軌道エレベーター派

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OEV豆知識(2) 軌道エレベーターの大きさ

2009-05-06 17:24:27 | 軌道エレベーター豆知識
 軌道エレベーター(OEV)の全長はどのくらいだと思いますか? 研究者によってばらつきはあるのですが、5万~10万km程度が一般的のようです。これは地球の直径のおよそ4~8倍にあたります。どれも間違っているわけではありません。

 「軌道エレベーター早わかり」でも説明していますが、OEVの基本的な仕組みは、高度約3万6000kmに位置する「静止衛星」から、上下(あるいは静止軌道の内側と外側)の両方向へケーブルを伸ばして、下向きの方が地上に接するという構造です。
 静止衛星を境に、地上へ下ろしたケーブルが地球の重力に引っ張られる力と、反対側に伸ばしたケーブルが遠心力でさらに外側へ飛び出そうとする力が釣り合うために、このような構造が維持できるということはおわかりいただけると思います。

 ですから、静止軌道よりも外側には、地上へ伸ばした3万6000kmのケーブルと同じ分の重さがなければなりません。ただしこの2方向に働く力は強さが異なります。どちらも静止軌道から遠ざかるほど強くなっていきますが、遠心力の方がこの割合が小さいので、外側に同じ長さのケーブルを伸ばせばよいというものではありません。
 単純に外側にケーブルを伸ばし続けるだけで内側と重さの釣り合いをとろうとするなら、内側と外側の長さの比は1:4くらいになり、地上からの総延長は15万km程度になるとみられています。もちろん15万km伸ばすのもアリですが、多くの研究者は外側にカウンター質量、つまり「おもり」をつけてバランスをとり、全長を短めにおさえる案を採用しています。このため、構想によって全長が異なり、5万~10万kmのプランが多いのです。

 この5万~10万kmという距離を、途方もない数字だとお思いでしょうか? たとえば日本の国道の総延長は約7万kmになりますし、日々高規格化している海底ケーブルの総延長は数十万kmに達します。私たちは、OEVに匹敵する規模の建造物を、すでにたくさん造っているのです。
 
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