イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ダイナマイトぼぢぃ

2008-07-31 19:41:09 | 夜ドラマ

久しぶりにドラマで家じゅうで声出して笑いましたよ30日の『瞳』。「『スタジオパーク』で瞳(榮倉奈々さん)のウエディングドレス姿がVTRで出てたからこの先、あのコの嫁入りまであるらしい」と何週か前、高齢家族が言ってたのはコレだったのね。夢じゃん。目覚めての勇蔵(安田顕さん)「うぉ~ヘンな夢みた!」に「ヘンすぎる!」と高齢家族も珍しくツッコミ入れてました。

やっぱりなー。身長順に4人以上揃って、一列縦隊になったら、やってみたいよね。て言うかやるしかないな、あの“エグザイルグルグル”『富豪刑事デラックス』ウェディングプランナーの回で犯人役西村和彦さんもやってた。KEN役眞木大輔さんへのリスペクト、オマージュというより確信犯的ウケ狙いでしょうな。

『古畑任三郎』の、時代劇俳優小林稔侍さんが撮影所オーナー御曹司長谷川初範さんを殺した回(94年『殺人リハーサル』)で、古畑(もちろん田村正和さん)が「ワタシも昔は時代劇にあこがれてまして、眠狂四郎円月殺法~なんてね」ってやってたのを思い出しました。

勇蔵にしてみれば、瞳がKENにホの字なんじゃないかとヤキモキ…というより、かつては妹のように思っていた瞳が、いまだ家業(=鰹節屋)の手伝いも、男としても半人前の自分を追い越して、目標を目指してどんどん前へ行ってしまいそうなのが淋しいんでしょうね。でもオスとしての下心もないではないから、“ヘンな夢”になっちゃう。

常に高テンションで、どんな局面にも「俺がオレが」と食い込み意欲満々な勇蔵。このドラマ中で、いちばん脚本家さんに愛されている人物、脚本家さんとしては動かしたくて、何かやらせてみたくてしょうがないキャラのようにも見える。齧りかじり視聴しはじめた頃、「“シャラップっす”ってこの脚本、日本語センスどうなってんだ?」と思いましたが、本当は、シリアスしんみり里親もの、ほのぼのご近所ものなんかより、たとえばそうね、タイトルつけるとすれば『すっとこヤンキー大爆走』『飛び出せ姐ちゃん追越禁止』(←おいっ!)みたいなドタバタを書いてみたい感性の人なのかもしれない。

今日(31日)は、ROSEに乗り込んで来たブルーシューズのリーダー・カズ(滝裕可里さん)に瞳「なぜそんなにKENさんとRAYさんにつっかかるの」カズ「あいつらが兄ちゃん(=かつてのチーパスメンバーEIJI)殺したからや」瞳「事故、って聞いてるよ、それにKENさんもRAYさんもそんな人じゃないし」カズ「買いかぶりちゃうの」瞳「ダンスイズライフって知ってる?ダンスにはその人の人生がそのまま出ちゃうんだよ、ダンスって恨みの捌け口じゃなく、人を楽しい気持ちにさせたり、一緒に踊って仲良くなったり、夢のあるものでしょ」カズ「あんたに説教される筋合いないわ」…瞳、いつの間にか議論すり替わってるんですけど。いつものことながら、気持ちいいくらい突き詰めないドラマです。

ブルーシューズのROSEママ(篠井英介さん)への「べっぴんのママさん、おおきに」がよかった。夏コン前のもんじゃ焼きではお行儀最悪だったブルーシューズ、成長してますよ。萌ちゃん(鈴木聖奈さん)が「パワーアップしてる…」と言うほど、ダンスの上達は判定できませんが。

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思い出の代わりに

2008-07-30 21:18:24 | パワーストーン

無料なので漫然と打ち切らずにいる通販メルマガで、気になるパワーストーンアイテムを見つけてしまいました。

ルビーインゾイサイトの玉石ブレスレット。即キャッシュではちょっとイタいけど、頑張れば頑張れないこともない金額です。

ゾイサイトとは『美少女戦士セーラームーン』のダークキングダム四天王…ではなく黝簾石(ゆうれんせき)という、濃く暗い緑色の鉱物で、その中に鮮紅~暗紅色のルビーの結晶を含むものを特にルビーインゾイサイトと呼びます。

ルビーの出方、見え方が不規則なところ、触れるとそこだけ質感が違うのも魅力で、マラカイト(孔雀石)の絵画的な鮮緑色や翡翠の透明感ある深緑とは質の違う、太古の森林を連想するジャングルグリーンの“地色”だけでも“地球の生誕史”に思いを致させる、派手さはないが長い期間身近に持ってみて、見れば見るほど味が出てくるタイプのストーンのひとつです。

