製作年:2020年
製作国:日本
日本公開:2020年10月30日
監督:土井裕泰
出演:小栗旬,星野源,松重豊,古舘寛治,市川実日子,火野正平,宇崎竜童
映画『罪の声』公式サイト
新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、昭和最大の未解決事件の真相を追う中で、犯行グループがなぜ脅迫テープに男児の声を吹き込んだのか気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)が父の遺品の中から見つけたカセットテープには、小さいころの自分の声が録音されていた。その声は、かつて人々を恐怖のどん底に陥れた未解決事件で使用された脅迫テープと同じものだった。
かつて日本を震撼させた事件をモチーフにした塩田武士の小説を映画化。昭和の未解決事件をめぐる二人の男の運命を映し出す。『ミュージアム』や『銀魂』シリーズなどの小栗旬と、『引っ越し大名!』などの星野源が主人公を演じる。星野が出演したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の演出と脚本を担当した土井裕泰と野木亜紀子が監督と脚本を務めた。
昭和最大の未解決事件であるグリコ・森永事件をモチーフにした作品。父の遺留品から見つけた1本のカセットテープから始まる2人の男の運命を描いた本作。フィクションでありながらも、実際の事件の概要のままに描かれているためにノンフィクションのように感じられて、これが本当に事件の真相なのでは!?と錯覚してしまうほど自然にまとまっていました。グリコ・森永事件をリアルタイムで見ていなかった僕でも引き込まれるほどの恐怖感。2時間以上の上映時間は長いとは感じない見応えのあるドラマでした。
憎しみは憎しみしか生まない。怒りは怒りしか生まない。悲しみの連鎖は時に無実の人間の人生さえも壊してしまう。自分勝手な加害者のせいで、被害者は一生消えない傷を背負わなければならない。いつの時代だってこういう事が繰り返されてしまう現実。自分の声が犯行に使われていたと知ったら…。子供たちに焦点を当てたことで感情移入してしまう部分が多かったです。淡々と進む展開だからこそ、人間の喜怒哀楽。そして感情の怖さというものを凄く感じました。新聞記者の阿久津英士から見る事件の視点と、自分の声が事件に使われたと知る曽根俊也から見た事件の視点。この2つが少しずつ近づいていき、そこから事件の真実が明らかになっていく展開は見事!細かいエピソードがたくさんありながらも最後は全てが線で繋がる。犯人グループ内の裏切りも丁寧に描かれていてゾクゾクさせられました。1つの事件にこれ程の多くの人間が関わっていて、それだけの人生が壊れたのかと思うと、苦しみや憎しみは一生消えるものではないのかと考えてしまう。本当の正義とは何なのか?
ミステリー作品でありながら、昨今の社会やマスコミの姿というのも描いて素晴らしい。絶望の中でも、最後に娘を抱きしめる父親の姿に少しだけ心が救われました。
キツネ目の男はこの映画を観て、何を想うのか…
この作品の評価・・・・★★★★★★★☆☆☆(満点は★10)