イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

もう泣くなよ

2010-06-30 19:06:52 | スポーツ

いやー惜しかったサッカー日本代表。パラグアイに00PK戦で35ですか。

昔、サッカーに(月河よりは)詳しい人から、「前半45分、後半45分、延長1515分戦って、それでも同点、特に0同士なら、両者力差はないという結論は出てるわけだから、PK戦はその、力一緒の両チームのどちらに運があるかだけ」「トーナメントで1チームしか勝ち上がれないから、手続き上1チームに決めるだけ。ジャンケンで決めるのと一緒」と聞いたことがあります。

…だったら、本当にジャンケンで決めればよかったのにねえ。こっちが「最初はグー!ジャンケンパー!」言う間にパラグアイさんは「サイシオリミエントゥアグーダ!ジァニケニサンティオラパード!」か何か言うから(言うかな)、「ハイ後出し、レッドカード」ってこっちの勝ちになるわけですよ。日頃、プレーで足しか使わない、ハンド使ったらファウルなサッカー選手諸君が、あえて手で勝負のジャンケン。盛り上がると思うなあ(盛り上がるかな)。

ヘタにPKなんかでやるから、「2時間走った後で足が上がらなかった…」と失敗した選手が責任感じちゃうじゃないですか(感じるかな)(感じるな)。

でも今大会は、日本代表にとって、1998年フランス→2002日韓→06年ドイツと出場してきて、いちばん“到達点が高かった”実感の得られたチームであり、試合内容でしたね。手ごたえ、ちゅうか“足ごたえ”があった。スコア如何より、相手チームに振り回されっぱなしとか、ついて行くだけで精一杯、という場面がなかった。たぶん世界のサッカー界が、史上いちばん「日本侮るべからず」を実感、再認識した大会だったのではないでしょうか。日本代表の今大会はこのパラグアイ戦で終わったけれど、日本サッカーとしては、ここが出発点です。

さて、そんな実感を、日本サッカー界のドコから頼まれたわけでもなく勝手に固め、勝手に感動にうちふるえているうちに、もうひとつ、こちらはとんでもないニュースが飛び込んで来ました。韓国の人気俳優で歌手でもあるパク・ヨンハさん自宅で自殺。韓流ブームにまったく縁のない月河にとっては、昨年の昼帯ドラマXmasの奇蹟』の主題歌歌唱と、本人役出演で、顔と名前のほかに、歌声も一致する唯一の韓流さんです。

Xmas~』では、覆面ピアニスト兼作曲家“ゼノ”の曲に注目し楽曲提供を依頼に来るも、ナマ演奏(←実は、事故死した本物ゼノの親友が、親友の恋人の苦境を救いたいあまりゼノになりすましている)を聴いて「弾き方を変えましたか?」と疑義を呈し、「ワタシが聴いたゼノとは違う、この話はなかったことに」と去って行く、“音楽の神様にウソはつけないよ”を体現するようなかっけー“韓流スターのパク・ヨンハ”役でした。

癌で闘病中のお父さんの、看病疲れではないかという説もあるようですが、肉親の看病中って、「元気な自分がしっかりしなければ」という気の張りがあるので、ある段階までは、結構気力がもつものです。

又聞きですが韓国の芸能界には日本のそれとも、USAのそれとも違った独特の風土や窮屈さもあるようなので、1994年ドラマデビューで今年33歳、役者と歌手の二足の草鞋のパクさん、やはり年齢的にも仕事のプレッシャーとプライベートの狭間で苦しんでおられたような気もします。

Xmas~』の主題歌『最愛のひと』の初回限定版ジャケ写、涙で黒メイクのにじんだピエロ顔がいまとなってはせつなくなってしまいました。

スター、芸能人たるもの、このドラマの一端のモチーフになったような“覆面アーティスト”ならずとも、表と裏、光と影、公と私、使い分けて、住み分けて、演じ分けて日々暮らして行かなければなりません。容姿や才能や、華やかな生活や年収と引き換えに、どれだけストレスのたまる、苦痛に満ちた人生を強いられていることか。