もう56年近く前、出張先の空き時間に寄ったアクセ店で偶然手になじむタンブルを発見、一個だけ求めていまも持っているのですが、そのお店のPOPでは確か“友好的な人間関係、交渉力アップ”とか謳っていたように思います。そのときは効果よりも、名前と色合いと、触感の新鮮さに惹かれて買っちゃったんですな。

後日じっくり手で触れてみると、はじめに友好関係・交渉力ありきではなく、どちらかというと“すさんだ、とげとげしい気分のときまるーくしてくれる”“鬱に傾きそうな心理に灯りをともしてくれる”“人に優しく、円満に接することができ、その結果好感度ゲットしやすい”石のようです。

具体的な切羽詰ったトラブルが起きてしまってからとか、“特定のアノ人だけに好かれたい”ターゲットがあるときより、公私で接する人々全般と無用の衝突や悪印象買うのを避ける、男女を問わぬ社会人オトナの“平時”のための石という感じ。

こういうなだらかなパワーも、悠久のジャングルグリーンと情熱ルビーのマッチングにふさわしいと思います。

月河がストーンショップのPOPライターなら、“心の密林を紅い灯で照らす、大地の女神の慈しみ”とかなんとか書くだろうな。

10粍玉20個。本物のルビゾとしたら、そんなに高価なほうではありません。ハウライトに着色したなんちゃってターコイズやラピスラズリとか、ラピスを名乗ってソーダライトとか、バッタもんはもうつかみたくないので、本物だというところにいたく心惹かれてはいるんだけど、通販でストーンもの買うと、触れて確かめられないだけにハズレが多いんだよなあ。

再放送の『その灯は消さない』は第24話。長女・律子(吉野真弓さん)が付き合っている男が自分の学生時代の彼氏・川合(大橋吾郎さん)であると智子(坂口良子さん)が知り、律子の母が智子だと川合が知り、川合の元カノが自分の継母=智子だと律子が知り…このへんはぜんぶ視聴者は前もってわかっていることなのでちょっと勿体ぶってじれったかったかも。

それよりここに来て目立つのは、智子と藤夫(柴俊夫さん)夫妻の堀口家、先妻との長女が彼氏できホヤのOL一年生、長男が受験とエロ興味の高校生、再婚後誕生の次女が小学校高学年と、いちばん考えてることバラバラな時期なのに「朝食は家族全員食卓に揃ってゆっくり食べるのだ」と主張してやまない。長女の帰宅が1時間2時間遅い、連絡がないだけでも夫婦ともにピリピリイライラ。

“高校生以上携帯ひとり一台”になる前の時代(96年)のドラマとは言え、“家族揃って”にこれだけこだわる一家は、すでに珍しく、ドラマになるくらい貴重だったのではないでしょうか。連れ子2人と若い後妻と、再婚後にもうけた次女。生さぬ仲の親子、母の違うきょうだい、複雑な関係を慮ってこそのこだわりかもしれませんが、昭和の3040年代中葉なら、何も複雑要素のない普通の家族の当たり前だった事象に、96年、平成8年のこの複雑家族は、時には誰かを泣いたり喚いたりさせながらでも執着する。

ある意味時代の分水嶺、と言うより分水嶺の西日に映る最後の残影を描き出していたようにも思えます。

平成20年の今日、社会人の娘と高校生の息子と小学生の次女に「朝食は家族揃って」なんてドラマ劇中で言い張ったら、「専制的な時代錯誤の価値観を押し付ける親」としか映らないでしょうからね。

わずか12年前、されど12年前。ドラマの中の“当たり前”や、“こだわらなければ当たり前を維持できないこと”も、ずいぶん変わったものです。

コメント (3)
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アニキたち

2008-07-29 18:45:38 | お笑い

『お試しかっ!』AniコレSummer Special”(282315~)、わはは、やっぱり杉浦太陽くんは無敵だなあ。浴衣美人。

そもそも『ウルトラマンコスモス』の主役としてグラフで初めて見たとき、「ネコ科の女の子っぽい顔の子だなあ」と思いましたもんね。あれから7年ちょっと経ち太陽くんも20歳から27歳、一児のパパにもなりましたが、アゴとか首が太くなる、頬が削げて頬骨が出る、肉が落ちた分皮膚が余って凹みジワができる、あるいは逆に酒太り顔で“肉ヒダ”が出るなど、男っぽい方向に顔が変わっていってない。前回披露したシブヤ系はちょっとアタマ空っぽげな可愛さだったけど、今回のポニーテール浴衣ギャルは、月河も男なら誘いたいと思ったもの。

