温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

割烹温泉 観音湯

2013年01月15日 | 福島県
 
福島県矢吹町に点在する温泉施設のひとつ「割烹温泉 観音湯」で立ち寄り入浴してまいりました。割烹と名がつく温泉は拙ブログでも以前に島根県出雲市の「楯縫温泉 湯元楯縫 割烹温泉ゆらり」を取り上げていますが、当然ながらそちらと今回の施設は無関係であります(たぶん…)。その名の通り割烹料理をいただきつつ温泉で寛ぐというコンセプトの施設のようですが、宿泊も入浴のみの利用も可能ですから、赤貧生活の私は入浴のみで利用させていただくことにしました。



車寄せもあるほど立派なエントランスなのに、意外と受付がかなり控えめで、私が訪問したときは係員の方がその場にいなかったため、チャイムを押してスタッフを呼び出し料金を支払いました。


 
受付前から奥へ進んで浴室へ向かう途中、窓から眺める中庭の紅葉がとっても綺麗でした。廊下には個室がたくさんならんでいますが、おそらくこれらのお部屋で料理をいただくのでしょうね。そんな廊下を右へ左へと曲がりながら案内に従って奥へと歩き、芳香剤の匂いが強い女性トイレの前を通り過ぎて浴室へ。


 
明るくて綺麗な脱衣室は手入れがよく行き届いており、ちょっと高級な旅館みたい。4台並んでいる洗面台には櫛や綿棒などベーシックなアメニティもひと通り揃っています。


 
浴室の左側にはシャワー付混合水栓が6基並び、右手は手前からサウナ、水風呂、主浴槽の順で各設備が配置されています。どの温浴施設でも同じですが、こちらでもサウナは集客力があり、この時の利用客のほとんどはサウナに入って玉のような汗をかいていました。


 
窓に面して石板貼りの主浴槽が設置されています。石のカエルが頬杖つきながら横になっている傍らからお湯が落されているのですが、お湯は温度調整のために加水されているらしく、吐出口のお湯に直接触ると、熱かったり冷たかったりと温度にムラがあったので、おそらく湯口にて加水が行われているものと思われます。この他の加温や循環消毒は行われていないらしく、湯船のお湯は窓下の溝へ次々に溢れて排湯されていました。湯加減はちょうどよいのですが、槽内ではジェットバスやジャグジーが稼働しており、これを気持ち良いと捉えるか騒々しいと判断するかは好みが分かれるところかもしれません。



露天の浴槽は2つあり、手前側は木の縁で大きなサイズ、奥はこぢんまりした石材の浴槽で、手前側は屋根掛けされていて天気を気にせず入浴できる一方、奥の石材のお風呂は日本庭園で囲まれており、入浴中はその景色の中に自分が紛れ込んでいるかのような雅やかな気分に浸れます。
女湯との仕切りの塀には長い腰掛が設置されており、またウッドデッキにはチェアーも置かれているので、それらに座ってクールダウンするサウナ利用客もいらっしゃいました。


 
手前側の大きな浴槽は10人なら余裕で同時入浴できそうなほど広いもので、檜材で縁取られており槽内は石板貼りです。また槽内のステップ部分が大きめに作られています。しっかりと屋根掛けされているので雨の日でも大丈夫。露天周囲の床はスノコ状となっており、おそらく水捌けの良さと木材ならではの温かみのある見た目を兼ね備えたかったのでしょうが、このスノコ床が結構滑りやすいので、通路となる部分には滑り止めとして人工芝が敷かれていました。
加水されている内湯と異なり、露天は完全かけ流しの湯使いなんだそうでして、確かに木組みの湯口から出てくるお湯は熱いのですが、湯船の表面積の広さのためか加水しなくとも程よい加減に冷めてくれるので、薄められていないお湯を適温で楽しむことができました。なお湯船を満たしたお湯は湯口と反対側の縁に刳り貫かれた穴から排湯されており、床にはオーバーフローしない構造になっていました。


  
奥の浴槽には屋根掛けされていませんが、当然ながら開放感はこちらの方が遥かに勝っていますし、周囲には美しい日本庭園が施されており、この日は雨粒を滴らせるしっとりとした紅葉がとっても綺麗で、その場にいるとあたかも自分が風景画の世界に同化しているかのようでした。石板貼りの浴槽は3~4人サイズといったところでしょうね。


 
手前側の大きな露天同様、こちらも完全かけ流しですが、温度調整のためか投入量はやや絞り気味でした。浴槽のサイズが小さいため、加水しないで源泉をそのままどんどん注いじゃうと、熱くて入れなくなっちゃいますもんね。備え付けの温度計は42℃を指していました。

さてさて肝心のお湯についてですが、大雑把に表現すれば矢吹町周辺でよく見られるタイプの重曹泉型のアルカリ性単純泉でして、見た目は薄い黄色の透明であり、口に含むとホップのような爽やかなほろ苦みとアルカリ性単純泉にありがちな収斂感、そして鉱物油的な味と微タマゴ味が感じられ、ミシン油のような鉱物油臭とその裏でひっそりと自己主張する弱いタマゴ臭が鼻から抜けていきます。
ツルツルスベスベ感がとても強く、何度も自分の肌をさすりたくなるほどの爽快感が得られるので、ちょうど良い湯加減とこの爽快な浴感のために、湯船から出ようにも出られなくなるほど、すっかりお湯の魅力にハマってしまいました。アルカリ性・重曹泉型・炭酸イオンというファクターがこの心地よさをもたらしているのかもしれませんね(なお気泡の付着は見られず。薄暗かったので自分の目で確認できなかっただけかも…)。

近くの新菊島温泉に似たような温泉ですが、泡付きやツルスベ感こそ新菊島の方が勝っているものの、温度はこちらの方が高いですし、何より使い勝手が良くて清潔ですので、お湯や設備に対する満足感は遥かにこちらの方が勝っています。700円という料金設定は界隈ではちょっと高めですが、それでも平日の夕方で常時5~6人の客が浴室を利用していましたから、高い料金に見合った価値があると地元の方も評価なさっているのでしょう。もし同じ設備と同じお湯の施設が東京近郊にあったら、1000円以上の料金が設定され、しかも大混雑になるでしょうね。充分満足できる温泉でした。


観音湯温泉
アルカリ性単純温泉 56.9℃ pH9.4 596L/min(動力揚湯) 溶存物質0.5269g/kg 成分総計0.5269g/kg
Na+:143.0mg(99.04mval%),
Cl-:45.1mg(18.49mval%), HCO3-:229.5g(54.73mval%), CO3--:33.8mg(16.45mval%),
H2SiO3:47.8mg,
内湯:源泉の温度が高いために加水
露天:加水加温循環ろ過なし

福島県西白河郡矢吹町南町182-7  地図
0248-42-2418

9:00~22:00
700円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★



コメント
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