イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

愛しい人が眠るまで

2008-05-30 22:51:14 | テレビ番組

劇場版『相棒』公開に相乗り?の“ディスカバー水谷豊”ブームはやはり錯覚ではなかった様子。当地の土日の昼、2時間ドラマ過去作再放送枠でもここ1ヶ月ぐらい、テレ朝系列以外のチャンネルまでが『探偵・左文字進』『地方記者立花陽介』『朝比奈周平ミステリー』『探偵事務所』『名探偵浅見光彦(←原作者内田康夫さんが“イメージが違う”とクレムって水谷さん降板、後任は辰巳琢朗さん・榎木孝明さん・沢村一樹さん・中村俊介さん…)シリーズ』などを大蔵ざらえの様に次々出してくるので、在宅TVっ子の高齢家族などは「この人こんなにたくさん主演してカラダは大丈夫なのか」と心配しているくらいです。

CDのニューリリースもあるらしく、先週だったか行き帰り道にあるショッピングモールの市内大手レコード店のエントランスに、額に手を当ててテレ笑いのような水谷さんのでっかいPOPが掲げられていました。いつものこのお店ならはミスチル、B’z、宇多田ヒカルさん、平井堅さん、さもなきゃ氷川きよしさん辺りの顔が占めるスペースなのですがね。

ちょっと前にもサザンオールスターズ関連でここの記事で触れましたが、歌・音楽で商品出せると、演じるだけより俳優さんやっぱり強いな、商売として。

そこであえて月河は問いたい「世間の皆さん、寺脇康文さんにちょっと冷たくありませんか」。

やはり亀ちゃんあっての右京さんじゃないですか。実年齢で10歳、演技歴で10数年、水谷さんの後輩ではありますが、水谷さんの初主演作『バンパイヤ』を子供の頃見て、憧れて俳優を志したという寺脇さんのディスカバーブームが、劇場版『相棒』とともに澎湃と併せ沸き起こっていいのではないかと思うのです。

寺脇さんを初めてTVで見たのは931月期の日本テレビ『ジェラシー』でした。

敏腕精神科医石田純一さん(石田さんがシリアスなドラマの主役として成立する時代が日本に実在したのです)のクライアントから、医師と患者の禁断を越えた恋仲になってしまう黒木瞳さん。しかし彼女はやがて病的嫉妬心と独占欲を剥き出しにして石田さんを病院から失職させ失踪。のちに彼女と結婚するエリート銀行マン役が寺脇さんでした。

当時は前年のTBS『ずっとあなたが好きだった』の冬彦さん(佐野史郎さん)人気の余波で、“社会的地位や家柄は申し分ないけれど、人格に問題ありの結婚相手”という設定がちょっとしたブームではありました。寺脇さん扮する銀行マン夫も、超のつく病的潔癖症でドアノブもエレベータの階数ボタンもハンカチ越しが必須、自宅に帰れば石鹸に「髪の毛がついている!」と黒木さんを殴る蹴るのDV男。

いま思えば、時代的にさもありなんでした。家柄や学歴職歴・年収が人に誇れる玉の輿配偶者候補には、マザコンなど精神面に問題あるのがつねだから「結局、貧乏で無名でも、本当に好きな人と結婚したほうが幸せになれるのよね」という結論に持って行きたいバブル期の売り手市場適齢期女性の好尚をくすぐったのでしょう。

水谷豊さんの80年代の『浅見光彦』シリーズを再放送するなら、ぜひ寺脇さんのDVサイコ夫もいま一度日の目を見せてほしいと思うのですがねぇ。確か石田さんの医学生時代の同級生で、石田さんが黒木さんと別れた後婚約する教授(食いしん坊万歳!故・渡辺文雄さん)の娘・有森也実さんに片想い段田安則さんがラスボスとなる転帰だったはずですが、寺脇さんのDV夫がドラマ上どうなったのか、よく覚えていないのでぜひもう一度観たいと思っているのです。

TVでメジャーになってからの役者キャリアが1520年程度というのも、じゅうぶんベテランなのに“懐古”というタームからこぼれやすいゾーンなのかもしれない。平成に年号が変わったか変わらないかぐらいのところは、皆さん、とりたてて「懐かしい」と思わないのでしょうか。

『相棒』ブームのいまこそ、発掘してそれなりに意味を賦与しておかないと、寺脇さん、とんでもない方に行ってしまうかもしれませんよ。世間が放置している間に、すでに3児のパパらしいし。知ってました?

