イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

女を亡くすと書いて

2013-11-19 14:13:46 | 昼ドラマ

 『天国の恋』は第2週(114日~)初頭であきらめました。前作『潔子爛漫』が小粒ながらしっとりといい出来だったし、今作は昼帯を知り尽くした中島丈博さん、昨年の『赤い糸の女』以来、満を持しての新作オリジナル脚本とあって、放送前からかなり期待していたのですけれどね。 

とにかく絵柄が汚い。汚すぎる。
 

汚いと言って悪ければ殺伐とし過ぎる。当方、ドラマは月~土のNHK朝ドラと日曜のスーパーヒーロータイム以外はまず99パーセント、リアルタイム向き合い視聴は無理ですから録画セットしておいて、暇を見てCMカット編集してから観るわけですが、消音で早送り、止まって戻って消去開始指定、消去終了指定、あっ送り過ぎたまたちょっと戻って・・と編集作業していくと、映る絵柄があまりに殺伐なため、早く編集終えて音声付きで視聴したい!という意欲がどんどん後退するわけです。
 

45話分続けて、絵だけ進めて止めて戻って止めての作業をしている途中で、「あっ!いまの場面すぐ音声聞いてみたい!」と編集完了を待ちきれなくなることが一度もないというのは、ほかでもない、絵自体に魅力が無いからだと思います。ストーリーや台詞の責任ではありません。消音でやってての話ですから。
 

テーマ(アラフォー主婦が目覚めた本能の恋と修羅)からいってキャストが全般的に中高年シフトになるのは仕方がありませんが、若いほう担当の、ヒロインの恋愛相手男子やヒロイン高校生時代版とその友人たちも含めて、どうにもわざわざ“より醜悪に見える”撮り方見せ方を選んでいるとしか思えない。ヒロイン斎(いつき)役の床嶋佳子さんは言わずと知れた安定の演技派だしお顔立ちもそれは端整な人なのに、肌の色ムラや凸凹がいやでも目につく接写距離がやたら多いのです。斎の高校生時代を演じる小宮有紗さんも、特命戦隊イエローバスター=ヨーコの頃はあんなに可愛かったのに何で?いつからこんなに?と思うくらいくすんだ表情ばかり。少女期斎の、くすまざるを得ないドラマ上の境遇を考慮するにしてもです。
 

斎(いつき)高校生篇は弟役や同性異性の友人たち役も、小宮さんと同系の、古風め寄りの端整な子を選んでキャスティングしているので、ますます“見せ方”のイビツさが目立ちます。“死んでも綺麗に撮らないぞ”ぐらいの覚悟すら感じるほど。
 

男性中年俳優さんたちの顔面アップに至ってはもう言わずもがな。制作意図はたぶんゴヤの風刺版画集『ロス・ディスパラテス(妄)』の実写版的な世界醸成を狙っているのでしょうが、そういうひねったダークさ、ねじれた哄笑、いま見たい世界ではないんですよね。

  要するに当方の視聴バイオリズムと噛み合っていないだけかもしれない。中島丈博さん作のこの枠のドラマも、大正時代の実在の伯爵夫人心中未遂事件を核に翻案した
2006年『偽りの花園』辺りまでは、洒落にならない人の業(ごう)のせめぎ合うブラックさをうまいこと夢々しさの衣にくるんでいたのですけれどね。たぶん翌年の『麗わしき鬼』を境に、ダークなエグみ剥き出し直球でくるようになってきた。昨年の『赤い糸の女』も2ヶ月9週だったから勢いで特につかえることもなく完走できましたが、あと1ヶ月長かったら自家中毒を起こしていたかもしれません。
 

個人的なタイミング、地合いの不都合さだと思えば、中島さん作品にもこの枠にもそう深く失望はしませんが。何と言っても今年2013年に入ってから、完走した連続ドラマは『あまちゃん』と『夫婦善哉』『実験刑事トトリ2、『雲霧仁左衛門』のみという状況です。先行放送、再放送で拾う機会が盤石にある『八重の桜』さえザイルを手放しました。
 