太陽くんのこの企画王座はしばらく揺るがないんじゃないでしょうか。企画の性質上どうしても、ヘアメイクさんの技術を駆使してこってりコテコテ作り込んだ出場者が多い中、太陽くんはかなり塗ってても楚々とした感じがある。長身・大柄だったり骨太な女性、派手めな顔立ちの女性には日頃から悔しいことなのですが、“楚々”をこそ女の子っぽさ、可愛らしさと捉える向きはやはり根強いですからね。

ちょっとキツくない?と思った城咲仁さんの松嶋菜々子風、山崎邦生さんのPerfume風が3位・4位と健闘して、いい雰囲気に見えた河相我聞さんの岡田奈々風が6位にとどまった理由はなんとなくわかる気がする。美しさを競うと言っても、結局は“女装似合い度”比べですからね。素ではヴィジュアルが女顔に見えても、河相さんは早くにデキ婚してしっかり隠していたように、基本的には男性ホルモンの人なんだと思う。こういう、内からにじみ出るものに、美容学校でその道の仕事を目指すような若い女性たちは敏感ですね。

邦生さんは、メイクルームで自分でも言っていたように、数々の汚れ仕事での女装経験の厚み、“女装”をネタとして消化できるテクニックで一歩先んじた。「安心して笑える」というやつですな。城咲さんはモデルウォーキング特訓の成果を強調していましたが、デコルテを露出するドレスなんか着るとどう考えても喉~アゴの線が男顔そのものだし、要するに観客女心のツボ(=男性タレント、特に色モノに自分よりキレイになってほしくない)を捉えるのが巧みだったということでしょう。

番組としては実況席タカの「(太陽くん「前回のなだぎ武さんの浴衣には勝ちたかった」に速攻で)キツネのお化けだったもんね」(←しかもコレを言うためにわざわざ立ち上がって)、「(前半ワースト3決定したザ・たっち麒麟川島、スピードワゴン井戸田のモニタールームに)少年サッカー見に来たお母さんがいますよ」に笑いました。タカもトシと同じくらい“見立てツッコミ”がうまいね。

もっと驚いたのはコメンテーター役のSHEILA(シェイラ)さん。何年か前に『さんま御殿』だかで初めてしゃべってるところを見たときは失礼ながら「梨花を上回るアホハーフ来ちゃった」と思った…イヤ本当に思ったの!ごめんなさい!要するに日本語がちょっと不自由なだけなのね。スタイリングとか衣装コーデ、メイクポイントにまでしっかりチェックを入れていて、プロフィールを見ると必ずしも専業モデル出身ではないのにとても博学で流行感覚も鋭い。浅黒彫深ラティノ系ヴィジュの女性好きな日本人男子は昔から多いですが、彼女はきっと同性からの支持が多いでしょう。

太陽くんの浴衣の立ち振る舞いの女の子らしさを褒めたあと「ホントは…コレ(←おネエ手)?」がよかったね。見る人が見たら、逆に髭黒マッチョ隆々でも“ソッチの匂い”は嗅ぎつけるものなんだけど、SHEILAさんはわからないんだ。そこがまたいい。

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アナふたつ

2008-07-28 22:54:36 | コスメ・ファッション

イヤリングは断然、“非ピアス”派です。理由は、着けるか/“裸耳”でいるかを選べないのが嫌だから。

何も着けない裸の耳朶にピアス穴が露出しているのほど、“家畜の焼き印”っぽくて卑しく見苦しいものはないですからね。

“非ピアス”の中でも、ネジ式やバネ式の留め具は、ものによっては1時間もすれば耳朶どころか頭まで痛くなってくるので、最近はもっぱらクリップ式を愛用しコレクションしていますが、ウッカリさん月河、ついつい着けたままぴちぴちのタートルネックやチビTを脱いだり着たりしてしまい、そのたび鏡見てアレッ?イヤクリップ着けてたよな自分?と気づきそこらじゅう探し回る破目に。

実際着けてなかったのに着けてたような気がしてムダに探し回り、もうしょうがないかとあきらめたら、しっかり机の上や引き出しの中に外して置いてあったこともたぶんほぼ同件数。

何のこっちゃねえ服の脱ぎ着の前に耳に触ってみて、クリップ装着中なのを確認して、着けてたら外してから脱ぎ着すればいいのですが。クリップにネジ式バネ式のような“装着感”“異物感”がないという長所がそっくり、ウッカリさんを招く短所にもなっている。“快適、便利、苦痛なし”はもれなく“リスク”とセット。

