計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

安全資産と危険資産の考え方

2017年10月17日 | 経済・金融気象分野

 現在時点における価値(元金)がS0の試算を年利rで運用する場合、この資産のt年後の価値は、現在の価値に「ert」を乗じることで、S0ertとなります。このような将来時点における価格のことを「フォワード価格」という事があります。

 また、将来時点(t年後)の価値が判っている時に、これを現在の価値に換算する場合は、将来の価値に「e-rt」を乗じることで計算することが出来ます。この乗数を「ディスカウント・ファクター」と言います。


 また、資産価値の関数S(t)を微分すると、次のような微分方程式が得られます。


 ある時点(期間)での元金をSとして、利率rの連続金利を適用した場合、期間Δtの間に利子ΔSが発生したとすると、「(利子)/(元金)=(利率)×(期間)」の関係が成り立ちます。


 さて、定期預金のように、普通の複利法であれば、例えば1年毎のように「定期的に」利子が上乗せされます。これに対して、連続複利を用いると、利子は連続的に上乗せされるため、資産価値の時間変動は連続的なものとなります。

 このように、安定的に資産価値が上昇する金融資産を安全資産と言います。安全資産は記号B(t)で表します。


 左が資産価値の時間変化のグラフで、右が利子の確率分布です。安全資産では利子は常に一定として扱うため、利子rの出現確率が1となります。

 一方、株価などのように、その資産価値が時々刻々と上下に激しく変動する金融資産(金融商品)もあります。




 このような資産を運用した場合、大きな利益を上げることも期待できる半面、元本割れを起こしてしまう危険性もはらんでいます。このような金融資産を危険資産と言います。

 危険資産を数理モデルで表現する際は、平均的な変動(トレンド)は安全資産に準じるものとして、さらに不規則に変動する成分(ノイズ)を考慮します。

 トレンドは安全資産に準ずるものとして、その利率をμと表すことにします。このμは平均的な利率(利益率)に相当し、「リターン」と言います。

 また、このノイズはブラウン運動に従うものとし、これをz(t)とします。また、この振動の振幅をσとします。このσは利率(利益率)の変動の幅の大きさに相当し、「ボラティリティ」または「リスク」と言います。


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