温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

肘折温泉 若松屋村井六助 前編(お部屋・「幸の湯」)

2013年01月22日 | 山形県
 
今回の肘折における湯めぐりでは、旅館「若松屋村井六助」、通称「六助」さんで一泊お世話になりました。正式名称が長いためか、お電話でも現地でもお宿の方はこの通称を名乗っており、温泉街でも通称で難なく通じてしまいます。ロクスケといっても永六輔じゃありません。


 
渋めな外観に反して館内は民芸調の装飾で鮮やかに彩られています。ロビーでは朝にセルフでコーヒーがいただけるんですね。



鉢の中では金魚が遊泳中。


 
今回案内されたお部屋は4階の一室です。館内にはエレベータがあるので上下移動はとっても楽ちん。
こちらのお宿はプランによって階層が異なっているんだそうでして、今回泊まった4階のお部屋にはエアコンとトイレが完備されていますが、3階と2階はエアコン無しでトイレは共用とのこと。
窓の外ではお向かいのお宿の屋根上で雪下ろしの真っ最中。



お食事は部屋出しなので、他の方に気兼ねなくのんびりいただけました。と言っても肘折希望大橋が開通する前のアクセス状況が宜しくない吹雪の日に伺ってしまったため、この日の宿泊客は私以外にもう一組しかいらっしゃらなかったようです。今回は3ランクある4階の料金プランのうち最もリーズナブルなプランをチョイスしたのですが、それでも焼魚・刺身・煮物・おひたし、そして口に入れるだけで蕩けてしまうとっても柔らかい牛肉のお鍋など豊富な献立が御膳の上に並び、しかもツヤツヤに輝いた白いご飯が薫り高くて本当に美味しく、大食感な私でも充分にお腹を満たせ、ご機嫌の余りに舌鼓を打ちまくりました。
なお朝食もお部屋出しですが、そちらは撮り忘れちゃいました。


●幸の湯
 
今回こちらのお宿を選んだ大きな理由の一つがこの「幸の湯」の存在でした。肘折温泉で湯めぐりしていると、多くのお宿および入浴施設が組合源泉を単独もしくは混合して引いているため、どうしてもこの組合源泉という大きな壁にぶち当たってしまいます。ブレンドしている源泉の違いこそあれ、巡ってゆくにつれて入浴できるお湯はいくつかのパターンに収斂されてしまい、次第に湯使いの違いや浴室の造りの相違を見出して楽しむといった方向性を進まざるを得なくなります。
そんな肘折にあって自家源泉を有しているお宿は非常に貴重な存在なのですが、この「六助」さんもそのひとつであり、貸切風呂「幸の湯」でその自家源泉100%のお風呂に入ることができるのであります。浴室名は昭和33年6月にこちらを利用した高松宮様が命名したんだそうです。私は中学から大学まで東京目白にキャンパスを構える菊の御紋に縁のある学校に通っていたためか、普段は同窓会のハガキを見ずに捨てちゃうほど愛校心の欠片もないのに、地方で皇族関係のものと遭遇するとどうしても気になってしまう妙な癖があります。


 
扉にぶら下がってる木札が「どうぞお入り下さい」ならば入浴可能で、裏っ返して「入浴中」だったら他の方が利用中。



綺麗で手入れがよく行き届いている脱衣室。洗面台は設置されていますが、ドライヤーの備え付けはありませんので、もし使いたい場合は次回取り上げる大浴場へ。


 
木造の浴室からは重みと風格が醸しだされています。腰板や浴槽など水回りは石板貼りです。窓を開けたら格子越しに温泉街のメインストリートが目に入ってきました。洗い場にはシャワー付き混合水栓が1基取り付けられており、もちろんシャンプー類も完備です。


 
長方形を斜めに切ったような台形の浴槽は2人サイズ。二段に組まれた石の湯口からトポトポと源泉が落とされています。上述のように自家源泉である村井源泉100%のお湯が注がれ、完全掛け流しという喜ばしい湯使いです。夜間に利用したので色に関してははっきりわかりませんが、ほんのり黄土色を帯びているようにも見えるものの、底がはっきりと見える程に無色透明であり、その透明度は肘折屈指かもしれません。多くの施設に引かれている2号泉のような浴槽の縁などへの析出や赤茶色の付着も少なく、明らかに組合源泉とはかなり性格を異にしています。

お湯を口にすると甘塩味と薄出汁味、そして炭酸味が感じられ、金気もありますがかなりマイルドです。他源泉より炭酸味が強く、肌にうっすらと細やかな気泡が付着します。やや熱めだがトロトロした感触がとても心地よく、ツルスベ感もはっきり伝わり、出ようと思っても出られない後を引くなんとも言えない極楽湯でした。

今回の宿泊では夕食前に1回、就寝前に1回、そして起床直後に1回、計3回も入ってしまいました。この「幸の湯」は本当に湯浴み客に幸福感をもたらしてくれますね。素晴らしいです。


村井源泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 43.0℃ pH6.2 溶存物質1853mg/kg
Na+:469.4mg, Ca++:40.9mg,
Cl-:454.6mg, SO4--:112.9mg, HCO3-:538.2mg,
H2SiO3:110.4mg, CO2:632.2mg,


次回へ続く
コメント (6)
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