計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

冬将軍を迎え討つ。

2012年11月23日 | 気象情報の現場から
 いよいよ、本格的な冬が迫ってきました。



 こちらは10年前のノートのあるページ。私の気象予報士としての出発点でもあった「米沢地域の雪の降る条件やメカニズム」に取り組み始めた最初のノートです。

 この図は、上空の気象条件と山形県米沢地域での雪の降り方の関係を整理しようとしていたものです。縦軸と横軸にそれぞれ異なる2種類の気象要素(パラメータ)を設け、その組み合わせと地上での降り方をマッピングで表現しようとしたものです。これを纏めれば、独自の局地予報が出来るのではないか・・・と考えたわけです。



 こちらは当時、冬の期間(12月~2月)の積算降水量の分布マニュアル解析したものです。日々の天気図の解析を通じて、上空の状態と地上の降雪の様子の関係を図に表わそうとする中で、県内の降雪量の多寡・分布の傾向にも目を向け始めました。現在は、マニュアル解析と言っても、次の図のようにマウスを動かして描くことができます。



 冬の間(1~2月)の(a)積算降水量(mm)と(b)積算降雪量(cm)を調べてみました。降水量と降雪量の分布特性が浮き彫りになっていますね。

 このような分布は、山形県内の地形の影響が非常に大きいわけですが、その影響や局地気象のメカニズムを理論的に解明できないか・・・そんな事を考えるようになりました。



 今では、このような数値モデル地形を基に、下記のような連立非線形偏微分方程式群を数値解析によって解くことで、局地気象のシミュレーションを行えるまでになりました。

【流体の運動方程式(Navier-Stokes方程式)】
 (∂/∂t)+(・∇)=-∇p+(1/Re)∇2+(1/Fr2)Θδi3
【温位の輸送方程式(熱エネルギー方程式)】
 (∂Θ/∂t)+(・∇)Θ=(1/Pr・Re)∇2Θ
【比湿の移流方程式】
 (∂q/∂t)+(・∇)q=0

 さて、これまでは新潟県内について集中的に取り組んできましたが、この冬は・・・文字通り「満を持して」、山形の冬の解析にも目を向けていきたいと思います。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 街の中の秋色・・・ | トップ | 日本海上の等圧線の傾斜角 »

気象情報の現場から」カテゴリの最新記事