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げんきですかー!

2008-05-29 21:11:00 | テレビ番組

ここでよく「日中、出先のTVで○○を見た」と書くのですが、考えてみれば出先に病院・医院が結構多く、待ち時間の待ちスペースにTVがあることが多いんですね。

昼間のそうした待ちスペースのTVは、チャンネルが圧倒的にNHK総合アナログ放送優勢で、行ったらいきなり朝のテレビ小説『瞳』の再放送。ご当地俳優・安田顕さんが白地にロゴ入りフンドシ一丁に肩からバスタオルで湯上がり姿を披露中でした。ちょっとびっくり。

同じTV前に10人ぐらい中高年オバちゃん・お父さんたちがいたんですが、軽く「おぉー」の声が上がっていましたね。ときどき飛び飛びで見るので設定がよくわからないものの、男やもめの鰹節屋・前田吟さんと同居する、独身の長男という役どころらしい。朝ドラ起用は主婦の眼福担当だったのかヤスケンさん。昼の1200過ぎだから「おぉー」程度で済むけど、朝800台にはお茶の間・ダイニングで軽くセンセーションをまき起こしているんじゃないかな。頑張れヤスケン。バンバン脱いじゃえ。

そこから小一時間、「いま家にいられれば、ワンセグがあれば…」と思っていた『花衣夢衣』44話。さほど急いで再生するまでもなく、依然、将士(眞島秀和さん)のお笑いダメ男鑑賞ウィークが続いています。

澪(吉田真由子さん)に「(真帆が友禅をやめる決心をしていることに)同じ家にいて気づかなかったんですかッ!アナタが真帆を支えてあげなくてどうするのッ!」と詰問される場面は笑いました。正妻に、“愛人にちゃんとしてあげなさい”ってケツ叩かれてんだからね。やはり絆の深い双子姉妹の両方に深情けしちゃいかんということかな。

安藤(長谷川朝晴さん)の工房も辞めてしまい自宅に引きこもっている真帆(吉田真希子さん)に、直接訪問着の製作を依頼に来るファンの顧客役で、朝丘雪路さんのユル版みたいなフェイスにハスキーヴォイスの女優さんが来たと思ったら、リアル朝丘さん長女(当然お父さんは津川雅彦さん)の真由子さんでした。澪役の吉田真由子さんと同じファーストネームの、ファーストネームのみの芸名でクレジットなので、紛らわしいっちゃ紛らわしい。

真帆と同じ、双子の妹を持つお嬢さんで「自分の縁談が決まったら妹がなんだか落ち込んでいるのでオリジナルの友禅を贈って元気づけたい」という設定。別に真由子さんでなくてもいいような役どころですが、調べると、第1部双子ヒロイン尾崎亜衣・由衣さんと所属事務所が一緒なんですね。斯界のサラブレッド大物のパパ・津川さんの事務所におられるとばかり思っていたので、これは意外。

ときどき忘れそうになりますが一応加賀友禅と着物の世界を舞台にしたドラマ。第1部の双子父親・圭二郎(長谷川初範さん)は日本画家の設定でした。ヒロイン役女優と同事務所に、芸術院会員・故伊東深水画伯の実の孫娘さんがいる以上、軽い役でも声をかけないわけにはいくまい…との制作陣の気遣いをちょっと感じてしまいました。

真由子さんと言えば生後数ヶ月の赤ちゃんの頃ご自宅から営利誘拐され、大掛かりな捜査の甲斐あってめでたく無事保護、犯人逮捕に至った事件がありました。要求された身代金は74年(=昭和49年)当時500万円と報じられていたような。「乳飲み子が自宅から誘拐って、やっぱりお手伝いさん任せの有名人だからだよね」「ウチら庶民の家なら考えられないよね」と実家の母など主婦たちがワイドショー見ながら話していた記憶があります。一粒種のお姫さま、津川さん雪路さんにとっては目に入れても鼻に入れてもアゴに入…いやその、痛くない勢いで育てられたことでしょう。

一方朝丘雪路さんと言えば、もちろんタカラジェンヌ出身で歌手としても筒美京平さんの名曲『雨がやんだら』などをヒットさせた実績のあるかたですが、最近はよく当地で日中再放送されているかつての“火曜サスペンス劇場”看板作のひとつ『女検事・霞夕子』シリーズの、鷲尾いさ子さんのお母さんのイメージですね。カラオケ大好き。

そして現在子育て休業中?の鷲尾さんがタイトルロールをつとめたこのシリーズでは、次クールの昼ドラ『白と黒』の脚本担当坂上かつえさんも96年から78本書いておられます。

こうして連想ゲーム式に考えると、芸能界、ドラマ界、結局広いのか狭いのかわかりませんね。“つながっている”ということが、次のいい結果に結びつけばこれに越したことはありません。

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パルスポイント

2008-05-28 21:31:03 | テレビ番組

別に健康グッズマニアというわけではないんですが、自分でも気がつかないうちにそれなりのニオイでも立ち昇らせているのか、それ方面に熱い知人から、“マイナスイオンブレスレット”なるものをずいぶん前にもらったことがあります。

ちょうど06サッカーW杯ドイツ大会の頃でした。月河はなんとなく94US大会の頃からドイツ代表にシンパシーがあるもので、ゲルマニウムブレスをとドイツ国旗風に着けていた時期があるのかな。それで健康オタクの目に止まっちゃったんだな、きっと。

“マイナスイオン”と言えば、“遠赤外線”と並ぶ、実体あるんだかないんだかわからん似非サイエンスの横綱ですよ。このブレスレットも、見たところ普通の、幅1センチぐらいの白いシリコンバンドみたいなやつ。ただ蓄光性があるんですね。昼間でもビルの地下倉庫・階段室など、照明を落とした日陰に入るとホタルの様に白緑色に光ります。

うっかり着けたまま寝てしまって、夜半ふと目が覚めると、手首で超常現象が起きているように見えてガチ覚醒することもあります。なんでしょうねアレ。何のためにあるんだ蓄光性。自称・マイナスイオンによる健康増進効果とどう連関するんでしょうか。青や黒などのお色違いで、蓄光性はないヴァージョンもあるらしく「着けてみてよかったらいつでもあげる」とくだんの健康知人にはニコニコ言われたのですが、「よかった」ってほど効果も感じないので追求せずにいます。

それにしても、お世辞にも“健康になりたい”意欲に富んでいると言えない月河でも、なぜか“手首に巻く系”のモノ限定なら、ゲルマニウムブレスにせよ、この貰い物のマイナスイオンブレスにせよ、手に入ればためらわず着用してしまう敷居の低さ、関門の広さは我ながら矛盾してて可笑しいなと思います。プロ野球の選手がよく着けている、ヒモ玉の首輪みたいな、ハワイのレイを地味にした様なネックレスなんかを見ると迷わず「バカみたい」「似合わねぇー」と笑い飛ばせるのですが。

そう言えば、最近は深刻な自殺志願者だけではなく、若い女性などほとんど“生きている実感を得たい”だけの動機で自分の手首に刃物を入れ流血する、いわゆる“リスカ(リストカット)”常習者も多いとか。医学知識のある人に言わせれば、「本気で死にたいと思うなら、手首ではなく(採血などに使う)肘の静脈を、静脈に沿ってタテに、肘から先の下腕ごと切断するぐらいの深さで一気に切らないと確実な失血死は無理」だそうですが、“手首”は日常、自分でも脈を触れることのできる部位だけに、“生命力の宿るところ”として知らず知らず特別な感覚を持って見ているのかもしれません

ま、本気で死ぬ気満々だったとしても、手首がせいぜいで、肘はおろか首の血管はなかなか切れませんわね。昼ドラでは86年『愛の嵐』で中尾彬さんがやってたかな。

なんだかんだで昼ドラに話を持って行ってしまう最近の自分。再三触れている7月期の作品『白と黒』、発表されている脚本家さんにも注目です。

坂上かつえさん、岡崎由紀子さん。どちらも刑事モノ、事件モノのドラマですでに実績のある人です。岡崎さんのお仕事については寡聞にして未検索ですが、坂上かつえさんの脚本になるドラマは、再放送で観た2本、印象に残っている作品があります。

