イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

わかった!というタイトルの雑誌 ~故きを温ねて~

2023-04-09 23:54:46 | アート・文化

(前のエントリから続く)

 一冊の本との出会いが人生を変えるかもしれない・・なんて、昭和のブックフェアのコピーみたいですが、まさかそのたぐいの出会いが、書店でも古書店でもない所に転がっていたとは。人生まるごとは変えないかもしれないけど、“人生最後の趣味がここにあった”とは思いましたね。

 人生最後=“死ぬまで続けるだろう”という意味です。決して、“ほかの趣味はなにもやらない”という意味ではありません。はぴだんぶいは推し続けます。サンリオキャラクター大賞 2023にも投票します。今年は11日から。5月26日まで。推しグッズも買うぞ、そこそこ。それはそれ、これはこれ。

 結局、各種学校の図書室で見つけたこの『ユリイカ』臨時増刊『総特集*タロットの世界』、自前で一冊買いました。2021年11月刊の、12月臨時増刊だったので、年明け早々品切れになるでもなくすんなり買えちゃいましたが、税込2,420円は久々たまげた。

 単行本でなく、ムックでこれって。しばらくまともに本屋さんを物色してなかった間に、紙の本も高くなったもんです。

 通常号の『ユリイカ』、いくらだったかなぁと思って自前の書棚を探すと、あったあった。とっておくもんだなぁ。1979年6月号『特集*マニエリスム』定価780円。当然税込でも税抜きでもナシ。消費税というものが存在しない世界。

 もう一冊、11年飛びます。1990年(平成2年)11月号『特集*スティーヴン・キング』定価980円(本体951円)。こちらは“本体”という謎の単語が定着した時期ですな。

 おっ、臨時増刊も一冊保存してた。1988年6月臨時増刊『総特集 澁澤龍彦』定価1,200円。ギリ昭和のうちか。税ナシ。判型は通常号と同じ。

 比べてみると、約三十~四十年後の令和のいま、臨時増刊の二千円台前半ならそんなに高くなったわけでもないのかな。こちらはA4判になってるし、昔同様、図版と図版の間はきっちり小さな活字が二段組で詰まった、懐かし変わらずの『ユリイカ』だし。

 綴じ込みの萩尾望都さん画のタロットカードは切り取らないことにしました。点線通りに切り取れば、タテ7.8㌢×ヨコ6.2㌢のミニサイズカードになりますが、紙質がいかにも薄手の厚紙って感じで丈夫そうでないし、ペーパーナイフやカッターでこういうの切ると小口がどうしてもボソボソするんですよね。もとよりタロットで占いやるのは二の次でなので、何も切って傷みやすくすることはない。

 よくよく解説を見たら、描きおろしではなく1976年(昭和51年)の雑誌『女学生の友』8月号特別付録の再録だそうです。そうかー。道理で絵柄が、月河の見知っている萩尾さんの線だもんね。漫画家さんだって、三十年、四十年も年を経れば絵が変わるもの。

 76年頃の萩尾さんの作品と言えば、長大作『ポーの一族』の完結編とか、『11人いる!』などで、このカードの絵柄もその頃の感じです。萩尾さん描く人物、他の漫画家さんに比べてちょっと顔のタテ(眉からアゴ先、もしくは額の生え際からアゴ先までの距離)が短め、横顔のアゴがしゃくれめなのが魅力でした。いまも現役で描いておられるのでしょうか。猫も杓子もスマホスマホの時代、アプリでスクロールして読む萩尾マンガって想像しにくいけど。

 あーー、ユリイカ、青土社、萩尾望都マンガ。『女学生の友』はさすがに70年代初期で足抜けしたけど、こうして、いままでやってなかったことをひとつ、始めるにしても、結局月河、気がつけば70年代80年代の残照、デジャヴから逃れられないのだなぁ。

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ここにも沼が ~タロットカードが呼んでいた~

2023-03-31 19:22:19 | アート・文化

 かれこれもう、まる一年三か月近く経つのだから早いものだと思う。昨年の初め、片づけを手伝っていた各種学校の図書コーナーの中に、ひときわ判型が大きく異彩を放っていたムック本があり、パラパラめくってみると厚紙の綴じ込みが。開いてみるとおお!高校時代にはまっていた、懐かしい萩尾望都さんの漫画の絵柄です。

 よく見ると、コマ割りが点線になっている??と思ったらマンガではなく、点線で切り取って使うタロットカードでした。全22枚、1:魔術師The Magician、2:女教皇The High Priestess・・・ときて、21:世界The Worldでいったん完結、0:愚者The Foolに戻る“大(メジャー)アルカナ”の22コマ、いや22絵柄。

 その時点では、“タロットカード=占いに使うらしい絵カード”とだけしか、知識がほぼありませんでした。

 15:悪魔The Devilの鎖につながれたプチ悪魔ちゃんがかわいい!てか悪魔本人(本人って)もイケメンだ!

 ・・図書室に放置されてたわりには汚れてなくて、誰ぞが切り取ろうとした痕跡もなく、シワや折り目もなくパリッとしてます。コレ、本を処分するときにここだけカットして頂戴するわけにいかないかな?ってかこの本そもそもナニよ?と、ブックカバーをはずして改めて見ると、『ユリイカ 詩と批評 12月臨時増刊号 ~総特集 タロットの世界~』。これまた懐かしや、70年代末から80年代前半、生協でよく立ち読みした『ユリイカ』!青土社!このご時世に、休刊してなかっただけでもやれ嬉しやの驚きです。

 “鏡リュウジ 責任編集”だって。ネットの占いサイト、占いがらみサイトで、作りつけの様にお名前を拝見する鏡リュウジ氏。それにしても字の小さいこと、でも図版も多いこと。

 よくよく図版群に注目すると、学生時代さんざん見せられたヨーロッパ中世の“なんちゃら公爵の時祷書・限定私家版”みたいな、宗教画のような、身内の肖像画のような、ノーブルな中にもちょっとアットホームで土臭い独特の絵柄なんですね。

 なるほど、こういうのが“タロット”のプロトタイプで、萩尾望都さん作画のこのカラー綴じ込みは、プロトタイプを萩尾さん流に料理してビジュアル化したものなのね、とつながってきました。

 これが月河と、タロットカードとの出会い。昨年の、当地は寒冷地のため学校の冬休みが長いですから、正月の松が明けた翌日か翌週ぐらい、“あと数日で生徒さんたちが登校してくる”タイミングだったと思います。

(この話続く)

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はらたいらさんに全部

2008-06-15 18:03:30 | アート・文化

次クール630日(月)~の昼ドラ『白と黒』が、“対照的な性格のふたりの兄弟の狭間で愛を見つめるヒロイン”の物語ということで、確か似た基本構造のお話を以前幾つかは読んでいるはずだと思い、めっきり衰え気味の記憶力をどうにかこうにかたどって最初に思い出したジョルジュ・サンド『愛の妖精』を、先日から(たぶん)30数年ぶりに再読しています。

すると、あら不思議。初読で印象の強かった“不器量な容姿と男まさりの言葉遣いで‘こおろぎ’‘鬼火っ子’と村人から毛嫌いされる痩せっぽちの精霊のような少女”ファデットより、彼女がふとしたきっかけで接点を持つようになる富農の双子息子の性格のほうが、特に前半、実に丁寧に、肌理細かく描出してあるんですね。

生まれつき体格も容貌も瓜ふたつで、仲良しの男の子ふたりが、それでも少しずつ気質や志向に違いが出てきて、そのために徐々に関係に変化が生じる様子、少年になってふたりのうちどちらかを他家に奉公させるにあたり、父親はより勇敢でたくましく積極的な弟を送り出して、心根の優しくおとなしい兄を親元に残すことにするのですが、それがまた多感な成長期と重なって、微妙な軋みが生まれ、拡大し波紋を広げていくさまが、取って付けたようにではなく、人物の内面的成長遍歴に沿って自然に描かれている。

著者サンドと言えば歴史や文学史の教科書でもロマン主義文学の代表選手として必ず名前の挙がる作家で、若くして結婚・破綻・別居ときて生涯恋愛と別離を繰り返した、看板通りの情熱の女性ですが、人が人として持つあたたかい心情や、家族・異性に寄せる思いの波動、揺らめきに繊細な感覚と表現力を持っていたことがよくわかる。

とりわけ、双子を取り上げた村のベテランお産婆さんが“双子ってのは離れ離れでは生きていけないそうじゃないか”と案じる父親に「双子がお互いに相手をわかるようになったらすぐ、いつもいっしょにしておかないように気をつけなさい」「片方に留守居をさせてもう一方を野良へ連れ出しなさい」「叱るにしても、おしおきをするにしても、ふたりいっしょにしてはいけないよ。同じなりをさせてもいけない。…つまり、思いつくだけの手をつかって、ふたりがたがいに相手と自分をごっちゃにしたり、相手がいないと気がすまなくなったりしないようにすることだよ。」と、豊富な経験と愛情に裏打ちされた懇切な助言をしているのが興味深い。

次クールのドラマ情報で思い出して再読を始めた小説ですが、意外にも、むしろいま放送中の『花衣夢衣』双子ヒロインたちを想起させずにおかない内容だったのに驚いています。真帆と澪姉妹も、この産婆さんの知恵通りに育てられていれば、たぶん十中八九いまTVで月~金繰り広げられている泥沼はなかったでしょう。

と言うより、“人が見ると取り違えるくらい見分けがつかず、自我が確立する青年期に入ってもそれを興がって、わざと人違いされるような言動を頻繁にする双子”って、ほぼフィクションの中にしかいないような気もする。それもかなりレベルの低いフィクション。 

実際に瓜ふたつの一卵性双生児を持った、心ある親御さんは、外見そっくりでもしっかり違う愛児たちの内面に常に敏感で、些細な差異も輝かしい個性の芽生えとして尊重して育てておられるものではないでしょうか。

そして双子本人たちも、互いのそっくりなところよりもむしろ違うところを認識し受け容れることでこそ、より一層精神的な“絆”が深まるのではないかと思います。津雲むつみさんの原作漫画は未読ですが、少なくともドラマの『花衣~』は、双子の神秘的な絆、そこから派生する人間関係・情動の波紋を主題にしているとするならば、19世紀中葉に書かれた『愛の妖精』の半分も、十分の一も描き出せていない、料理できていないことがよくわかりました。

ちなみに、月河がこの小説に始めて接したのは、たぶん小学校45年生の頃。少女向けにリライトされた、カラー印刷の甘い挿絵メインの本だったと思いますが、のちに読み直していま手元においているのは、昭和41年初版・同47年重版の旺文社文庫です。うわー昭和だ。受験生の味方・赤尾の豆単でおなじみ旺文社。当時は函入りの文庫は画期的だったのです。

しかも見たまえ。訳者が篠沢秀夫さん。かつての『クイズダービー』の1枠“愉快教授”です。っつってもこれまた若い人知らないか。奥付一頁前の訳者紹介によれば、当時は明治大学助教授。本文翻訳だけでなく、巻末34ページにわたる画像図版・著者家系図入りの詳細な作品解説も執筆しておられます。フランス文学を学ぶ人なら周知のモーリス・ブランショ(って誰だ)研究の第一人者ですが、この訳書当時は30代、パリ大学留学帰りの気鋭の学者だった模様。

いま何かについて興味を持って調べようと思うと、答えてくれるのはたいてい“昭和”の実績であり知的財産です。偉大なり昭和。目新しいもの物珍しいものは続々出てくるけど、平成は昭和を、いつか凌駕できるのだろうか。

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木村トキムラ

2008-02-01 23:36:45 | アート・文化

周回遅れになってしまいましたが、125日(金)放送の『爆笑オンエアバトル』。チャンピオン大会が迫り、客席審査員も「このひとタマにあの3勝組の可否が…」とつい慎重になる時期ではないかと思いますが、そんな目に見えない、重苦しい地合いを吹き飛ばす513kb1超新塾

流れの大枠はこの人たち、気持ちいいほど変わらないので、いつもの出だしのコブラの奇声がワンタイミング遅れ、「タイオウしてやろうぜ」でタイガーが噛んだ時点で、今日は“飛ぶ”日かなとも思いましたが、その後よくぞ持ち直し巻き返した。前半キメの人文字「毛!」が圧倒的だったね。底力みたいなものをこの人たちに初めて感じました。タイガーの山本晋也カントク、コブラの「どんだけカツゼツ悪いねん」に続いて、マンモスの“高木ブー的タヨリナキャラ”も堂に入ってきた。

“超シンジュク”と名乗って革ジャングラサンで決めてるにもかかわらず基本的には関西弁仕様のお笑いというアンバランスな可笑しさも、ここへ来て効いている。今回で確保したチャンピオン大会出場権、準決勝を突破して決勝で“いつもの流れ”をひと皮剥き、意外性を爆発させれば大化けするかもしれない。5人組のオンバトチャンプってのも一度ぜひ見たいな。頑張れ。

同じく安定感を発揮したブロードキャスト473kb2位。ボケ吉村の「この服良かれと思って着てます~」はタイムマシーン3号の「頑張れ半袖負けるな短パン~」、遡ればハリガネロック「目離れてました~」と一緒の、名乗り笑いキューなのかな。「こっちボーボー、ボク房野」など要所要所でちょっとドタバタ気味だったけど、全体的にはダレずに笑えた。「お母さん寝込まなくていい!」でいちばん笑ったな。「この服」の掴みに頼らない、漫才フォーマット取っ払ったガチのコントもぜひ見てみたい。

