イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

体温計クロニクル ~みんな揃ってJ丹丹~

2020-05-30 22:15:48 | 健康・病気

 うちにある体温計を、マスクの買い置きと同じように今般、棚卸ししてみたら、ちゃんと実働しているモノだけで新旧6本ありました。

 うち二本は昨日書いた、昔ながらのガラス製の、水銀柱が目盛りを上がっていくやつ。“J丹体温計”でおなじみでしたよね。月河が風邪や扁桃腺で熱を出しがちな子供だった昭和40~50年代は、家庭で体温計といえばどの家もコレでした。

 子供心に、「なんで体温計のメーカーが“J丹”なんだろう?」と不思議に思ったこともありました。ツブツブでスーッとするアレ。夜、飲み会のあと、〆がラーメン、なんてオジさんたちは朝からコレが手放せなかったはずです。

 「銀色つながり、かな」なんてね。

 このJ丹体温計も、ロングセラーだったぶんアナログなりに何度かのヴァージョンアップはあった模様で、うちにある二本のうち一本はケースにストラップが付いていて、測定後水銀を下げるときストラップの両端を持ってクルクルッとねじるタイプ。

 もう一本は少し後発で、棒の先端にケースの直径並みの輪っかがついていて、輪にとおして竹とんぼ飛ばすときみたいに両掌にはさんでクルクルするタイプ。

 前者は一度ストラップが切れたと見え、高齢家族その2得意の糸針ワークで、シルクっぽい撚りヒモを通し直して結び目を作って、交換してあります。買ったときのストラップよりちょっと短くてクルクルがきつめになっていますが、ちゃんと測れるし下げられます。

 後者の竹とんぼ方式のもちゃんと測れるのですが、月河の記憶ではあまり家族内で人気がなく稼働率が低かった。ストラップ式と違って、クルクルするツールが一体になっていないので、みんな、よく置き忘れるんですよね。測って、下げた後、あるいは下げる前、「あのクルクルするやつどこ行った?」と布団や枕を持ち上げたりベッドサイドの両下を探したりするはめになる。ストラップ式のと二本あったら、みんな前者のほうに手が伸びるようで。

 まあ、ストラップ式も、ケース(透明です)を見失ったり、ケースのキャップ(小さいです)だけ落としたり、たまさかやりがちですけどね。

 このタイプの欠点は、なにぶんガラスなので衝撃を与えると割れることがあることで、しかも中身は水銀ですから、人体に毒性があります。

 市場から退いて行ったのはそれもあるのでしょうね。活発な小さいお子さんや要介護の患者さんには、破損のリスクは無いに越した事はない。試しに「体温計 水銀」で検索してみても、令和2年のいま、販売・購入可能なのはヤフオクだけでした。

 でもこのタイプ、ちゃんとワキの正しい位置に挟んでじっとしていさえすれば、正確さの点ではデジタル体温計より信頼性が高いそうですよ。現役看護師だった知人が言っていたから間違いないです(と思います)。

 ただ、医療期間では不特定多数の患者さんに、都度消毒しては何度も使うので、落としたり折ったりの不慮の事故を想定すると、測定時間が短くてすみ、なおかつ低リスクのデジタルに軍配が上がるとのこと。

 そうそう、測定時間のこともありました。アナログの水銀体温計って、「結局いつまで挟んでいればいいのか」が、いまだにつかみどころがないんですよね。もう絶対熱ある!ガタガタ寒けするしアタマがんがんするし!と、顕著な自覚他覚症状があるときには、ワキに挟んで1分もしないで上がり切るような気がするけど、なんかだるい・・熱あるかも・・ないかも・・ぐらいのときに、“5分挟んで36-9℃”だったら、もっと挟んでればもっと行くような気がする。

 デジタルのアラーム付き体温計は、この“結局いつまで”問題を解決してくれました。月河家に初めて来たのは、80年代に入ってからだったと思います。

(この項続く)

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転売ヤーの高体温 ~渦福は糾える縄~

2020-05-29 22:34:26 | 世相

 新型コロナ渦・・じゃなくて禍の混乱で、マスクや消毒用アルコールだけでなく、いろんなモノが一時期品薄になるという不可解な現象が起きました。

 トイレットペーパーは例の「マスクと原材料がかぶるから」というまことしやかなデマが補論して拍車をかけたし、小麦粉やホットケーキミックスは、大人も子供も“家で作って食べる”を一週間二週間続けると、みんなほどなく粉モンに逃げる、という現象の証明でした。 

