goo blog サービス終了のお知らせ 

計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

アメダス観測値によるメッシュ分布解析 ~フェーン発生日の場合~

2007年03月30日 | 計算・局地気象分野
【※】gooブログのサービス終了に伴い、アメーバブログに移転しています。
https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897843373.html


 この前の日曜日に新潟市観光文化検定3級(ニイガタ検定)を受験してきました。そして今日はその合格者が発表されました。ちなみに私は・・・合格していました。私は山形県の出身で、新潟県に来て・・・ようやく2年が過ぎようとしています。地域の事をもっと良く知りたいと言う思いがあっただけに良い勉強の機会に恵まれました。考えてみれば、先月上旬には日本漢字能力検定2級を受験しましたので、最近は検定試験ラッシュでした・・・。結局、どちらとも合格できたので、めでたしめでたし・・・と言う事で当分の間、検定試験は受けません(多分)

 さて、今日も画像を添付しました。前回、アメダス観測値を基にしてメッシュ気候値の分布を求める研究を紹介しましたが、これをさらに発展させようと日々奮闘しています。今回の画像は、日本海低気圧に伴って日中に顕著なフェーン現象が発生した日のアメダス観測値を基に解析したメッシュ毎の気温と風ベクトルの分布図です。時間の経過を表現するためにアニメーションGIF表示にしています。

 時間は表示されていませんが、午前中は東~南東よりの風が卓越する一方、夕方になると弱い北西よりの風に変化しています。これは午後に寒冷前線が通過した事に伴うものと考えられます。日中の気温の分布に関しても、日本海沿岸部で顕著な高温域が解析されています。アメダス観測点は不規則に点在していますが、そのデータを基にメッシュ推定解析を行う事で、より詳細な現象特性の把握に役立てることが出来るでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

点在する観測データからメッシュ推定値を計算せよ

2007年03月15日 | 計算・局地気象分野
【※】gooブログのサービス終了に伴い、アメーバブログに移転しています。
https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897843370.html


 ついこの前までは回転する円筒型容器内の熱流動のシミュレーションで断末魔の雄叫びを上げていたかと思ったら、今度は空間補間の問題に取り組んでおります。え?随分と飽きっぽいなあ?・・・イエイエ!最近、急速に研究対象の範囲が拡大しているのです。そういえば、今年の初めはニューラル・ネットワーク理論による気象予測ニューロ・モデルの研究に従事してました・・・(爆)。

 今回のテーマは、ある領域内に点在するアメダス観測値を基にして、その領域内におけるメッシュ気候値の分布を求めるというものです。地図に観測値をプロットして等値線を描くという作業は確かに天気図解析の基本ですが、人間の主観によるためアバウトになりがちです。そこで、機械に客観的な解析をやらせようというものです。実際にメッシュ値にした方が数的処理に使いやすいのです。

 対象となる領域を規則正しい間隔のメッシュで分割し、各メッシュ毎の値を計算していくわけですが、この根拠となるデータがアメダス観測値なのです。しかし、このアメダス観測点の配置は規則正しいものではなく、またポツポツ点在しているので、観測設備のないメッシュについては補間処理で推定値を求める事になります。例えば、アメダスは約17km四方に1地点の割合で配置されておりますが、このアメダスの気温観測値を基にして、1km×1kmメッシュ毎の気温推定値のマップを作成する事を考えれば良いでしょう(図はその一例)。

 このアメダスが東西・南北共に規則正しい配置であったならスプライン補間や線形補間を組み合わせて簡単に済ませる事ができる・・・かもしれません。しかし、現実は甘くありません。アメダス情報を見ての通り、結構偏っています。そこでこの補間の数学的手法として、変分法を応用したものや色々な関数を当てはめたり重ね合わせたりする手法や観測点までの距離に関する重み付けを行う方法など、多種多様な技法が開発されています。とは言え、どの文献も手取り足取りご丁寧な解説が書いてあるわけではないので、詳細については結局自分で手法を開発していかなければならないのです。私も独自の手法を考案している所です。

 最近、研究対象の範囲が拡大しているのも、これらのテクノロジーが今後の局地気象解析の際に必要となるからなんです。

 様々な解析環境が揃っていれば、より深く気象データを分析する事ができます。そのための準備を着々と進めているという事です。ニューロ・モデルにしても回転流体の問題にしても、もう終わり!というものではありません。環境を構築して取っ掛かりは掴んだのでこれからじっくり研究しようという状態なのです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