3位の465kb三拍子は出だしの「華がある人が出て来ましたよ」「見た目だけでしょう」は演順ひとつ前のカンカン(8325kb)のネタに関連してたのか。『オンバト』は客席のノリ、上り坂下り坂をそのまま伝えず、オンエア分だけカットしてつなぐので、こういう現場での突発ポイントが、前組オフエアのために無駄足になってしまうことはよくある。

それを吹っ飛ばすほどのデキとも言えなかったけど、「オマエのこと好きなんだけど」のサブリミナル→「ずっとこうしていたい」の伏線周到さ、“伏”(久保が目をむいてるだけ)の時点でもきっちり笑い取ってく辺りはやはりオンバトベテランの味ではあった。それにしてもネタ前自己紹介のシャツ着る前の高倉はナチュラルにゾンビっぽかったな。超新塾同様“いつもの感じ”で駒を進めたチャンピオン大会で一発冒険して見せてくれないか。

ま、ぶっちゃけ“いつもの感じ”でネタ構成した組のほうが概ね成績いいチャンピオン大会なんですが。こちらは審査にタッチできない、いち観客だもんでね。

5409kb天津は、ボケ向(むかい)のキモヲタキャラはそのまま、オーソドックスなコント漫才で新境地を見せた感がありますが、それよりなにより、月河はパッと出から丸顔マッシュルーム頭の向が、あの世紀末挿絵巨匠オーブリー・ビアズリー描く『サロメ』画中に洒落ノリで描きこまれた作者オスカー・ワイルドそっくりに見えて仕方がなかった。あの、サロメと全裸のヨカナーンが右端に立って、雲間の月がワイルドの顔に見えるやつね。ヲタ眼鏡かけさせたら向そのまんま。

噂の萌えジャージも、オンエアでは初見でしたが、テンポはいいし、そんなにキモヲタにこだわらないで普通に漫才でコンスタントに玉稼げるんじゃないか。409というkb数からすると、客席は物足りながっているのかな。這ったり立ったりのコント漫才としては、ちょっと四肢や身体のキレがパンチ不足か。

今回いちばん新鮮に笑えたのは4421kbカオポイント。店長と万引き犯が「先輩~」「イシバシかぁ~」「テンション上がるなぁ~」となるところで前半のピーク、「実は本社に依頼されてテストしていたんだ」で後半にもひとつ意外性のピークを持って来られたし、「あーもう思い通りに行かないなぁー!盗みてータダで飲みてー!」に至るまで、どんどん声が前に出てくるようになる過程、観てて爽快だった。

このネタ何が笑えるって、“面倒見よかった部活の先輩が万引きするようなしょーもな人間になっちゃった”というもの悲しさでなく“部活時代から常習犯だったのに、人のいい後輩がパンや肉まんに目がくらんで気がつかなかっただけだった”という鷹揚なマヌケさにネタ世界をまとめた、その枠組みが可笑しいんだな。

これが5回めの挑戦での初オンエアというのが意外ですが、今回のデキを見る限り、4回連続でネタがつまらなかったとは考えにくいし、丸刈り強烈キャラのオクマンにしてもジェフ市原時代の小倉隆史選手似で、初見の客席が引くほどぶっ飛んだ顔面ではないので、“演り急いで声が前に出なかった”可能性が高い。

こういう“オンエアまでの助走が長い”組の予習のためには、オフエア時の敗者コメントやジャッジペーパー字幕をちゃんとチェックしておく必要がありますね。次回挑戦が楽しみなニューカマーが増えて、まずはめでたい。

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バッカ野郎コノ野郎

2007-12-08 19:42:52 | アート・文化

『爆笑オンエアバトル』1272410~)は期せずしてプチ“魚シリーズ”になりました。

まずは、“誰も知らないものまねシリーズ”のくじら。「バスプロスターシリーズから、ナミキトシナリ!」「フナ釣りスターシリーズから“釣れたんじゃない釣ったんだ”ヒラマツケイ!」「…いまのはヒラマツケイと言うよりも、キタムラヒデユキでしたね」など、元ネタっぽく言及される固有名詞がいきなり誰も知らないだけじゃなく、「“ヘラブナ”ったら“漫遊記”だろっ…“ヘラブナギャラリー”と混ざっちゃったか?ソレ俺ちょっと悪かったわ」など、当たり前のように引き合いに出す番組名まで誰も知らないという。