『梅ちゃん先生』とか『おひさま』のような、ふわっと甘口のドラマに耳まで浸かった直後なら、中島さん印の、あけすけかつ沈殿物の多いエグみも快適だったでしょうし、ゴヤ風の汚しの入った絵柄にも食いついたかもしれません。何事もご縁とタイミング。次作以降に期待しましょう。
 

・・そうは言ってもお昼~午後のTV編成は激変の予感。贔屓のこのドラマ枠も来年からはどうなるのでしょうね。いっそ過去作の再放送枠になるなら大歓迎ですが。 

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冨久作用

2013-09-21 00:46:27 | 昼ドラマ

 秋に入って嬉しいことに、昼帯ドラマが久々に、いい具合にキナ臭くなってきました。2日(月)からスタートの『潔子爛漫』(きよこらんまん)。この枠では、いつ以来か思い出せないくらい久しぶりの明治もので、清廉な小学校長(渡辺裕之さん)を父に持ち、武家の誇りを第一に育ったヒロイン(福田沙紀さん)が、誠実で気の優しい医者の息子(石垣佑磨さん)と兄妹の様な清らかな絆を育むも、野心家の議員秘書(加藤慶祐さん)に見初められ、その父で幕臣上がりの、歪んだ権勢欲を持つ官僚(高知東生さん)と接点を持ったことから運命が狂い始め・・という、王道の“ままならぬ純愛”ロマンです。 

 潔子役の福田沙紀さん、名前は何年も前から聞いていたものの、ちゃんとお芝居するところを見て顔と名前が一致したのはここへ来て初めてです。整ったお顔立ちだけれどまたずいぶんとアゴが男性的に張った・・と思っていましたが、今作に関しては“明治日本のラファエル前派”美女と思えばナイスマッチでないこともない。ダンテ‐ガブリエル・ロセッティは自分の恋人がこういう輪郭の顔立ちで、よほどぞっこんだったらしく数々の神話や文芸作品の人物になぞらえて描いていますね。ドーバー海峡を越えて彼と交流があった、ベルギー生まれでウィーン分離派のフェルナン・クノップフも、好んでこれ系の輪郭の、濃い顔のスフィンクスやメドゥーサを描いていました。
 

福田さん、和風の“十九世紀末顔”だったんですな。国民的美少女コンテスト出身ですが当初から演技力は定評があったのに大ブレイクというわけにいかなかったのは、微妙にいま風の美貌ではないところが足を引っぱったのかも。この枠の明治ものはまたとないチャンスかもしれません。
 

ヒロイン潔子、敬愛するお父様は悪い官僚に陥れられて汚職の容疑を着せられ、拷問の末釈放されるも肺を患ってはやばやと無念の死、潔子は生計のため料亭の女中となりますがここにも悪い女将に悪い旦那、悪い女中頭(『八重の桜』では山本家の忠実な下女さんだった山野海さん)に、客も朋輩の女中たちも、店のシステム自体もドス黒いわけありで、序盤の本命の医者息子とめでたくハッピーエンドになるまで(なるのかオイ)どれだけ紆余曲折があるものやら。福田さん扮する潔子が、“やられっぱなし”ではなさそうで、結構根性太そうなツラガマエをしているので、うまくいけば痛快さのある明治ロマンが期待できるか。
 

その医者息子=超ポジティヴ楽観的正義漢・蒼太を演じる石垣佑磨さんも、どこかしら脳筋で、一途過ぎてお間抜けな表情なのが、男顔の潔子とナイスカップル。ゴールインしたらどえらくカカア殿下な夫婦善哉になりそうで、見える未来が明るいのがいいですね、このドラマ。
 

昼帯ドラマの時代ものの魅力のひとつに“クサい台詞を臆面もなくぶち込めること”がありますから、どんどん行ってほしいですね。序盤「それが武家の女の道」「おのれの心に従う事」の“ゾ言葉”でシーンを引き締めてくれた潔子祖母にして、肥前佐賀の大名龍造寺家の血を引く姫・冨久(松原智恵子さん)が第一週なかばで他界されてしまったのが残念。『ゲゲゲの女房』のおばば(野際陽子さん)のように、“あの世目線”で潔子を見守りつつナレーションしてほしいものぞ。

