結晶融解と それが及ぼす影響

2016-02-25 11:27:47 | 雪の結晶撮影
 直近の草津温泉への雪の結晶撮影行での主目的、 それは雪の結晶を載せる3種類の素材を使用したステージの効果(違い)を見る実験であった。 それは当時概要を報告したように、決定的な違いは出なかった。 いずれも時間経過に伴って雪の結晶はやせ細り姿を変えて行くのだった。

 今日の写真でその様子を紹介すると同時に、 この結晶融解に伴う種々の事を書いてみたい。

1. 結晶融解の様子

 写真を撮影するために、 一枚の雪の結晶を絵筆で掬い取り、 ステージに載せる。 そして撮影に及ぶのだが、 周囲温度がマイナス2℃程度の環境では結晶はみるみる痩せ細っていく。 左右に並べた静止画像は、 フォーカス合わせを済ませた直後の写真と、 60秒経過した時点での画像です。

 その下に置いたGIF画像は動画ですが、 お使いの環境では動画として見えない方もいるでしょうが、 そんな方は普通のパソコンでご覧下さい。

 
 撮影開始時点の画像             1分経過後の画像


10秒間隔で撮影した動画


2. 結晶融解が写真撮影に及ぼす影響

 2-1.結晶のシャッキリ感

 
僕が撮影した写真


ロシアの写真家さんの写真


 ここに掲げた2葉の写真、同じ様な雪の結晶を撮影したものなのに、 なんだかシャッキリ感がまるで違う。 天から落ちてくる雪が出来る環境が違うために、 着地する雪の結晶そのものの形状が異るのは当たり前だし、 また照明の当て方でも随分と異なる絵になるであろう事も想像出来る。 しかし着地直後から、シャッターを押すまでに結晶の融解が始まり、 端部が丸まっこい感じになる事も考えられるし、 さらには動画で判る様に、融解の進展に伴って結晶の中心位置さえずれ動く事から考えると、 シャッタースピードに依ってはフォーカスボケを引き起こす事だって考えなくちゃなりません。 事実僕の撮影条件(F値:>10)では、時に依って露光時間が2~3秒なんて時だってありますからね。

 2-2. 被写界深度

 ロシアの写真家さんが発表されている数々の美しい雪の結晶。 それは毛羽立つ毛織物の上に落ちた雪の結晶が傾いて撮影された場合でも全体が見事なフォーカスに仕上がっている。


 僕の場合カメラのレンズに対して正対するステージ上に平面的に雪の結晶は置くのだが、 全面に渡ってシャープにピントのあった画像になりません。 この写真でも8時から2時の方向の結晶軸では先端までなんとかフォーカスしていますが、 その他の結晶軸の先端部分ではフォーカスしていない部分が生じてしまっています。 もしかして結晶が湾曲しているのでしょうか?

 もちろん被写界深度を高めるためにレンズの絞りを出来るだけ絞込む事はしていますが、それにも限度があるのです。 僕の撮影装置での限度とは過剰に絞り込むと、背景画像として使用しているデジカメモニタの液晶画面のドットが背景画像の中に出てしまう。 そんな事だったりするのです。

 そこで一般的な対処ですが、 フォーカスをずらして撮影した複数画像を組み合わせる「深度合成」機能があります。 僕が今使っているカメラ本体の OM-D EM-5(オリンパス)ではそれが使えませんが、 上位機種 OM-D EM-5 Mark2は 深度合成も出来るし手ブレ補正する目的で組み込まれている撮像素子を正確に移動する手段を使って、基本1600万画素の画像を4000万画素相当にまで高められるんだそうです。 「良いな、欲しいな」とはおもうけれど、 今回の実験で判る様に撮影対象が撮影中に動いてしまったら、 どんな事になるんですかね? 深度合成にしても、画素をUPする機能にしても、 複数回撮影した画像を合成して目的をたっしている。 つまり、「画素Up機能では複数回のシャッターを切る時間で1秒程度かかる」 そんなユーザーコメントを見た事があります。 だとしたら、 時間経過で形状が変化する雪の結晶の場合なんか、 画素数Up効果がどこまで期待出来るか? 不明ですね。

 来シーズンには極寒の地に旅して、 雪の結晶の撮影にトライしてみたいものです。 今年の夏は撮影装置や必要な道具をコンパクト化して、持ち運びしやすく作り直してみようと思います。
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