“ピアス派”の人はこういう事態にはならないのでしょうね。

さて、『白と黒』は第5週、20話へ。謎の山荘サロンマダム・彩乃として小柳ルミ子さん登場。内縁の夫役が大出俊さんで、山荘のしつらえとも相俟って赤毛モノもしくは貴華族モノの舞台劇的な雰囲気も。ここへ山本圭さんの桐生所長も加わったら、台詞はシェークスピアでも、有吉佐和子さんでもよさそう。

スタッフクレジットに“ヘアメイク (小柳担当)”のテロップが新たに追加。近年のこの枠の昼ドラで、誰であれ俳優さん個人専属のヘアメイクさんスタイリストさんがクレジットされた例あったかなあ。小柳さん、“青の館”というサロン通称に合わせたブルー系の衣装とストール、往年のテクニカラー女優モーリーン・オハラを髣髴とさせる、レディッシュ・ダークブロンドなレイヤー入ったたっぷり巻き髪、専属もむべなるかなのゴージャスさですが。

『女優・杏子』でギャラ値切られ出した頃の杏子さん(荻野目慶子さん)に、手弁当で出張してきて「ダメよそんな(局お仕着せのヘアメイクの)眉じゃ」と描き直してくれていた吉野ちゃん(安藤一夫さん)なんか思い出してしまいました。専属スタッフを連れて現場入りって、やっぱり女優さんとしてステータスですよね。

サロンの常連客で、偶然居合わせた聖人(佐藤智仁さん)に興味を持つちょっとおヒスな和服有閑婦人役は、NHK『迷宮美術館』案内人MCの住吉美紀アナ似…と思ったら70年代からご活躍の山本郁子さんでした。こりゃまたお懐かしい。81年頃の『いつか黄昏の街で』で多岐川裕美さんと、沢田研二さんを争う役をはじめ、ヒロイン恋敵ポジションを得意とされていた記憶がありますが、まさか今作の仮想敵が礼子(西原亜希さん)ってことはありますまいね。

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ヒップホップ青踏派

2008-07-27 16:09:34 | 朝ドラマ

『瞳』のカリスマダンサー・KEN(眞木大輔さん)は瞳ちゃん(榮倉奈々さん)にとって“彼氏候補”なのか“憧れのスターさん”なのか“師匠”なのか、なんだかよくわからない距離感ですね。

師匠にしては妙にフェロモン出してスカしているし、スターさんにしてはマネージャーやらヘアメイクやらお付きを侍らせもせず、瞳のバイト先大衆食堂にふらっと来て鯖味噌食ったりえらく庶民的。彼氏候補にしては瞳が一貫して敬語なだけでなく、ラブラブ首ったけという描写がまったくありません。

そもそも『瞳』というドラマ全体が“恋愛の匂い”希薄な世界なんですね。以前里子先輩の恵子(宇佐実彩子さん)が「結婚したい人ができた」と勝俣(田中幸太朗さん)を紹介したときも即「爺ちゃん(西田敏行さん)の嫌いそうなタイプ、どうする?」が先行したし、現在の里子長男格・明くん(吉武怜朗さん)と同級生・奈緒子(大後寿々花さん)の淡い恋物語も、明くんの生き別れ実父に対する屈折した思いを、瞳たち里親側・見守る側が、どう掬いあげ折り合いをつけさせてあげるかという問題にいつの間にかすり替わってしまいました。

まぁ朝ドラですからそんなものかもしれませんが、これだけ食べ頃のかわいい女の子揃いなユニット・ローズマリー、解散の危機もひとりぐらい「彼氏ができたからダンスより恋愛」となるメンバーが出るのかと思ったら、由香(田野アサミさん)は父親の会社倒産、純子(満島ひかりさん)は実家家業の後継ぎ問題と来ました。

どちらも“生活”“食べて行くこと”とダンス、どちらを選ぶかの図式。月河なんかはこういう話題のほうが、好いた惚れたのお話よりよっぽど「おいおい、朝っぱらから」感が強いように思うのですが、朝ドラ層は現実的だということなのかな。裏の民放各局は血なまぐさい犯罪や官公庁不祥事・政治家怠慢など、直球でけったクソ悪い話をバンバン流していますしね。

純子の部屋に「ダンスなんかあきらめて宇都宮に帰って餃子店を継げ」と説得に来た兄(戸次重幸さん)が萌ちゃん(鈴木聖奈さん)に「でもそういうのって、普通長男が継ぐもんじゃないですかぁ?」と言われて「何だキミは、どうせダンスがヘタだからマネージャーやってるんだろ」とキレるくだりが笑いました。わはは。『瞳』ワールドでの“それを言っちゃあお終いよ”シリーズ最上位項目を見事についちゃった。この兄貴、その後も瞳に「だいたいキミは邪魔くさいんだよ、うるさいしデッカイし」と本質つきまくり。このおかげで“悪役性”が鮮明になりました。