いらないバイク買い取るぞ(“象”だった)。
 

もうひとつ不満を言えば、タイトルバックと提供スポンサーベースのアニメーションが、もろにCGCGしていて“和”な手作り感や、良き古風さがないことぞ(はまってしまった)。画面いっぱいの楓紅葉が花になり、花がとりどりの傘になる。色彩は美麗なのですけど、奥行きがないし、かつての昼帯のOPによくあった、“この映像のこのカットが展開や結末を暗示しているのかも??”と深読みしたくなる思わせぶりさが無い。“潔子爛漫”という題字や話数表示が縦書きなのはいいけれど、ならばもうひとつ頑張ってキャスト・スタッフクレジットも倣ってほしかった。
 

昨今、単発SPではない、連続ものの時代劇はNHK大河とBSプレミアムぐらいでしか制作されなくなっています。昼帯ドラマには昼帯なりの身の丈の、豪華スケールでないからこそ出来る作品がまだあるはず。手を抜かず、“いまどき役者の明治コスプレ”に堕さない様、細部に気を入れて頑張っていただきたいものぞ。 

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ぬんすん四か月

2013-07-06 00:40:49 | 昼ドラマ

 しかし種市先輩(福士蒼汰さん)(@『あまちゃん』)、また、なして転職するに事欠いて寿司屋とな。

 花の南部ダイバーが東京スカイツリー現場に配置替えされて重度の高所恐怖症発覚→退社まではわかるけど、東京なら高卒潜水士資格持ち、南部もぐりを生かせるクチがいくらでもありそうなんですけどね。

 寿司→海産物→潜り、と連想がはたらいたか。アキちゃん(能年玲奈さん)から「ちっちぇー男!」とカツ入れられた現場が寿司屋だったこともあり、あるいは「天野が頑張ってる職場(=東京EDOシアター)の近くにいて、これからもちょくちょく叱ってほしい」との潜在意識が頭をもたげたか。本命ユイちゃん(橋本愛さん)への告白もリアスの前でキレられた流れのときだったし、ひょっとしたら先輩、“叱られたい男”“叱ってもらわないと本気出ない男”なのかもしれませんぞ。恋愛感情はいまだ地元のユイにあるにしても、先輩にとって別ベクトルから天野はなくてはならない存在になりつつあるのかも。いいぞアキ。目指せ男女の友情。

 それにしてもアキちゃん、アイドルとしてはいまだシャドウもかなわない下積みではありますが、憧れの大女優鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子さん)の付き人に指名されて、多忙ながらも行動をともにできるし、反省会ではタメグチで本音トーク。夜はGMTの仲間と晴れの舞台を夢見つつレッスンでいい汗をかき、大女優からは高級寿司の差し入れ。しかもその配達は再会した初恋の人。結構、贅沢な上京青春ライフではありませんか。

 それに対して地元に居残ったユイちゃんはいまどん底です。やっとお父さん(平泉成さん)がリハビリ退院、上京してアキと合流し全国区アイドルへのスタートラインに立てると思ったら、今度は介護疲れ?でお母さん(八木亜希子さん)が失踪。ここまで来るとユイちゃん、“妖怪・東京いけず”に取り憑かれてるとしか言いようがない。

 あるいはこちらも潜在意識的に“東京でのまだ見ぬ高レベルライバルたちとの、アイドルスペックガチバトル”を恐れ避ける心理が奥底にあって、それがコンマ1秒の上京ベストタイミングを逸せしめているのかもしれません。極端な話、親が倒れたって、いつかのように家出で飛び出すことだって、やる気になればできるのですからね。 天下の県会議員先生、お母さんも“根っからのサブレ(セレブともいう)”で実家にお金ありそうだし、介護ならカネで人にいくらでも依頼できるでしょうし。

