて、血がかよっていて、ギュッとしたらツメアトが残っちゃう、でも顔は人形のまま、ピクリともしない、みたいな。きゃー。

 ・・・令和3年新年早々変態か。でも、あの皆さんのマスク姿を見て“やんごとなき皆さんだって感染するときはするかもしれないんだよなあ”と、改めて、ウイルスの非情さ遠慮なさを思いました。医師会長さんや都知事に言われるまでもなく年末年始も連休もないし、宿主選びに貴賤もない、と。新コロ働き者過ぎ。

 しかし、「コロナ禍での国民の苦しみを慮って」女性皇族方がティアラ着用を控える、ってのはどうなんでしょう。意味あるのか。うちの地域ももうほとんど一年間、コロナでぶんぶん振り回されてヘトヘトですが、女性皇族がティアラを着けていないのを見て「せめても苦しさがまぎれた」「ラクになった」とは思いませんわ。

 むしろ、「もともとあんなの(←ティアラ)要らないと思ってたけど、無きゃ無いでなんかショボいな」「皇族っぽくないな」と、うちの高齢組もニュース動画見て口々に言ってたくらいです。

 「喪中の家を訪ねるのにアクセサリーとか光り物を避ける、みたいなもんでしょう」と、高齢組その2が一応フォローはしてました。「法事とかが終わっても、向こう一年ぐらいはなんとなく気は心でね」「亡くなった人もいるし、いま現に重症の人もいるし、お正月自体はおめでたい行事だからお祝い事のドレスを着るけど、キラキラした物はやっぱりチョット・・って、自己満足みたいなもんだけど、お気遣いってことでいいんじゃないの」「つけてないことが何かの役に立つとか、感染者が減るとか、そんな実効力なくていいのよ。皇室なんてそんなもんだから。シンボルマークなんだから」・・・

 ・・・“気は心”って便利なフレーズですね。でも、“国民の苦しみに配慮して”というアリガタイお気持ちがあらせられるなら、ティアラ自重なんてぇ重箱の隅突っつくことは言わず、いっそながながしいロングドレスもやめちゃって、男性皇族もまるごと全員ジャージ着ればいいのにね。白地に日の丸をつなげたドット風ライン入りジャージ上下。で御来光の様に目が醒める。鮮烈カラーが得意な、やまもと寛斎さんも高田賢三さんももういないから、いまなら誰だ。コシノジュンコさんか。いっそファーストリテイリングでいくか。汚れのつきにくい、防汚・防水機能で家庭洗濯乾燥できる新素材使用でお願いします。東京2021開催を信じて待つアスリート諸君にもおすすめ。

 「陛下お似合い~」「意外と脚長い~」なんつって若者にもロイヤルジャージのブームが来るかもしれませんよ。「さあー国民の幸せを祈るぞ!」と気合十分の表現としても、モーニング&ティアラなしドレスよりアグレッシヴで、年頭の祝賀にふさわしいじゃないですか。

 もちろん胸と、マスクには金糸の菊の御紋入りで。公式レプリカをネットで直販。売り上げの一部はコロナ医療従事者に寄付。時勢に合わせて、皇室行事も、シツラエも変えて行きませんと。

・・・とは言え(言ってるの月河だけだが)、天皇皇后両陛下も月河と同年代、その上の上皇・上皇后さまは親世代ですから、決してお若くはないので、ここは国民の幸せと併せてご自身の無事と健康も祈っといてください。日本まとめて良い年になりますように。

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