イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

テンションの“果て”?はて? ~いつの間にか花が落ちた~

2024-08-30 22:54:17 | 朝ドラマ

 NHKの“朝ドラ”=連続テレビ小説は毎年春と秋、二回改編になって新作に切り替わるので、「朝ドラが一本終わって新しいのが始まったタイミングしか更新しなくなった」と記事で自虐してた年が何年かありました。

 別に、合わせてたわけじゃないんですけど、季節の変わり目を意識すると自然とそうなる。さぁ冬に向かうな、さぁ新年度だな、と思うと、なぜか、当方の動きを見すましたように朝ドラが切り替わっている。

 今年もややそれに近いペースになりかかってますが、4月からほぼ完伴走してきた『虎に翼』もそろそろ巻き→着陸撤収モードのようです。

 トラちゃんこと寅子(ともこ)(伊藤沙莉さん)が念願の弁護士になって、専門書絶版差し止め訴訟を奥付の発行期日徹夜チェックで逆転勝訴したり、親権訴訟でチャッカリ托卵妊婦に一杯くわされたりしていた辺りがいちばんおもしろかったかな。刻々と濃くなる戦争時局の圧迫で息苦しい空気感ではありましたが。

 戦争と愛する人たちとの別れ―夫と兄は出征先から生還ならず、父は病死-を経て、戦後は焼け跡から立ち上がり、まだ女性の前例のない裁判官採用を直談判、戦後のGHQ主導の民法改正チームに抜擢されて保守派の識者に噛みついたり、新制家庭裁判所の設立に奔走し、発足直後の人手不足を利してついに特例判事補の座をつかんだぐらいまでが、結果的にはこのドラマのヤマだったと思います。

 贔屓目に言えば、家裁制度の広報アピールのため急遽企画された『愛のコンサート』、有名歌手招聘成るか?来るか福来スズ子(from『ブギウギ』)・・と一時視聴者をザワザワさせておいて茨田りつ子(菊地凛子さん)きたーー!となったくだりまではギリ、勢いが続いたと言っていいかもしれない。

 このテの“同枠過去作の人気キャラ”ご本人降臨、ってヒーロー特撮では結構やるんです。“枠”についてる客が多いからね。特に今作と前作は舞台となる時代設定がほぼそっくりかぶっているので、やらないテはないくらいだった。

 その後は見どころがまるっきり無くなったわけではありませんが、女性の、特に法曹界での働き方と取り巻く環境との摩擦、葛藤と打開策の話に終始して、伊藤沙莉さんの演技は依然、変わらず活き活き冴えているものの、ドラマとしては“明日が見逃せない、待ち遠しい”月~金帯なればこそのテンションは薄れていきました。

 4~9月、10~翌3月と、それぞれ連休やら学校の長期休暇、帰省や受験シーズンやらを挟んで6か月放送が続くんですから、これくらいでゆるんで当然というか、ドラマも人体の相似形と考えれば、健康的なバイオリズムと言えるのかもしれない。これだけ暑い夏を越え、台風やことによると地震まで乗り越えてくると、観客も「あとは無事着地してくれれば」と、どこかゆるゆる寛大モード、少々の粗(アラ)は見逃してあげモードになってくる。

 連続テレビ小説の場合、おおむね、新作の放送開始の前の週、早ければ10日前ぐらいに“公式ドラマ・ガイド”というムック本のvol.1=第一巻が発売になり、ここに主要登場人物と演者=俳優さんのグラビア、インタビュー記事等とともに、だいたい前半二か月~二か月半ぶん(放送9週~11週ぐらいまで)の、一部カギカッコ付きセリフも入った“あらすじ”が掲載されています。

 月河の経験で言うと、NHKの朝ドラはこの“ドラガイ第一巻のあらすじ掲載分までがヤマ”です。いちばんおもしろい、エンタメドラマとして濃厚美味なところはこの中で、ここまでと見てほぼ間違いない。放送開始前に仕込んで、まとめて文章化して本にできるくらい深耕、熟成がすすんでるわけですから。

 厳しく言えば、放送開始の頃、脚本家さんが大車輪で書きまくりスタッフがキャスティング・撮影手配している、ドラガイvol.2以降掲載分は、おおむね惰性です。言っちゃっていいと思う。“名作”“良作”、或いは尻上がりに数字を上げたと言われる“当たり作”でもだいたいそうです。惰性でも、前半部分の評判が良ければオールドメディアがしきりに採り上げ後追い企画を出したりしますから、ドラマ本体はすでに巻きモードに入っていても新規客を呼び入れることができる。