 結局ユイは東京に出て、ワンオブゼムからアイドル戦線を勝ち上がることより、なんだかんだでいい人揃いで裕福でもある家族と、かわいいかわいいとちやほやしてもらえる地元の居心地よさのほうが、深層では好きなのだと思う。根っからの“持てる者”なんですね。

 でもまた、化けるに事欠いてメッシュに眉毛剃り込みにマンボズボンみたいの履いたヤンキーとは。アイドルを志すだけあって、ユイちゃんは本当に秘めたる自己顕示欲の人なのね。目立つ存在でいたい、注目されたい、別格でいたい。アイドルが“かわいがられる、愛される、好感度、憧れの対象”としての目立ち方チャンピオンなら、メッシュ剃り込みヤンキーはその対極のチャンピオン。

 ?上京してアイドル志願という、誰がやっても本来無謀な、勢いで一気に行かないとダメな行動を、親のアクシデントで立ち止まって客観的に考える時間ができてしまった。

 ?何によらず地元では同年代の他の女子に負けたことがないユイとしては、アイドル能力は自分よりずっと下と思っていたアキより遅れを取ってのスタートになるのも気が進まない。

 そして、これは伏線になる場面がひとつしかないのでユイ自身も気がついていないかもしれませんが、

 ?“お母さんのような人生(=若くしてキャリアを捨て田舎で家事に明け暮れる)は嫌”と殊更に否定していた母親が、自分が夢を掴みに行く直前を見計らったように失踪。“仇を取られた”とのショック。ユイも母親の愛娘として、“結婚し子を持つことを選んだためにあきらめざるを得なかった夢が、お母さんにもあったはず”との思いはあるのです。母の秘めた悔しさを蹂躙して手前勝手に夢。夢と言いつのってきた自分に、苦い一抹がないわけがない。 

 かつて自分も親の都合で夢が途切れそうになり、こちらは力ずくでおん出た経験のある春子さん(小泉今日子さん)のカラダを張っての(←服はともかくわざわざあばずれメイク)一喝で、ユイちゃんはもう一度本気を見せてくれるでしょうか。

 しかしまあ、鈴鹿ひろ美さんは退屈しないね。アキに言わせれば「芝居だけやってればいいと思う」、芝居以外見事に何もないおばちゃんですが、月河史上最高の昼帯ドラマ『女優・杏子』の杏子さんのふんわかヴァージョンみたい。 
 鈴鹿さんと、香月杏子さんと、西条玲子さん(@『エゴイスト』)の豪華三大女優競演スペシャルドラマとかあったら楽しそうだな。杏子さんが本妻、玲子さんが愛人、鈴鹿さんが・・・そうね、調停代理人の弁護士で(おめでたはナシで)。

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愛は欲しいわ

2012-11-26 00:49:11 | 昼ドラマ

『梅ちゃん先生』の心配ばかりしているうちにも時代はどんどん移り変わっていくのでありまして、この秋は久しぶりに昼帯ドラマも元気です。

 (それにしても、むし返すようですが『ぼくの夏休み』というのはいったい何だったんでしょうな。この枠をどうしたかったんでしょう。制作局内で「夏休みで在宅の小中学生を固定客の主婦、ママさん視聴者に巻き込んで、人気子役フィーチャーのジュヴナイルSFもので」派と、「いや暑い季節こそこってり韓流風味の生き別れ再会テーマを特撮イケメン美少女キャストで」派とが争って決着つかず、延長十万二十八回ウラ時間切れドローみたいな。月河もこの枠を贔屓にして10有余年になりますが、これほど“大真面目に放っぽり投げた”作品も見たことがありません。企画迷走もしくは出演者のスキャンダル等アクシデントで途中から珍作怪作化した連ドラには、多少なりとも「ゴメンちゃい、テヘペロ」なご愛嬌感があるものです。コイツは愛嬌のカケラもなかったねえ。「そうだよ迷走だよだから何?」的涼しい顔でぶっちぎり、伏線埋めっぱなし白骨化も何のその。この野郎に比べれば現行放送ドラマ中断トツの唯我独尊帝王『純と愛』なんか無邪気なくらい)

