前回取り上げた「神田湯」から河原を歩いて駅方向(川下)に戻り、「薬師湯」も通り過ぎ、天ヶ瀬橋を潜ってすぐのところで、左の崖沿いに青いテントが、川側に緑色のテントが目に入ってきました。
緑色のテントは旅館「シャレー水光園」が管理している露天風呂「かじかの湯」の脱衣小屋。この露天風呂は「神田湯」のように何の囲いもない開けっぴろげなお風呂ですが、共同露天風呂の5倍となる料金500円が必要ですし、運悪く訪問時は清掃の真っ只中でしたので、今回入浴は見送ることにしました。
ということで今回の入浴先は100円で入れるこちらの共同露天風呂「古湯」であります。ブルーシートで目隠しされている簡素な造りもさることながら、上の画像ではわかりませんが、信用金庫の直下という立地条件も他に類を見ない、かなり稀有なお風呂であります。
~悠久の清流玖珠川に寄り添う、威風堂々たる仙湯の殿堂~
小股でステップを上がって掘っ立て小屋のような入口へ。
~ラグジュアリ感に満ち溢れたエントランスは、湯煙に揺蕩う旅人を秀麗な時間へ誘う栄光のステージとなる~
ブルーシートの目隠しは仮設じゃなく常設なんですから恐れ入ります。擁壁側が更衣スペースになっていて足元にスノコが2枚敷かれいますが、衣類や荷物を収めるカゴ代わりとして、100円ショップで売られているようなプラスチックのBOXが2つ、紐に括りつけられて置かれているだけ。まさに身内(地元民)が日々の生活のために用いる普段着のお風呂なのですね。
~質樸という名のプライド。削ぎ落とされたストラクチャにこそ類い稀なる真実の享楽が宿る~
崖上の建物基礎を支える柱に注意書きが直書きされています。屋根を支える骨組みにぶら下がっている缶の料金入れも、これまた手作り感たっぷりで良い味出してますね。
~1枚のコインが眩い後光を放つ瞬間、あなたは得がたい価値を享受する、それこそ真の贅~
天ヶ瀬の共同浴場らしく対岸から丸見えですね。でも浴槽まわりの目隠しに断絶はないので、湯船に浸かっちゃえば河原を散歩している人から見られるようなことはないでしょう。尤もその場で立てば外部の視線を遮ることはできないのですが…。日頃から私は、生物学的にも精神的にも市場の対象としても女性に劣る男に生まれてきたことに後悔してばかりいるのですが、露天風呂に限って言えば羞恥心を全く気にする必要がないので、この時ばかりは自分が男であることに至上の喜びを覚えます。なお川の手前にある吹きっ晒しの露天風呂は上述の「かじかの湯」です。
~選ばれし地より連綿とした湯の伝統を育んできた渓流を展望すれば、そこに圧倒的な感動と邂逅があなたを待っている~
ここには以前内湯があったのでしょうか、あるいは元々そういうスタイルなのでしょうか、四角い浴槽の縁は小さな方形のタイルが貼られており、長い年月の間に草臥れてしまったのか至るところが割れたり剥がれています。
浴槽の側面から突き出た短いパイプにホースが接続され、その先からお湯が吐き出されています。しっかりとした放流式の湯使いでして、全身を湯船に沈めると硫黄感を有する透明なお湯が勢い良くオーバーフローしていきましたが、湯加減はちょっとぬるめであり、またお湯の投入量も少なめでやや鈍り気味でした(この時だけなのかもしれません)。
天ヶ瀬の他の共同露天風呂が観光施設的な側面も兼ね備えているのに対し、この「古湯」は地元の生活が色濃く映し出されているように感じられますので、共同浴場の風情が好きな方でしたらこの「古湯」を当地における湯めぐりの第一選択にしたら良いかもしれませんね。
~AMAGASEリバーフロント、天の恵んだ神々しい出で湯とともに息づく生活、そして湯浴み人を癒しの極致へ導く静謐な時間がここにある~
台湾の烏来に似たコンクリ基礎直下の質素なブルーシート囲いという衝撃的な外観を目にした瞬間、誇張や誇大を通り越したオフザケ&面白コピーが氾濫する不動産業界の広告コピーでこのお風呂を表現したら面白いだろうなと思いついてしまったので、今回は各キャプションにそれっぽい文章を付け加えてみました。もし不快に思われる方がいらっしゃったらゴメンナサイ。こんな文章を付け足したからといって、「古湯」を批判しようなんて考えは毛頭ございません。むしろその唯一無二の独特な雰囲気はとっても印象的でしたよ(^^) 皆様も是非どうぞ。
温泉分析表見当たらず
(含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉)
久大本線天ヶ瀬駅より徒歩約5~6分
大分県日田市天瀬町桜竹 地図
0973-57-2166(日田市観光協会天瀬支部)
日田市観光協会HP
入浴可能時間不明
100円
備品類なし(ケロリン桶が3つのみ)
私の好み:★★★