1本は『冬の駅』。本放送は993月、仲村トオルさん扮する天涯孤独の青年が、23年前幼い自分を捨てて男に走った母親(浅利香津代さん)の死にまつわる謎を追う中で知り合った、過去を断ち切った謎の年上女性・余貴美子さんに次第にひかれていくというもの。いくつかの軋轢や葛藤を共有した後、心を開き合ったはずの二人が、駅で車窓越しに別れて行くラストシーンが、セリフの数が少ないゆえに一層哀切でした。

もう1作は002月本放送の『いちど死んだ妻』。幸福な夫婦生活から突然失踪し謎の自殺を遂げた妻・秋吉久美子さんの、打ち明けられなかった哀しい出生や職歴を、残された夫・三浦友和さんがたどり“自殺”を選んだ真相を探っていくお話だったと思います。

いずれもかつての日本テレビ火曜サスペンス劇場枠。『何野誰兵衛の事件簿』式のキャラクターシリーズもの以外の単発ドラマにおいては、ドラマ内の人物や世界観と接することができるのは1回こっきり、エンドマークが出るまでの勝負ですから、観るほうもそれなりの緊張感をもって観なければいけませんが、この2作は“エンドマーク後の彼らがどうしているか見たい”と思わせる、余韻を湛えた作品だったと思います。演出の力ももちろん併せ技になっているものの、こんな余情あるホンを書ける人が昼帯に参戦して来てくれるのは心強い限り。

今後の記事で順次触れていくつもりですが、発表されている情報を見る限り思いっきり若い主演者たちを、若いなりにどう活かして物語を作っていくか、期待を持ってもよさそうです。

『花衣夢衣』43話はなかなか良かった。信じていた夫・将士(眞島秀和さん)が完全に真帆(吉田真希子さん)に心を移してしまい、諦めと傷心を着付け教室に打ち込んで紛らわそうとする澪(吉田真由子さん)に、秘めていた想いを抱擁で表す義弟・祐輔(溝呂木賢さん)。

「自分はポンコツ心臓で恋愛もできない、仕事も家族も持てない一家のお荷物」、設定30余年のここままでの己が人生を、見限ってあえて狭く狭く小さく生きてきた祐輔ならば、悔しい悲しいにつけ、空しいにつけどこか表情が凍結している、吉田真由子さんの兄嫁を慕わしく感じていて不思議はない。情動を抑制することに慣れている人間には、花花しくキラキラと感情を表現しフェロモンを振りまく異性よりは、何をどう感じ考えているか一生懸命忖度しないと読めない異性のほうにシンパシーを感じると思う。

状況に応じた感情の振幅表現があまり得手でなさげな真由子さんを澪役にキャスティングしたことが、これでしっかり展開に生かせました。こういう創意工夫が見られてこそのこの枠です。

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魂衣技衣

2008-05-27 21:47:28 | アニメ・コミック・ゲーム

『花衣夢衣』42話。真帆(吉田真希子さん)と将士(眞島秀和さん)が13年前の悲恋を再燃させずっぽり不倫関係になってから、“誰がどこまで知っているのか”“知った上で、あるいは知らないがゆえに、真帆・将士・澪(吉田真由子さん)の各当事者に、どうしてほしいと思っているのか”の整理がときどきつかなくなるのですが、その中では“サワキには友禅製作に専念してほしい”で一貫している安藤(長谷川朝晴さん)と、時宜に応じて愛想は振りまくものの、コロモの下に常に“とにかく将士に店をしっかり継いで、跡取りを作ってほしい”のヨロイを外さない将士母・いより(田岡美也子さん)の輝きが相対的に増しています。

澪の将士へのレスポンス「(どうしたら元に返れるんだろうな?と言われても)私たちにとって、どこが“元”なんですか?」は最高でした。そもそも将士が澪との結婚を決めたのは、瓜ふたつの真帆との恋と一方的に去られた別れがあったからこそ。澪が出発点と思っていたお見合い・結婚は、夫にとってはそうではなかった。13年経てわかった、この裏切られ感は澪には耐えがたいものでしょう。