 まずは今月アタマ絶賛フィナーレを飾った『赤い糸の女』が久々のクリーンヒットでした。脚本中島丈博さんと言えばこの枠ではすでに大御所的存在で御年すでに70代後半戦のはずですが、「間然するところがない」という表現がぴったりの連続ドラマをまだ10本は余裕で書けそうな剛腕ぶり。

容姿差別といじめという、少女漫画的古典モチーフから端を発して、全身整形、買物依存症と多重債務、上場企業OL売春、仲間うちのいたずら落とし穴で過失致死…と、ちょっと前の三面記事を思い出す生臭いネタを精力的に織り込み、最後は母と娘、親友と仇敵、“女は結局、いちばん憎んでいる(つもりの)同性を自分と同化し内面化して生きて行く”という、中島ブランドの愛憎ドラマ普遍の地平にまんまと落とし込む巧妙さ。

 NHK朝ドラ育ちの清純派にして“そっくり双子ちゃんの、顔が(まだしも)アイドルっぽいほう”としてしか存在価値を評価されてこなかった三倉茉奈さんが、ベッドシーンありの汚れヒロインに挑戦!と放送前はしきりに宣伝されていましたが、脱ぎ方面はともかく、地顔が“笑ってるのに困り顔、当惑顔”という点が、このドラマに実にマッチしていました。実際、TVで顔を見るたびに何がそんなに可笑しいのかってくらい目いっぱいニコニコしているのに、まったく幸せそうに見えない、微笑ましい気分にならない女優さんってそうはいません。

父は大繁盛の美容整形外科医(石田純一さん)、お嬢様女子大に学ぶ裕福な境遇なのに、地方旧家の令嬢でイケメンエリート(ちょっと苦しかったが最終的に嵌まり役瀬川亮さん)をフィアンセに持つ女子寮ルームメイト(上野なつひさん)にひそかに嫉妬、合コンでも司法試験浪人で童貞の冴えない彼氏(酒井扇治郎さん)しかゲットできない自分を残念に思っているヒロイン唯美(ゆみ)。

 “足る”を知らず、礼も節も知らず、ひたすら隣の芝生の青さばかりを気にかけてセコセコがつがつ貧乏臭く生きねばならぬ人間一般の醜怪さが、明るく前向きで誰からも好かれるヒロインを専らやってきた三倉茉奈さん起用で活きた。醜怪な役を醜怪な人が演じても面白くもなんともないのでありまして、唯美にとりつく整形同化魔・芹亜(せりあ)に扮した奥村佳恵(かえ)さんの、ザラッとしながらヌメッとしている、水蛇のような、毒のある蔓植物のような美しさとともにドラマの世界観を支えました。

同じ中島さんオリジナル脚本作でも『牡丹と薔薇』の大河内奈々子さんと小沢真珠さん、『偽りの花園』の遠山景織子さんと上原さくらさんのような、パッと見わかりやすい“薄幸系と驕慢系”でない、ひと捻りもふた捻りもしたこのキャスティングで、快作誕生はほぼ約束されたも同然。神保悟志さん升毅さん山﨑樹範さんと、枠&制作局ゆかりの大物脇役さんを1話限りのゲスト投入で微妙な贅沢感も付加して、久しぶりに痛快にねじくれた、ゴリッと噛み応えのある昼帯ドラマを堪能させてもらいました。

ついでに、この秋は村松崇継さんの劇伴音楽も当たりシーズンで、NHK土曜ドラマ『負けて、勝つ ~戦後を創った男・吉田茂』で大河ドラマチックなスケール感と歴史観を堂々展開してくれた一方、この『赤い糸の女』でしっかり昼帯の地平にも帰ってきてくれました。“甘美であることにためらいがない”のと、“艶(つや)のある大袈裟さ”が村松さんの昼帯音楽の最大の魅力です。こういう音楽が似合ってこそ昼帯じゃないかと思えるほど。次回はどんなキャストの、どんな作品で村松節(ぶし)が聴けるか、鶴首して待つとしましょう。