 主食としてはお米=白いご飯が、腹持ち的にも栄養バランス的にも、保存性の面でもいちばん優秀なんだけど、“おかずがないと食べられない”という致命的?な弱みがある。おかずがねー。ネタ切れになるんですよねー。一週目はなんとかなっても、二週目以降がきつい。

 お子さんにもゲームの手をちょっとおいてもらって、キッチンに出動させて、パンケーキとかお好み焼きでも、皆でわちゃわちゃ焼かないと間が持てないし気分も変わらないという気持ちはわかります。ネコもシャクシもステイホーム生活の中、そういう気持ちになるタイミングが、皆さんあっちでもこっちでも一致しちゃった。

 ちなみにヨーロッパで真っ先に医療崩壊が伝えられたイタリアでは、ロックダウン前の早い段階で店の棚からパスタが消えたそうです。まぁ、生(き)のまんまの小麦粉で買いだめしとくよりも、パスタは乾物だからフードロスにはならないか。

 驚いたのは、一か月ほど前ですけど、「体温計が品薄」という話。なんでも、“出勤前に検温を義務付ける会社・職場が増えた”のが原因らしい。

 お子さんや病人がいなくても、普通の家庭なら体温計の一本や二本、常備薬の引き出しの片隅にでもおいてあるんじゃないかと思ったんですが、言われてみれば急に家族の誰かが熱を出しでもしない限り、そう頻繁には使わないものだし、共働きのお父さんもお母さんも必要、この緊急事態下で休校中の子や、預け先どうしようという就学前の子にはもっと必要、使いまわすたびに消毒するアルコールも品切れとなると、もうお手上げ状態で、しかも最近の体温計はみんなデジタルですから、久しぶりに使おうと思ったら電池切れになっていて、替えの電池買いに行ったらそれも品薄、なんて泣きも笑いもできない状況に、一時は本当に陥っていました。

 マスクからトイレットペーパーの騒ぎの頃にも思っていたんですが、何かしらのイベントやアクシデントが世の中に起きて、「多くの人がコレを必要とするはず、欲しがるはず」と皆考えるアイテムが、ピンポイントで狙ったように市場から消える、棚がカラになるという、この現象ホントにどうにかならないんでしょうか。

 “転売(テンバイ)ヤー”という揶揄ったネーミングを知ったのは『TVタックル』か何かの番組だったと思いますが、たとえば滅多にナマ歌を拝めないアーティストのコンサートチケットとか、数量限定期間限定のフィギュアや模型とか、欲しがる人はそれこそ高体温だけど人数が必ずしも多くないし、販売の日時にどうしても買いに行けないこともある、マニア性の高い商品の場合は「その日時に(自分の代わりに)並んで入手してくれた」ということを“安からぬプレミア上乗せされてもしょうがない、許せる”サービスと取り、所謂転売ヤーを利用して(第三者からは)法外な価格で又買いするという取引も、ギリギリ、合理的売買として成立すると思うんです。

 しかし“新型感染症蔓延中で、世の中みんな自宅にロックダウン中のトイレットペーパー”とか“、同じく消毒用アルコールやウェットティッシュ、手洗いソープや食用小麦粉、ロックダウンが解除されて出勤が始まったら今度は体温計、次いで交換用電池・・など、“この状況下なら老いも若きも、富めるも貧しきも全員必要”なモノが、選んで狙って消しゴムかけたように店頭から姿を消す。マスクはともかく、どれもこれも、国内でじゅうぶん過ぎるくらい生産が間に合っている製品、商品のはずなのにです。

 大袈裟じゃなく、コレ自由主義経済体制の敗北じゃないか。旧ソ連時代の共産主義国で、計画経済の下、消費財が発売されたら寒空の下、民衆が皆行列順番待ち、計画個数売り切れたら棚は元通りカラっぽ・・という、USA中心の西側圏では嘲笑気味に報道されていた風景と、ぱっと見、いくらも差異がありません。

 自由過ぎてこうなった。情報があり過ぎて、偏り過ぎて、聞く耳が育たな過ぎてこうなっちゃった。

 新型ウイルスが炙り出した世の中の歪みひずみの中でも、これは本当に皮肉なものです。

 ちなみに、月河家は体温計に関しても、マスク同様今般は慌てて薬局やドラストに駆け込まずに済みました。昭和の時代の、ガラスに水銀と目盛りのアナログ体温計が二本、まだ現役。モノもちのいいにもほどがあるなぁ。

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