回転する円筒型容器内の熱流動

2007年03月07日 | 計算・局地気象分野
【※】gooブログのサービス終了に伴い、アメーバブログに移転しています。
https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897843366.html


 さて、ちょっとしたノリで始めた円筒座標系における熱流体解析ですが・・・ようやく一区切りつきました。今の私はナントカの抜け殻です(爆)。

 今回解析している問題は、中心が重なる二重円筒を用意し、内側の円筒に冷却剤を入れて、外側の円筒に試験流体を充填させた状態で密閉し、その外側から一様な熱源を与えて加熱するような装置を作り、この実験装置全体を一定の角速度で回転させ続けた場合、試験流体はどのような挙動(熱対流)をするのか?というものです。ちなみに、この実験がどのような意味を持っているのか・・・。気象関係者の方なら、もちろんわかりますよね(敢えて書かないよ)。

 このアニメーションでは中心の青い円が冷却剤で、赤い外周が熱源です。そしてこの間をグルグルと回っているのが試験流体です。この図の色はある高さ(深さ)における温度の分布を示しています。波状になったり偏ってみたり、試験流体が回転しながらもごにょごにょとうごめいている様子が窺えます。この図は水平面上の動きだけですが鉛直方向にも循環を形成しています。

 一見、とても簡単そう!に見えるのですが・・・結構難しいです。パラメータの組み合わせやら、初期条件や境界条件をどう設定するか・・・etc。ちなみに理論計算だけでもA4用紙で40ページ分の計算(座標変換から微積分、離散化までを含む)を要しました(爆)。これをプログラムに落とし込んで、条件設定・・・ここまで来ると、ある種「匠や職人」の領域です。折角なのでこれら一連の資料を報告書にまとめて製本業者に出しました。円筒座標系なんて滅多に使わないので・・・しんどかった~。

 というわけで、日頃はちゃんとやることやってますよ~、というお話でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニューロ・モデルの基礎実験

2007年01月23日 | 計算・局地気象分野
【※】gooブログのサービス終了に伴い、アメーバブログに移転しています。
https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897843346.html


 早いものでニューロ理論を用いた気象予測の実験も始めています。気象庁の量的予報ガイダンスに近いレベルには達しますが、それ以上の劇的な精度向上は難しいようです。なるほどガイダンスの予測限界の理由がなんとなく掴めて来たような気がします。この程度の系統誤差はど~しても生じてしまうんです!どのような手法でもそれぞれに限界を持っています

 但し、気象庁の数値予報プロダクトを基にニューロ予測を行う場合でも、気象庁が量的予報ガイダンスとして提供していない形式での予測情報、つまり独自に必要とするカスタマイズド・ガイダンスの生成という分野でもニューロ・モデルの技術は使えそうですね。当面は自分が予報する際に判断指標として用いることにはなるでしょう。つまり、どのようなカスタム資料を用意するかが重要になってくるでしょうね。

 個人的には「♪こんなこといいな できたらいいな あんなゆめ こんなゆめ いっぱいあるけど・・・」なのでニューロ技術は重宝しそうです。カスタマイズド・ガイダンスの作成及び実用化に向けた予備実験につなげていきたいです。まあ、最も理想的なのは、独自に観測網を整備してその観測地点に関する局地気象予測というものでしょうけど・・・。観測網については、私一人の力ではどうすることもできませんので(爆)。

 そういえば、かつてはバイオメカニクスの専門出身でもあるので、ニューロンの話は懐かしくなります。大脳生理学の勉強でもしてみたいです。・・・学生時代はニューラルネットワークなんて空をつかむようなシロモノだったんですけどね。学生時代は関連の講義がまったく理解できなかったのですが、インターネットで調べて勉強したら独学でも理解できました。ホントに便利な時代になりました。

 さて、私は再び流体計算に戻ります。今度は計算力学的手法による気象予測の案件が山積しています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

脳は自らを理解できるか?