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見よい黒々

2012-08-21 01:18:30 | 昼ドラマ

まだあきらめてないんだ。いまの、アノ状況から、巻き返しあると思ってるんだ。

建造お父さん(高橋克実さん)「海苔は髪にいいんだ」って(@『梅ちゃん先生』)。

またお義父さんにスーパー従順な娘婿信郎(松坂桃李さん)も「そうなんですか」と素直に追尾するんだこれが。殿のときは長めで荒めだった前髪が昭和の町工場ジュニアになって短めヴォリュームダウンしているので、シーンによっては賢そうな広いおでこの、顔面積中における占有率が、かなり危険水域に達していることがある。しかもライトを照り返すくらいツヤツヤと。松坂さん今年24歳、いまいまどうってことはないでしょうが、ないと信じたいですが、頭皮の脂対策など怠りなきように。海苔もいいけど、シジミやアサリやレバーもいいらしいですよ。

そのうち梅子(堀北真希さん)が診療費の現物支払いで回収してくるか。レバーで払う患者はさすがにいないか。

ところで、先週の17日と18日以降は出番もうないかもしれませんが、安岡製作所の知性派ルーキー・光男くん(野村周平さん)の同郷友達の達っちゃん役・千代將太さんは、どこかで…と思ったら、2009年暮れの昼帯ドラマXmasの奇蹟』で、窪田正孝さんの親友役でお見かけしてましたね。かつてのたのきんトリオ時代の野村義男さんを思い出す、漫画化しやすそうな丸っこいお鼻が印象的。『Xmas~』では窪田さん扮する体育会系大学生・健のサッカー友達という設定で、体格は体育会、でも頭髪は染め染めの、赤系の茶パツという、硬派なんだか軟派なんだかよくわからない、それでもまぁ今風の大学生でしたが、今度の『梅』の達っちゃんは光男くんと同じ集団就職列車に乗って上京してきたそうですから、中卒の推定16歳。『Xmas~』から3年経っているにもかかわらず、役柄としては若返っていて、どっちも違和感ないという、地味にアッパレな役嵌まりです。今回も、青森出身なのに田舎は嫌いで「二度と帰りたくない」と言い、派手めの女子ふたり連れて光男を遊びに誘う、素朴なんだかシャラくさいんだかよくわからないキャラでした。

ドラマの世界で、主役に伴う“妹役者”“弟役者”“祖母役者”…(以下略)が必要なように、“上司役者”や“部下役者”、“友人役者”ももちろん必要欠くべからざるものです。特別、主人公の強い味方として大活躍したり、逆に凄絶に主人公と敵対したりはせず、ほどほどの距離感と温度感で近辺にいる、このポジションに嵌まりのいい俳優さんが来ると、ドラマ全体が締まって、本物らしくなる。人間、何かっつったらハグしたり握手したりするあつくるしい大親友や、憎んでも憎み足りない親代々のカタキなんてのはそうそう持っているもんじゃなく、ほどほどの親しさ、そこそこの好感の位置に何人か点々といる、ってのが普通でしょう。千代さんは“ほどほど”具合が絶好な“友人役者”なのかもしれない。

そう言えば『Xmas~』で窪田さんの健と千代さんの光との間で、軽い三角関係になりかかる健のガールフレンド・仁美を演じていた水崎綾女さんは、1年後に『ゲゲゲの女房』でヒロイン長女・藍子(青谷優衣さん)の小学校時代からの親友・智美ちゃんを演じました。そしてまたさらに2年後の今年は『特命戦隊ゴーバスターズ』で一転、ヴァグラスの二丁拳銃女闘士・エスケイプに大出世で、“友人役者”から華麗に(?)脱皮。結構セクシーアクションもありで、『炎神戦隊ゴーオンジャー』のケガレシア様ぐらいの人気大物女性敵幹部になってほしいところです。

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