何の使い分けも必要なく、全方向どこから見てもべろーんと凡庸で冴えないまま生きていくことのできる私たちは、スターの“こちらに向いている側”の華やかさやカッコよさや溢れる才能をもっぱらもてはやし、称揚することによって、少しずつスターを痛めつけ、少しずつ殺しているとも言える。凡人たちの群れは残酷。ヨンハさんのご冥福をお祈りします。

……それにしても、ものの喩え的な文脈でも、韓国俳優さんだと躊躇なく“スター”という呼称が使えるなあ。月河本人が、かの国のそれワールドをほとんど知らない気楽さもあるけど、距離感とか、虚構感、時代感がちょうどいいのかもしれません、“スター”呼びに。

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この会話はフィクションです

2010-06-29 13:45:38 | スポーツ

名古屋場所はどうにか開催の運びになったようですけれど、そこらじゅう謹慎親方、謹慎力士だらけで、取組、木戸銭とってお客さんにご披露できる程度のものを組めるのかも怪しいし、本当にどう着地収束するのかわからない問題になってしまいましたね、大相撲界。

こう連日“野球賭博”“野球賭博”とトップに近い扱いで報道されていると、野球選手、関係者もいい加減ムカッ腹立って来てんじゃないでしょうかね。

野球 賭博”と毎日毎日セットで見出しにしてんじゃねえ!」「小さいお友達がセットで覚えちゃったらどうするよ!」みたいな。

「オレたち無心にまじめに野球やってるだけなのに、勝手に賭場立てやがって」「そうだ、いくらかでもキックバックあるんならともかく」「…声がでけぇよ」

 「こうなったら、オレらも相撲賭博張って、騒ぎ起こしてリベンジしてやっか」「毎日“相撲 賭博”ってデカデカ書き立てられたらオレらの気持ちがわかるだろ」「アイツら税制もえれえ優遇されて、下っ端でも食う寝るところタダでブクブク太りやがって生意気だしな」「しかし番付で強い弱い決まってっから張りづれえ種目だよな」

「いまW杯で盛りあがってっからサッカー賭博にしね?」「だけどサッカーくじって普通に売ってるしな」「オレ、フィギュアスケートが好きだから、フィギュアスケート賭博やろうぜ」「真央ちゃんのトリプルアクセル何回成功するかとかに賭けんの?」「でもいまシーズンオフだぜ、半年賭場立たねぇよ」

「そうだ、そもそも人間に賭けるから、オフができちゃうんだ、年中休まない、馬に賭けようぜ、競馬賭博

「…………ってか、最初から賭博じゃん、競馬

 …………………

「……………ウチの監督が、成績不振でいつ休養すっかにでも賭けるか」「……そんならむしろ、誰が戦力外通告されるかに……」

…………………………………

「野球やろっ、野球、なっ」「そだそだ」

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この際、冷えてれば

2010-06-27 18:42:58 | 

当地で珍しい6月真夏日の勢いに乗って、23日発売・SAPPOROの限定醸造ICE LAGER(アイスラガー)を昨日(26日)試してみました。

SAPPOROの新ジャンル新ラベルは久しぶり。あまり期待せずにいってみましたが、結構、かなり、いいよ。コレおすすめ。

後くちが心もち酸味寄りなのが若干惜しいけど、喉ごしさっぱり、ほんのりほろ苦み、夏場のビール系に望みたい要素を過不足なく備えていますよ。

5年ほど前、SAPPOROお膝元北海道限定でリリースされた発泡酒・冷醸生の短命を教訓にしたかな。ムダな苦みやホップ由来の人工的香味を削って、ひたすら“飲みやすさ”に徹した潔さに好感が持てますよ。同社の定番新ジャンル・麦とホップが、リニューアルしてもどうも粘・重・甘・臭で苦手な月河としては、こちらを定番にしてほしいくらいですが、SAPPOROの期間限定製品、あまり定着したためしがないのがねぇ。WDRYのときのように、出回ってるうちに買い貯めるか。

缶パケデザインが、KIRIN1000(サウザン)と同趣向なのも気になりますね。短命の予感。買うならいまのうちか。安売り店に早く出回らないかな。

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南で米で

2010-06-26 19:42:56 | スポーツ

めでたくW杯決勝トーナメント進出したサッカー日本代表、ベスト8への対戦相手はパラグアイだそうですね。ブラジル、アルゼンチンと2つの大国にはさまれた小さな内陸国ですが、日本人移民やその子孫のかたも多いそうで、日本との関わりは浅からぬ国です。もう20年近く前ですが、ドラフト1位でヤクルトスワローズに入り活躍した岡林洋一投手がパラグアイ生まれの日系二世と聞いておぉーと思ったこともありました。

日本とほぼ同じ面積ながら人口600数十万人の小国で経済力もあまりない(と思いたい)ので、両隣のサッカー大国に比べるとさすがに選手層の厚みなんかは見劣るかもしれませんが、高レベルな南米からの代表、しかも今大会は南半球開催のせいか、中~北部ヨーロッパの古豪国が精彩なく、もしくは本調子にいまいちで、“南優勢”のサバイバル戦になっている様子。油断は禁物です。チャレンジャーの精神でぜひ、まず先制点を。そしてしつこいけど経済効果カモン。

ところで“パラグアイ”って、漢字表記では“巴羅具”になるらしいですね(“巴拉圭”説もあり)。

で、で、。…なんか、ちょっとイケナイ事を想像したりしませんか。

………えっ、しない!?

ちなみに同じ南米で、決勝Tでお隣韓国と対戦する“ウルグアイ”は“宇柳具”、アルゼンチンと対戦するメキシコは“墨西哥”、出場してないけどペルーは“秘露”、ベネズエラは“委内瑞拉”、エクアドルは“厄瓜多”らしい。

こういう漢字表記、たぶん開国前後の幕末~明治時代か、明治時代に高等教育を受けた人たちが戦前に決めたのだろうと思うのですが、羅具とか、とか、とか、とか、してとか、そこへもってきてとか、なんかこう、考えた人たちの脳内に、あんなことこんなこと、イロんなことが去来していたような気がしてなりません。

1文字ごとに、“で”とか、“の”とか、“な”とか、“して”とか、“そこへもってきて”とかを補って並べずにおれない月河の脳内が、イロんなことになっとるだけなのかな。

『ゲゲゲの女房』今週の布美枝(松下奈緒さん)&藍子里帰り篇は、弟・貴司くん(星野源さん)が「どうしても満智子さんと一緒になりたい、酒屋を継がないのはすまないけど、俺のいちばん大事なのはあの人だ」と思いがけず強硬に主張して急展開。「見合いして嫁をもらい店を継げ、婿入りは許さん」と言い張っていた源兵衛さん(大杉漣さん)も一転「いっぺんその娘さんを連れて来い、どげな娘か、本人と親御さんとお会いしてからだ」「まだ許すと決めたわけではなぁぞ」と態度を軟化させるきっかけが、藍子ちゃんのビー玉誤飲に鬼の形相で叩き吐き出させる母親・布美枝…というのもちょっこしご都合主義だけど、きょうだいがたくさんいると、ひとりの成長ぶりがほかのきょうだいを刺激し、覚醒させて、結局、親に“子供らの意志や自立心もあなどれん”と思い知らせる効果があるということかも。

「東京に出るのもいいけど、あんたのためを思ってくれとるお父さんと、喧嘩別れして飛び出すようなことはいけんよ」と布美枝お姉ちゃんにさとされた末妹のいずみちゃん(朝倉えりかさん)も、上京熱がアラ不思議一服して、「貴司兄ちゃんがお婿に行ったら、ワタシも配達ぐらい手伝わんといけんから、車の免許を取ろうかな」とおウチ寄り発言。いずみちゃんにしてみれば、じれったかったお兄ちゃんが、専制君主のお父さんに言いたいこと言ってくれて、憑き物がひとつ落ちたのかもしれません。“お父さんの敷くレールに抗う担当は、ワタシじゃなくても、もういい”

何だかんだで飯田家きょうだい、源兵衛お父さんミヤコお母さん(古手川祐子さん)はもちろん、近隣のお馴染みさんたちに囲まれた安来大塚の実家が大好きなのでしょう。

それに車の免許を取れば、自然と行動半径も、家と学校の往復から広がるしね。配達にこと寄せてちょっこし遠出、親の知らない異性を乗せて…なんちゅうこともできちゃうかも。家業が順調な戦後に育った苦労知らずの短大生いずみちゃん、コレになってバリ稼ぎたいという具体的な意中の職業があるとも思えないし、ほどほどガス抜きできれば、別に東京くんだりでなくたって、なじんだ地元だって構わないのです。事故に気をつけようね。