 『虎に翼』は平均より少し長く第13週(7月第一週)までがvol.1掲載でした。まさに『愛のコンサート』に“有名歌手”来演の週です。

 戦争が終わり寅子が新憲法の文言に力を得て再起したのが第9週(=5月最終週)で、「こんなに濃くて、まだ二か月=放送期間の三分の一しか終わってない、ってすごい」と視聴者が舌を巻き「あと三分の二、どこまでいくんだろう」といやがうえにも期待が高まっていました。

 ・・パーティーやお芝居でもよくあります。あと恋愛でも。「これからがいちばんいいところに違いない」と思った地点が、あとから振り返れば、実は一番いいところだったりするわけです。

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ザル物は追わず ~こんなお瑕疵な事もアルカナ~

2024-08-11 18:26:34 | デジタル・インターネット

 タロットカードをものするようになると、自然と、海外の出版社やゲーム玩具メーカーのサイト情報に親しく出入りするようになるもので。

 月河も4月の、連休入り前の週ぐらいだったかな?とあるオーストラリア=豪州の出版社のカミングスーンページでこれは!と来るデッキを見つけました。

 基本は、一般的なウェイト=スミス版に則ったフォーマットで、微妙に北欧的というかアイルランド風な匂いもある画風で、人物の服装がオリジナルのウェイト=スミスより“冬服”寄りなところが気に入りました。

 この会社はどちらかというとタロットよりはオラクルカードの発行数が多く、作風としては絵本っぽい、もっと言えばフェミニン・コンシャスな、さらに言えばレディコミっぽいモチーフと絵柄のデッキを好んで発刊している版元ですが、珍しくアーバンなグレイッシュ淡彩のトーンで、こちらの好みにどんぴしゃ。

 社名ほか固有名詞出しちゃうと、非常にレアケースかもしれない月河の体験が一般化されてしまうかもしれないので、かりに断崖出版白雪タロットとしておきましょう。

 リリース予定が6月5日。なにしろ海外、豪州の会社なのでねー、遅延したり難破したり、迷子になったりしないかなーと一抹二抹の不安はありつつも、英語表記で住所氏名を入力しクレカを登録。万一にそなえて、国内実店舗や公共料金の決済に使ってないカードで登録しました。

 待つこと約二か月。意外とあっさり、6月7日に“発送しました”メールが届きました。驚いたことに、メールのタイトルと主文は日本語。発送日時と追跡番号だけが英語。

 運送業者がオーストラリアのS川急便?みたいな会社で、追跡番号は母国を出てからハブ空港に到着するまでは有用なんですが、日本に入ったあとは日本郵便が配達代行するので、日本郵便管轄の別の追跡番号を調べなければならず、これがちょっとPCであっちへ飛びこっちへ飛びしたものの、結果的には約二週間半ほどで、ゆうパックと同じノリで到着。

 いや~国際メール便ってこうやって届くのね・・と感慨もそこそこに開梱してみました。タロットデッキって、基本的には22枚のメジャーアルカナ&56枚のマイナーアルカナ、計78枚の同サイズのカードに解説ブックが付いて、全体のサイズは、文庫本上下巻合本クラスから、大きいものになると六法全書もしくは百科事典サイズクラスまでまちまちですが、この“白雪タロット”は、そうね、研究社の英和中辞典ぐらい。

 外函を包んだ透明フィルムを開けて、外函のフタを開けると解説本の表紙があって、その下にカード本体が、さらに透明シュリンクフィルムに包まれて入っている。・・

 国際便を頻繁に利用する通販カスタマーがよく嘆いていて耳にするのが、運搬中の衝撃や気象条件のせいで外函が凹んだり潰れたり、濡れてシワシワになったり、ヘタしたら破れたりというアクシデントなんですが、本品、いまのところ問題ナシ。

 ・・しかし気を抜いてはイカン。きれーいにシュリンクで包んであっても、開けてチェックしたら一枚欠けてた、飛んでた、というケースもあるんでね。

 判型はスタンダードなウェイト=スミスよりタテ辺だけ5ミリぐらい長いかな、厚みはほどほど、シャッフルしやすさは中ぐらい。

 ぜんぶがぜんぶそうだというわけではありませんが、タロットカードは、梱包も解説ブックのページ順も、大アルカナワンド(棒もしくは杖)→カップ(聖杯)→ソード(剣)→ペンタクル(金貨)の順にとじてあるのがスタンダード。

 この白雪タロットは剣→金貨→棒→聖杯なのね・・と思いつつ枚数と数字を確認していたら、この段階でとんでもないことが発覚!

 大アルカナから棒の9くらいまでは何事もなかったんですが、棒10→コートカードの棒ペイジ(小姓)→棒ナイト(騎士)辺りから、肉眼でも明確に、左に向かって印刷がズレてるんですよ。

 しかもカードが進むごとにズレが大きくなり、最後の聖杯クイーンと聖杯キングに至っては、絵柄の左長辺の端が3ミリ近く切れて、右長辺には次の順番のカードの絵柄(聖杯キングの場合白地)を同じく3ミリぐらい食っちゃってる。

 裏返すとバッキングの、雪の結晶モチーフを並べて長方形を描いた図案が、こちらは(裏ですから)当然ながら右に向かって、やはり最大3ミリぐらいズレている。

 印刷ズレというか裁断ズレというか。絵柄そのものは、版元=断崖出版のカミングスーンページの画像で見たのと寸分たがわない美しさだっただけに、あまりに初歩的なこの不良品っぷりはショックでしたねー。小学校の図画っちゅうか、あせって8月31日にものした夏休みの自由研究みたい。

 このズレがこうやって表沙汰になったことで、このカードの製造方法、つまり1枚のでっかいカード用紙に、左から右に向かって絵柄を印刷して行って、かつ裏面は雪の結晶つなぎ長方形の図案を連続して印刷して行って、だーっとタテ、ヨコに裁断していく、という手順もわかってしまった。

 想像するとなんだかえらく大量生産チックで、自分でも驚くくらいどよーんと気分が落ち込む興醒めでした。カード一枚一枚、裁断してから、絵の面・裏面と印刷するような、ヴィスコンティ家やエステ家の私家版カード時代の様なご丁寧なクラフトアートワークじゃないことは、薄々ならずわかってはいましたけど。ここまでくっきりはっきりとやらかされちゃうとね。所詮は工業製品なのよ。仕込みバレバレ。

 もひとつもっと衝撃だったのは、これだけシロウトが見ても明白な印刷エラーが、、全78枚(厳密に言うと、このデッキは大アルカナにエキストラカードが2枚付いているので80枚)のうち、控えめに言っても19枚にわたっているのに、きっちりシュリンクで完全包装され完パケされて市場に出され、月河の様な海外からのオーダーに応じて出荷されている、つまり検品がまったくザルだということ。

 “断崖出版”、決してインディーズとか同人のたぐいじゃありません。タロット・オラクルカードに関連するスピリチュアルやウェルビーイング系をはじめとした書籍のほか、豪華図版入りのオリジナルカレンダーやダイアリーも数多く発刊している、まぁ斯界では大手の部類に入る版元です。

 なのにこんな、ある種“縁起もの”でもあるタロットカードのスピリットに泥を塗るような不良品を検品スルーではるばる赤道の向こう側のカスタマー(月河)に送ってよこすなんてね。

 ・・我に返るとすぐ購買ページに戻って返品手順を読み、気を取り直して、いま開梱したばかりのプチプチ封筒に包みなおして日本郵便の集荷サービスを頼んで返品、これまた意外とあっさり日本語のお詫び&返品受付メールが届いて、締め日の関係上一か月のタイムラグはあったもののカードで支払った代金も送料とともに翌月の引き落とし日に無事、返金。

 この、お金の出入りを含むいちばんナーバスになるプロセスに何の支障も無かったのは不幸中の幸いでした。

 ウェブ画像で一目惚れ、良き緊張感とともに注文したデッキだけに、一連の作業が終わるとドッと疲れてしまい、しばらく、二年以上なじんだいつものウェイト=スミスデッキを手にする気も、断崖出版はもちろん他の版元のサイトも、もっと前からおなじみでいままでのところ不良品に当たったことのない、国内大手販売サイトすらも渉猟する気にもなれず、虚脱状態でした。

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