銀行員という自分の職業を“堅実で将来性あり、社会貢献度が高くリスペクタブル”と信じてやまないこの兄さん、「ダンスなんて浮わついたものは、どうせ気晴らしの遊びか、テレビに出てスターになりたいミーハー根性」「21歳にもなって夢を追いかけていてどうする、努力したって夢なんか叶うのは0.1パーセントで、大半は叶わないんだから、地に足をつけて将来を考えろ」と言い張ってきかないのですが、そんなに重視する家業なら自分が銀行員辞めて支えようかなんてまったく考えてもみない上、上述のような、瞳ワールドの幸福な予定調和を破壊する本質衝き発言の数々で完全にカタキ役。「この兄さんいいこと言うわぁ」と思ってくれる視聴者はひとりも発生しないように造形されています。

生活かダンスか。この重い問題を、我らが(誰らがだ)カリスマダンサー・KENが一刀両断してくれるわけです。曰く「悩まない人間より、悩んだ人間のほうがいいダンスを踊る。生きて行く中でぶつかるいろんな悩みから、逃げないで向き合って乗り越えたら、きっといいダンスが踊れるよ」(←この通りの言葉だったかどうか自信がない。何せ毎話高齢家族が観てるのを背中で聞いてるもんで)

……瞳の直面する“家族ぐるみの経済的生活問題でユニットメンバーが脱落しそう”という状況に即してこのご託宣を聞けば、「生活不安なくダンスに専念できる人より、食うに事欠いて費用や練習時間の捻出もままならない人のほうがいいダンサーになれる」…んなわけねぇだろ!とも取れなくはないのですが、とにかく朝だし忙しいし、眞木さんの淡々とチカラ入れない演技(棒読みとも言う?)のおかげもあって、なんとなく解決ついたような、心の落としどころができたような気分になってしまうのが朝ドラは怖いですな。

週間タイトルが“ダンス・イズ・ライフ”。絵画とか音楽、あるいはスポーツや囲碁将棋などの勝負事ゲームでもそうですが、“普通なら趣味や気晴らしのためにおカネを払ってやるものを、生業にすべく鍛錬向上に努める”人には決まって「夢を追うのはいい加減なところで降りて、食っていくことを考えろ」との非難叱責がつきものです。

ダンス・イズ・ライフ。ダンスは人生。ダンスとは生きること。“○○・イズ・ライフ”の○○に、“ミュージック”や“フットボール”を入れても同じでしょうが、では“ライフ・イズ・○○”と書き替えて、○○を考えたらどうなるか。右辺と左辺を入れ替えてもそっくり成立するものなのか。ライフの中にはダンスでもミュージックでもスポーツでもない、“糊口をしのぐこと”が厳然と筆頭株主として居座っているではないか。

純子兄の身勝手かつ狭量に見える問いには、そういう本質が含まれていたと思うのですが、こちらは本質衝けば衝くほどあくまでカタキ役。彼氏でもなければ師匠でもなく、雲の上のスターでもないKENさんの「ダンス・イズ・ライフ」がすべてをまるーく包みこんで終了。純子は「できるだけ週に一日でも二日でも店手伝う」、由香は「バイトで稼いだお金から家計に入れる」。なんだ、2人とも結局食うに困ってなんかいなかったんじゃん。まだ両親元気だし。

里親里子制度より、夢を叶える努力より、「深く細かく考えないほうがいいこともある」というのがこのドラマの最大のメッセージなのかも。

何度もしつこいけど、とにかく朝、さもなきゃお昼時で、忙しいですからね。メッセージされるまでもなく深く考えてなんかいられない時間帯ではありますが、最近朝ドラも、見逃したり食い足りなかったりすると、同じ回を二度も三度も観る機会がありますから、つい考えて引っかかっちゃうんだな。

目下月河が高齢家族に随伴視聴している動機は、もっぱら大阪から再び来襲“お好み焼き軍団”ことブルーシューズのメンバーがカッコかわいいから。なんとなく特撮ヒーローものにおける、ヒールキャラ部隊のような空気感なんですね。倒す倒されるの世界じゃなく、ダンスですから、カズさん(滝裕可里さん)の兄の死をめぐって、KENさんのチーパス、ローズマリーとの対立を経ていずれ「ウチらが間違うとった、これからは“開いた”ダンスを踊って、あんたらに負けへんで」となるに決まっているのですが、あんまり簡単に改心しないでほしいなあ。

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