貴司くんが「いちばん大事だ」と宣言したミシン屋総領娘・満智子さんは、若い頃の田中美佐子さんを細長くしたような…と思ったら、ハリケンブルー長澤奈央さんでした。わー。先日の『仮面ライダーW(ダブル)』ゲスト時のインビジブル・ドーパントは、いろいろわけありで道を踏み外したりもしたけど、最終的にはカワイく着地した儲け役だったので、今回もも少し明るく、お父さんの言いつけに背いても貴司くん、この人となら幸せになれそう…って感じを出してほしかったかな。もっと元気なキャラの人なのにね。

満智子さんの実家家業が、ミシン・編み機の代理店と編物教室というのも、昭和30年代の息吹を感じさせますねぇ。あの当時の奥さんお母さんは、子供のものミシンで縫うだけじゃなく、ジャージャカと編み機でパンツもセーターも編んでいたものです。昭和4243年頃の記憶では、月河実家の近くでも、一般人の奥様が代理店兼教室、兼毛糸の注文まで取っていたような。実家母も何年かはさかんにジャージャカやっていましたが、アレ、手が横動きなので、棒針編みとは違った肩の凝り方になるんですよね。子供たちが母親の手作りより、低価格化しかつデザイン豊富になって出回りだした既成服、既成ニットを喜ぶようになった昭和50年頃には、機械編み教室もあまり見かけなくなりました。

ドラマはいま、東京五輪が待ち遠しい昭和39年初夏ぐらい。貴司くんも婿入り後10年もしたら、結局商売替えを余儀なくされるのかもしれません。

そう言えば、藍子ちゃん誤飲騒動が布美枝さんの火事場の怪力?で事無きを得た後、いずみちゃんに「あんたが藍子ぐらいのとき、肺炎で痰が喉につまって、お父さんが指でかき出してくれて息を吹き返したんだよ」という思い出話をしているときの姉妹2ショット、布美枝さんは嫁入り前と同じのを大事に着ている小花柄の手作りブラウスでしたが、似たテイストの柄でもいずみちゃんのほうは丸衿や前打ち合せをブレードで縁取った既製品っぽかったかな。布美枝さん愛用のミシンも油切れしていたし、いずみちゃん年代は、布美枝さんが同じ年頃だった頃ほどの洋裁熱はすでにないようです。

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屁をしても一人

2010-06-25 14:46:20 | スポーツ

サッカー日本代表、やりましたな。決勝トーナメント進出決定。デンマークに31とは、先取点奪ってみると意外に突き抜けるまで早かった。ヨーロッパ地区予選1位通過のデンマークも決して弱いチームではないのでしょうが、気がつけば本田選手の先制FKの後「追いつかれるかも、逆転されるかも」と不安にかられる場面は終始ほとんどありませんでしたね。

やはりサッカーという競技はとにかく先制して、試合を自分たちペースに持ち込むことが大事なんですね。前評判の高いチームや強豪国でも、ひとたび後手に回ってしまうと意外にもろいようで。

デンマーク戦も、シビアに見れば、うまさ比べや強さ比べ以前に“相手は勝たないと敗退、ウチは引き分けでも通過”と、戦前から1枚のアドバンテージがあったことが、結局はものを言ったかなという気もします。

さてと、布美枝さん(松下奈緒さん)&藍子ちゃん里帰り中の飯田家(@『ゲゲゲの女房』)。

伯耆富士=大山をのぞみ、のぼる朝陽の遠景から、もんのすごい顔で朝飯を噛む卓袱台の源兵衛さん(大杉漣さん)への切り返しに笑いました。ジェットコースター乗ってるときのグリッソム主任(@CSI:科学捜査班』)かというね。おてんばの四女いずみ(朝倉えりかさん)の上京願望だけではなく、おとなしい次男貴司(星野源さん)まで、自分の知らないところでひとり娘の彼女を作っていたとは。