このドラマ、第2部からの双子ヒロイン役・吉田真希子さん真由子さん姉妹、特に第1部少女期のきまじめなキャラとは打って変わって“オンナの性(さが)”全開を演じなければならない真帆役の真希子さんの演技力へのダメ出しの論調がネットでは目立ちますが、月河は不思議とそこはほとんど気にならないんです。

もともとこの枠の主人公役に、特筆するほど演技力に定評ある人=“きれい”“可愛い”“カッコいい”“色っぽい”などより真っ先に“演技力優秀”がイメージの人が来演した記憶はあまりありません。そこそこキャリアや知名度のある俳優さんでも、“単発2時間ドラマや映画・舞台では実績があるけど帯ドラマは初”“明朗な役が多く、ドロドロただれた役どころは初”など、概ね「東海昼ドラヒロイン、相手役、こなせるの?」と疑問符がついて回るのがつね。主人公役として、矢でも鉄砲でも持ってきやがれ級に、どこから切っても誰が見ても磐石の演技力だったのは、思い出せる範囲では荻野目慶子さんぐらいではないでしょうか。

ドラマの出来、品質を決めるのは一にも二にも脚本脚色、次いで演出、その次に脇役だと、月河は考えています。昼・夜、若者向け主婦向け中高年向けなどを問わぬ普遍です。

主役は、極端な話、画面に映ったとき視聴者を惹きつけ離さない(好きな言葉ではないけれど)“華”さえあればいい。主役の演技力の優秀さがドラマの輝きや深み増に貢献することは大いにありますが、主役ひとりが演技稚拙というだけの理由で、ドラマが根こそぎダメになることはまずないものです。

客=視聴者が「主役のヘタさが目障り耳障りゆえ、ドラマに引き込まれない」と訴えるならば、引き込む力のあるドラマを作れていない脚本演出におおかたの責任はあります。上手でないその役者さんが主役をつとめることは製作端緒で決まっていたはずなのですから。

比較材料として適切かどうかはわかりませんが、日曜朝の『戦隊○○レンジャー』『仮面ライダー☆☆』をはじめ、特撮番組のほとんどは、オーディションでほとんど演技経験のない新人さんを主役に抜擢します。当然彼らの演技は特に放送スタート当初は稚拙そのものですが、そのこと単体で番組がつまらなくなったり、視聴に耐えなくなったりはまずありません。

なぜか。圧倒的なキャラクターやツール設定・ヴィジュアル造形への興味が(特にメイン客層たる小さいお友達においては)生身の演技への注目に優先しがちということもあるけれど、何より、新人が扮するヒーローたちに“正義感や使命感はあるが、変身戦闘能力をもって強力な敵と戦わなければならないという状況には不慣れか、初体験”“日々の戦いこれでいいのか?自分は正しいのだろうか、もうバトルは止めたいが止められない逡巡、葛藤、疑問”という地合いを、脚本上でしっかり作ってあるからです。

ヒーロー新人くんたちの演技への不安や自問自答、出発点が低かったからこその達成感を画面を通じ共有できる仕掛けがストーリー・脚本に仕込んであるからこそ、視聴者は1年間彼らと伴走せずにいられないのです。

『花衣~』の吉田さん姉妹の演技力や経験がじゅうぶんでないのは、最初からわかっていたこと。もし視聴者の感想が芳しくないならば、問われるべきは彼女たちのいっぱいいっぱいな佇まい、表情、台詞回しを“思いがけぬ運命の変転に戸惑いつつも、愛と誠意と、ともに幸福をと望む不屈の魂をもって立ち向かう女性”の物語として活かせていない脚本のほうだと思います。

押しも押されもせぬ大スターや大御所、旬のアイドルを予算にまかせて招集し取り揃えた劇場版豪華映画などとは違って、小粒な手駒、手狭なハコで客を逃さないよう作らなければならないTVドラマの制作は難儀なことではあるでしょう。しかしその高いハードル、険しい難路を如何にして越えるか、越えてなおかつ花を咲かせるかのプロ仕事を見せてもらえる、それこそがドラマ鑑賞の醍醐味でもあるのです。