唐突な連想ですが、『やっとかめ探偵団』でおなじみ清水義範さんの一連のパロディシリーズを思い出しました“すでに確立されている誰か”のモノマネのつもりになり、“あからさまにモノマネ然”の枠にはめて書けば、逆に相当オリジナルなものが書けるってことは確かにあります。381kb4位は初挑戦としても、芸風的にもよく取った。とんねるず、特に木梨さんが「アイツオンバト受かっちったよ!」と大ウケしてくれてそう。

続いては幕開けから、ここまでやってオフエアだったら凹むだろうというオッサン人魚で登場チョップリン401kb3位。ヴィジュアルが突飛なわりには低テンションで進む持ち味は前回のトイレネタから一貫していて、だいぶ受け入れられてきた感がありますが、「パスタとか春巻きとか興味ある」で月河は爆笑したけど、満場笑いの渦ってわけにはいかないだろうなぁ。

「彼魚(カノギョ)はパターン逆や」「Gパンのスキニーよう似合うで」に「そのカノギョのお母さんぐらい、ルネ・マグリットの絵のモデルになってね?」とツッコミたくなりました。遠距離恋愛ならぬ遠洋恋愛、会ってもコミュニケーションとり辛そうだな。

三拍子457kb2位と安定していましたがちょっと今回は精彩を欠いた。ベタなシチュエーションにあこがれる→「キキー、ドン」「ガッ」のつかみがいつもより弱かった上に、「チャックをチェック」がはさまってますますぼやけてしまった。彼らぐらいのオンバトキャリアになれば、出てきただけで基礎点みたいなのはある程度取れるけど、ここへ来ての出来不出来の激しさ、チャンピオン大会への不安材料を露呈する結果となりました。

5357kbでなんと滑り込みオンエアのスマイルの面白さは月河には申し訳ないほどさっぱりわからない。拍手も出た『桜坂』のドンズバ「ウーイェイ」と、「キツネがコーラス入ってたのも気になるけど」でちょっと笑えたのみ。ウーイェイって、見れば見るほど目つきが、こういう動物キャラTにサロペット着るような、精神年齢不詳の天然キャラを演る目じゃないんだよなあ。ツッコミ瀬戸の地方ホスト風美形も、この手のキャラの猿回し役に向いてない。キャラ作らない普通のしゃべくりボケツッコミ漫才じゃダメな理由でもあるんだろうか。

神田愛花アナのネタ前紹介「どんどん“うーえぃ(=上)”を目指してね!」のほうが、むしろオンバト視聴者向きの笑いだったかも。

そんな中、癒し系漫才の風藤松原473kb1位取っちゃったのは嬉しいビックリでした。何がおもしろいって、風藤はともかく松原はかつての常連号泣のボケ似で全然癒しな顔じゃなく、むしろキモ系、もっと言えばオカマ顔なのに、癒し系として成立しているのが可笑しくて仕方がない。「そこまで用意して来てんならオレ止める権利ねぇわ、やったほうがいいよ」ですでに陥落でした。

途中コンビニ面接に入る前辺りから風藤が通常ののらりくらりから軽くテンション普通レベルまで上がったのもいいし、「アバンギャルドなおじいちゃん」「ヨネさん」「お賽銭」など、老人ネタも得意技として定着できそう。

それにしてもこの得点は、5番手・くじら以降4組低調が続いた果てにはじけた、ラストバッター効果でしょうね。「三人寄ってもジ・アルフィーになんないよ?」の後「どうすんのBコースになっちゃったら」「服三色要るよタイヘンだよ、オマエ何色になる気?」ぐらいは付けてもオンバト的にはうけたんじゃないかな。

今回、オンエア全組、オチとオチ前の盛り上がりがもうひとつだった。最近の若手、とみに“全篇の中でオチ直前がいちばん盛り上がる”という構成になるネタがなかなか見られない。スッと入ってボコッと終わるのが身上の、いわゆるシュール系は別として、それ以外の“正統派”の人たちでも、不思議にオチへの収斂が弱く、むしろオチ前に下がって、下がったまま「もういいよ」「いい加減にしろ」とオトす感じなのは、寄席やライブよりTVのネタ番組・コント番組を見て育った世代だからでしょうか。先日の『点と線』じゃないけれど、どうも笑いが点、点、また点で、流れるような右肩上がりの線を描かないのです。

やはり03年~04年のいわゆる“お笑いブーム”のおかげで、単発で耳に残る強烈ギャグ一本ひっさげ瞬間の笑いが取れれば勝ち、のような地合いで若手芸人を使い捨てしてきたツケが、“市場”にそろそろ回ってきているような気がする。M1とともに、オンバトチャンピオンシリーズもちょっといろんな意味で心配ではあります。

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