源兵衛さんも、子供たちのそれぞれの思うところを踏みにじるつもりはない、子の幸せを願う親心にかわりはないのですが、途中細かい脇道寄り道はあったにしても、とにかく戦前・戦中・戦後を通じて家業を守り盛業させてきたという自負がどーんとあるから、「子供らにも、自分が描く未来図がいちばん幸福への近道」と信じて疑わない。

こういう、自信に満ちた、自分の歩んできた人生に持つ誇りを拠り所としたタイプの頑固父さんって最近めっきり減りましたよねたいていのパパさんは、果たしたこと、果たした現在への自負よりは、“果たせなかった夢”“なりたいと望んでなれなかった自分”のほうを多く、重く背負っているから、子供たちが好き勝手な夢を描いてそわそわ腰が落ち着かないときに「そうじゃなくてこうだ」と矯正できない。

2人、女4人の飯田家きょうだい、なんだかんだで布美枝を含めた上の13女は、源兵衛さんのプランに乗って、結果的には幸せになっていますが、ドラマの背景も東京オリンピックの昭和39年になっていますし、そろそろひとりぐらいは、「父さんの希望に背くけど、自分はこう生きたい」を貫いて幸せをつかむきょうだいがいてもいい。いちばんおとなしく、地味な存在だった貴司がそれ方向に行くのもなかなかいい展開なのではないでしょうか。

いずみちゃんの就職問題はどうかな。若い娘のはしかのような都会へのあこがれと、若い頃の次姉ユキエ姉ちゃん(足立梨花さん)もひとときはまった“親の決めた見合いへの嫌悪、束縛感、旧弊感”との綯い交ぜ。採用予定はないかと問い合わせた東京の会社が、封筒の住所は品川区大井で丸の内ではありませんでしたが、深沢社長のスカウトした美人秘書・郁子さん(桜田聖子さん)の前職と同じ商社らしかった。夫をひたすら支える布美枝さんヒロインのお話ではありますが、戦後~高度成長期の新しい女性の生き方の広がりにも目配りしています。

今日は、閉店後の店の帳場で貴司と思い出話に花を咲かせながら「貧乏してるのではないかとおふくろが心配しとった」と水を向けられた布美枝が「あんただから話すけど…」と、たまった質札や通電ストップや食糧危機、鼻紙危機のことを打ち明ける場面がよかった。

本当に、こういうことぶっちゃけて話せるとしたら、源兵衛さんはコッチにおいといて、リウマチ持ちで心配かけたくないミヤコお母さん(古手川祐子さん)でもなく、遠方に嫁いでいるユキエ姉ちゃん(星野真里さん)でもなく、まじめな長兄哲也さん(大下源一郎さん)でもなく、まして家計の苦労のなんたるかを知らない青春真っ盛りのいずみちゃんでもなく、やっぱり、家業の手伝いで長い独身時代のひとときを共有した経験のある貴司くんが、布美枝さんにはいちばん話しやすいんですよね。

別に、愚痴で話すわけではなく、金銭的な援助や、アドヴァイスを期待して話すわけでもない、「そうかあ、そんなこともあったのか、大変だなあ、がんばれよ」と共感し、「何もしてあげられないけど、いつでもここにいるよ、味方だよ」と、嫁に行く前と変わらない調子でうけあってくれればそれで気が落ち着く。

きょうだいが多く、きょうだいなりに少しずつ似ながらもいろんな立場や感性を持ち、“こんなとき、こんな場面はこの子担当”がそれぞれにあるっていうのはなかなかいいものです。

いまは少子化の時代なので、ひとりの子供が、父親にとっての、母親にとっての、祖父母にとっての、親戚・伯叔父母にとっての、あるいは近隣や社会全体にとっての“子供的な要素”“子供に期待したい、望ましい要素”をすべてあまねく担当しなければなりませんから。

ところで、しげるさん実家村井家で、アイドル藍子ちゃん拝みに集まってきたご近所さんの中の、泥鰌ヒゲがキュートなおっちゃんは、渡瀬恒彦さん主演『タクシードライバーの推理日誌』シリーズ、毎作冒頭、車内でロウゼキはたらいて夜明さんにシメられる迷惑乗客を演じる深見亮介さんでしたね。境港まで、やはりタクシーで来たのだろうか。料金は払ったのかな。

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