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コピーワンスかダビング10か

2008-05-26 23:05:29 | アニメ・コミック・ゲーム

 Windows XPをお使いの方なら周知(なのか?)の通り、コントロールパネルから入れるスクリーンセーバーに“3Dパイプ”ってありますよね。

在宅PCユーザーになってからずっと、実質キーボード触れるのもディスプレイ見るのも自分ひとりだし、スクリーンセーバーは面倒くさいので設定しなかったのですが、モニターして見てるとちょっとしたガイアーク(@『炎神戦隊ゴーオンジャー』)気分ですよ。

特に純色設定にすると、“純”という、ケガレシア様が「侮辱!」と怒りそうな字句とは裏腹に、黄土色鉛灰色錆朱色など、微妙にヨゴでキタでケガなカラーコーディネーションでニュルニュルニョキニョキする(3大臣の名前がすべて“汚”の字の読みから派生していることもここで思い出しておくべきでしょう)。

最近は作業行き詰まり中のディスプレイにわざとこのパイプニュルニュルセーバーかけて、蛮機獣作戦が一瞬うまくいきかけたときの3大臣の気の早い酒宴(グラスの中身が飲尿療法?風)よろしくビールでビックリウムエナジー注入(?)するのが恒例になりつつあります。

ちなみにこの3Dパイプスクリーンセーバー、純色ではなくテクスチュア設定にすると、一転、(キタ様の造形の一部分を想起させつつも)“”画面になります。

さて、昨日、次クール630日(月)からの東海テレビ制作昼ドラ『白と黒』、音楽も楽しみと昨日の記事で触れたところ、今年もこのクールの作品のメイン監督をつとめられる奥村正彦監督から、ご自身のブログ(福井県勝山市のコミュニティスペース“かっちゃまねっと”内にゲストエッセイページをお持ちです)コメント欄で嬉しいレスをいただきました。

……万歳!『美しい罠』『金色の翼』(サントラCDは左←←←柱)この夏も岩本正樹さんの音が聴けます。奥村監督によると、テーマ曲のスケッチはすでに出来上がっていて、監督はそれを聴きながら絵コンテのプランを練る日々とのこと。監督の言葉を借りれば「今年も素晴らしく、美しく官能的」だそうですよ。さあタイヘンだ。

何が大変って、出費が(爆)。あと、時間も。監督からのこのレスを読んだ瞬間に、今年はデジタル録画可能な環境になったことでもあるし、“通常作”ならこの枠VTRで録画して、再生視聴後は適宜保存したり消去上書きしたりしていたところ、HDDDVDに落として保存すると決めたのです。決めたっつったら決めたのだ(何をリキんでおるのだ)。

DVD1枚にまあまあの画質なら正味25分×4話入れられるとして、全64話(814日は休止だそうです)で16枚。まぁ安売りを利用すれば198円程度で入手できるから…って、コレ、出費なんかより保存スペース捻出のほうがよっぽど大変か。VHSで残してた時代を思えば格段に楽になっているはずなのだが、依然、“大変感”が先行するということは、ようするに部屋がいっこうに片づいておらず、いよよますます片づかなくなりまさっているだけ、ということではあるまいか。ナチュラル・ガイアーク化か。ヨゴ・キタ・ケガか。来たるべき曲は「素晴らしく美しく官能的」なのに。

もちろんサウンドトラックCDのリリースも、ジャケ写、盤面デザインともども楽しみです。岩本さんのSTは、個々の曲タイトルも美しく、色彩感、肌触り感に富んでいるので、タイトルを手がかりに連想ゲーム式にイメージを描きつつ聴けば、音楽だけで一篇の物語を読むような気にさせてもらえるのです。

思えばこの枠のドラマを“定点観測”するようになったきっかけも01年の『女優・杏子』で、音楽が岩本さん、メイン監督は奥村さんでした。これも不思議な縁。

以前にもここで書いたかもしれませんが、いつか岩本さんのドラマ劇伴お仕事全集がDVDBOX化されないものか?とひそかに期待したりもしているのです。

コメント (2)
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