2007年01月15日 | 計算・局地気象分野
【※】gooブログのサービス終了に伴い、アメーバブログに移転しています。
https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897843342.html


 そういえば・・・全然ブログを書いていませんでしたね。

 実は、最近ニューラルネットワークにハマっています。ようやくバックプロパゲーション型学習回路に3ビット信号の反転信号を返すパターンを学習させることに成功しました。何だか情報工学科の学生実験みたいな内容ですね。まあ、この程度の内容ですと、単純にNOT回路(インバータ)3つで実現できる論理じゃないか、そもそも気象と何の関係があるの?別に「学習」させなくても単純に反転させれば済むだけの話ではないか!という突っ込みが聞こえてきそうですね。

 ウッ、耳が痛い・・・確かに気象とは関係ありません。(なんじゃそりゃーぁ)

 でも、これが実現できた事は大きな意味があるのです。要するに、バックプロパゲーション型学習回路の独自のノウハウを持つことが出来たのです。あとは、このコードをいじくり回して数値実験がやり放題になります。そういう意味では、またあたらしい「おもちゃ」を手にした事になります。また一つ、奇想天外な研究が始まろうとしています。

 さて、天気の予報も究極的には人間の感性に委ねられる、とはこれまでも主張してきた事ですが、この人間の感性=経験的学習を数値モデル上で再現しようとするのがニューラルネットワークである、と考えることが出来るでしょう。

 気象庁の量的予報ガイダンスにもニューラルネットワーク理論は応用されていますし、民間気象会社の中にも独自のニューロ・コンテンツを配信している所もあるでしょう。天気予報にニューロ理論を導入するという発想それ自体は珍しくも何ともありません。むしろ、このニューロ理論をどのように活用するのか、何をやるのか、の問題ではなかろうか、と私は思います。私の中には大まかな構想があります。その実現手法について、これから研究することになるでしょう。

 ニューラルネットワーク/ニューロ理論というのはなかなか難しいと思われがちですがやっぱり難しいです。私が使用しているのは階層型ネットワークの基本的な内容ですが(しかし、バックプロパゲーションはいろいろなところで活用されています)、相互結合型ネットワークであったり、フィードバック結合型等、まだまだ未知の理論も多々あります。

 但し、これらの出発点はニューロンであるので、究極的には脳機能をコンピュータ上に再現しようとしているわけです。脳が自らを理解する時がいつの日か到来するのでしょうか。この辺の議論は興味のある方は各自勉強してみて下さい。

 私の言う「計算気象」は、何も計算流体力学には留まりません。数値計算による気象予測はその全てが興味の対象です。要は、独自の局地予報を実現するためのエキスパートシステムになれば良いのです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こっちは数学だけで9時間以上ザラですよ

2006年03月13日 | 計算・局地気象分野
数学だけ5時間…東工大「究極の1科目入試」今秋から (読売新聞) - goo ニュース

 東京工業大学が1科目入試を実施するとは・・・私が受験生の頃には考えられなかったことですねえ。まあ、当時の国公立大学は大学入試センター試験が必須でしたからねえ。今も大抵の所は5教科7科目の受験を義務付けているようですが・・・。今度は数学1本だけで国立大学を受験できるというのが、信じられない。一体どんな問題が出てくるのか興味があります。まあ、競争倍率もすごいことになりそうだなあ・・・。

 確かに受験勉強は大変だろうと思います。しかし、ここでみっちり基礎学力を固めておいたかどうかで、大学に入ってからの伸び方が違います。私は理系だったので理系の場合でお話しますと、受験勉強で必死に学ぶ(鍛える)であろう数学(特に微分積分)があやふやだと、大学生としてやっていけません。別に脅かすつもりはありません。私が見てきた事実です。

 受験勉強というのは単純に受験で勝つためだけのものではありません。大学というハイレベルな場で自分の勉強を積み上げていくための基盤作りという意味合いも十分に含まれているのです。現在の高校のカリキュラムのことは分かりませんが、しっかりと基礎が固まっている人とそうでない人の差は、どんどん広がっていきます。要はやるべきときにやるべきことをしっかりやっておけばその後がスムーズにいく、と言う事です。

 さて、タイトルに書いた「数学だけで9時間以上」というのは私のシミュレーション研究の過程では非線形偏微分方程式の時空間4重積分を始め、テンソル解析や離散化など、数式と格闘することも珍しくありませんでした。もう1日中数学の試験を受けているようなものです(爆)。専門職にとっては日々是勉強です。このままでは即身成仏しちゃうかも?
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする