温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

肘折温泉 疝気湯(2012年12月下旬・再訪)

2013年01月20日 | 山形県
 
前回取り上げた「河原湯」から上がった後、せっかくなので久しぶりに共同浴場「疝気湯」にも立ち寄ってみることにしました。拙ブログは津々浦々の温泉地を万遍なくピックアップしているつもりですが、どういうわけか肘折はポッカリと抜け落ちており、そんな中で唯一「疝気湯」だけは4年ほど前に記事にしております。その際の記事はこちらをご参照ください。さて数年間の間に何が変化し何が維持されているのやら。



無人施設であるためカードキーで入口のドアを解錠するのは「河原湯」と同様ですが、カード読み取り機の上には「どうぞ上の湯(大浴場)に料金払って…」と案内されています。私のように宿泊先からカードキーを借りている客でしたら問題ありませんが、宿泊せずにふらっと立ち寄っただけの日帰り客はわざわざ「上の湯」まで行かなきゃいけないわけか…。



以前はご近所の小料理屋「みちくさ」を訪い、お店のおじさんに料金を支払って鍵を開けてもらっていたのですが、この日のお店は人のいる気配がなく戸も固く閉ざされていました。わずか数年の間ですが、こんな変化があったんですね。


 
解錠して中に入り、若女将会の暖簾を潜って脱衣室へ。肘折のランドマークである「上の湯」を大浴場、前回の「河原湯」を小浴場とするならば、この「疝気湯」は中浴場といった規模ですね。



棚の上に伏せられていたプレートには、ここがかつて一時的にジモ専だったことを窺わせる文言が記されていました。肘折の共同浴場って外来者でも利用できるものと勝手に思い込んでいたのですが、実際にはそんなお気楽な状況ではないんですね。このプレートは現在は使われておらず、肘折温泉の公式HPにも日帰り入浴施設として「疝気湯」が紹介されているので、以前同様に現在でも外来者の利用は可能なのですが、管理にかかわる問題が温泉街にとって大きな負担になっていることは想像に難くなく、上述の料金支払い先の件はその具体的な一例なのかもしれません。



「お湯は十分に出ます。ぬるくて出した人は必ず細くして下さい。次の人が熱くて入れない時があります」とのこと。つまり源泉投入量は絞り気味にしておいてくださいね、ってことですね。そうそう、この「疝気湯」って以前入った時にとても熱くて肌がピリピリした記憶があります。よし、熱さを覚悟して、いざ浴室へ。


 
浴室の天井は高いものの、屋外は吹雪いて凍てつく寒さだったためか、室内には濛々とした湯気が濃く篭っていました。コンクリ造で長方形の浴槽は4~5人サイズ。浴槽も床も、お湯が掛かるところは悉く赤茶けており、コンクリの地肌はすっかり着色されていました。



脱衣室の戸に向かって斜めに切り込まれた溝が個性的。湯船に人が入って溢れ出ない限り、湯船のお湯は全てこの溝から排湯されていきます。



バルブが接続された湯口からアツアツの源泉がチョロチョロと落とされていました。使用源泉は金気と濁りの強い2号の単独。貯湯槽から何ら手が加えられることなくここまで引かれてくるので、湯口では触れないほど熱く、上述の「ぬるくて出した人は必ず細くして下さい…」云々の注意書きはこうした事情によるわけです。ややモスグリーン掛かった赤錆色混じりの黄土色に笹濁り、2号泉らしく鉄錆系の味や匂いがはっきり自己主張し、更に甘塩味と弱炭酸味が感じられます。
そして肌をピリピリ刺激する熱さはまさに「疝気湯」そのもの。ここのお風呂はやっぱりヒーヒー唸るほど熱くなきゃいけませんね。

前回紹介時と今回では利用方法に変化があったものの、熱いお湯と渋い浴室は以前のままだったので、記憶と変わらぬ「疝気湯」に再び出会えてホッとしました。


組合2号泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 86.4℃ pH7.4 蒸発残留物4012mg/kg
Na+:1233mg, K+:103.6mg, Mg++:37.6mg, Ca++:134.1mg,
Cl-:1343mg, SO4--:287.6mg, HCO3-:1356mg,
H2SiO3:196.7mg, HBO2:47.1mg, CO2:90.5mg,
(平成14年3月6日)
温度調整のため井戸水を加水

山形県最上郡大蔵村南山
肘折温泉ホームページ

入浴可能時間調査忘れ
200円(要カードキー、宿泊先の宿に問い合わせ。なお立ち寄り利用の場合は上の湯で)
備品類なし

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする