イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

パルスポイント

2008-05-28 21:31:03 | テレビ番組

別に健康グッズマニアというわけではないんですが、自分でも気がつかないうちにそれなりのニオイでも立ち昇らせているのか、それ方面に熱い知人から、“マイナスイオンブレスレット”なるものをずいぶん前にもらったことがあります。

ちょうど06サッカーW杯ドイツ大会の頃でした。月河はなんとなく94US大会の頃からドイツ代表にシンパシーがあるもので、ゲルマニウムブレスをとドイツ国旗風に着けていた時期があるのかな。それで健康オタクの目に止まっちゃったんだな、きっと。

“マイナスイオン”と言えば、“遠赤外線”と並ぶ、実体あるんだかないんだかわからん似非サイエンスの横綱ですよ。このブレスレットも、見たところ普通の、幅1センチぐらいの白いシリコンバンドみたいなやつ。ただ蓄光性があるんですね。昼間でもビルの地下倉庫・階段室など、照明を落とした日陰に入るとホタルの様に白緑色に光ります。

うっかり着けたまま寝てしまって、夜半ふと目が覚めると、手首で超常現象が起きているように見えてガチ覚醒することもあります。なんでしょうねアレ。何のためにあるんだ蓄光性。自称・マイナスイオンによる健康増進効果とどう連関するんでしょうか。青や黒などのお色違いで、蓄光性はないヴァージョンもあるらしく「着けてみてよかったらいつでもあげる」とくだんの健康知人にはニコニコ言われたのですが、「よかった」ってほど効果も感じないので追求せずにいます。

それにしても、お世辞にも“健康になりたい”意欲に富んでいると言えない月河でも、なぜか“手首に巻く系”のモノ限定なら、ゲルマニウムブレスにせよ、この貰い物のマイナスイオンブレスにせよ、手に入ればためらわず着用してしまう敷居の低さ、関門の広さは我ながら矛盾してて可笑しいなと思います。プロ野球の選手がよく着けている、ヒモ玉の首輪みたいな、ハワイのレイを地味にした様なネックレスなんかを見ると迷わず「バカみたい」「似合わねぇー」と笑い飛ばせるのですが。

そう言えば、最近は深刻な自殺志願者だけではなく、若い女性などほとんど“生きている実感を得たい”だけの動機で自分の手首に刃物を入れ流血する、いわゆる“リスカ(リストカット)”常習者も多いとか。医学知識のある人に言わせれば、「本気で死にたいと思うなら、手首ではなく(採血などに使う)肘の静脈を、静脈に沿ってタテに、肘から先の下腕ごと切断するぐらいの深さで一気に切らないと確実な失血死は無理」だそうですが、“手首”は日常、自分でも脈を触れることのできる部位だけに、“生命力の宿るところ”として知らず知らず特別な感覚を持って見ているのかもしれません

ま、本気で死ぬ気満々だったとしても、手首がせいぜいで、肘はおろか首の血管はなかなか切れませんわね。昼ドラでは86年『愛の嵐』で中尾彬さんがやってたかな。

なんだかんだで昼ドラに話を持って行ってしまう最近の自分。再三触れている7月期の作品『白と黒』、発表されている脚本家さんにも注目です。

坂上かつえさん、岡崎由紀子さん。どちらも刑事モノ、事件モノのドラマですでに実績のある人です。岡崎さんのお仕事については寡聞にして未検索ですが、坂上かつえさんの脚本になるドラマは、再放送で観た2本、印象に残っている作品があります。

1本は『冬の駅』。本放送は993月、仲村トオルさん扮する天涯孤独の青年が、23年前幼い自分を捨てて男に走った母親(浅利香津代さん)の死にまつわる謎を追う中で知り合った、過去を断ち切った謎の年上女性・余貴美子さんに次第にひかれていくというもの。いくつかの軋轢や葛藤を共有した後、心を開き合ったはずの二人が、駅で車窓越しに別れて行くラストシーンが、セリフの数が少ないゆえに一層哀切でした。

もう1作は002月本放送の『いちど死んだ妻』。幸福な夫婦生活から突然失踪し謎の自殺を遂げた妻・秋吉久美子さんの、打ち明けられなかった哀しい出生や職歴を、残された夫・三浦友和さんがたどり“自殺”を選んだ真相を探っていくお話だったと思います。

いずれもかつての日本テレビ火曜サスペンス劇場枠。『何野誰兵衛の事件簿』式のキャラクターシリーズもの以外の単発ドラマにおいては、ドラマ内の人物や世界観と接することができるのは1回こっきり、エンドマークが出るまでの勝負ですから、観るほうもそれなりの緊張感をもって観なければいけませんが、この2作は“エンドマーク後の彼らがどうしているか見たい”と思わせる、余韻を湛えた作品だったと思います。演出の力ももちろん併せ技になっているものの、こんな余情あるホンを書ける人が昼帯に参戦して来てくれるのは心強い限り。

今後の記事で順次触れていくつもりですが、発表されている情報を見る限り思いっきり若い主演者たちを、若いなりにどう活かして物語を作っていくか、期待を持ってもよさそうです。

『花衣夢衣』43話はなかなか良かった。信じていた夫・将士(眞島秀和さん)が完全に真帆(吉田真希子さん)に心を移してしまい、諦めと傷心を着付け教室に打ち込んで紛らわそうとする澪(吉田真由子さん)に、秘めていた想いを抱擁で表す義弟・祐輔(溝呂木賢さん)。

「自分はポンコツ心臓で恋愛もできない、仕事も家族も持てない一家のお荷物」、設定30余年のここままでの己が人生を、見限ってあえて狭く狭く小さく生きてきた祐輔ならば、悔しい悲しいにつけ、空しいにつけどこか表情が凍結している、吉田真由子さんの兄嫁を慕わしく感じていて不思議はない。情動を抑制することに慣れている人間には、花花しくキラキラと感情を表現しフェロモンを振りまく異性よりは、何をどう感じ考えているか一生懸命忖度しないと読めない異性のほうにシンパシーを感じると思う。

状況に応じた感情の振幅表現があまり得手でなさげな真由子さんを澪役にキャスティングしたことが、これでしっかり展開に生かせました。こういう創意工夫が見られてこそのこの枠です。

コメント
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