温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

川口市 スパロイヤル川口

2024年09月27日 | 東京都・埼玉県・千葉県

(2023年5月訪問)
某日、私は温泉施設へ行くため埼玉高速鉄道線の南鳩ヶ谷駅で下車しました。
埼玉高速鉄道はサッカー(特にJリーグ)に興味でもあれば乗る機会もあるのでしょうけど、サッカーにさっぱり無関心な私としてはまず利用機会が無く、南鳩ヶ谷という駅にも今回初めて降りたのでした。


南鳩ヶ谷駅から国道122号線「岩槻街道」を南下します。そういえばこのエリア(川口や浦和方面)の方々って国道122号線を「ワンツーツー」って呼びますよね。私のような城西エリアの人間ですと国道246号を「にぃよんろく」というように数字を日本語読みしますが、英語読みすることを知った時にはその意外性に驚くとともに、ちょっと「ダセぇ」と思っちゃいました。でも実際のこの道を歩きながら「ワンツーツー」と口に出して発音してみると、「いちにぃにぃ」より発音しやすいことに気づき、なるほど合理性があるんだ、と独りで勝手に納得してしまいました。と同時に、脳裏にうっすらと「ワンツーワンツー」と力強く歌う水前寺清子の姿を思い浮かべてしまいました。私も一歩一歩着実に歩みを進めなきゃ…。


さて駅から10分程歩いた辺りの十字路を左折して東へ向かいます。
その通りの名前は「吉祥寺通り」。


吉祥寺といったって、井の頭公園も東急百貨店もさとうのメンチカツも小ざさの最中もありません。沿道にはいかにも埼玉県らしいごく普通の住宅街が広がるだけです。この吉祥寺通りを交差点から3ブロックほど進むと・・・


今回の目的地である「スパロイヤル川口」に到着です。1階が駐車場である点や建物の規模感など、一見するとファミレスと勘違いしそうになりますが、れっきとした温泉入浴施設。週末に訪問したため駐車場は多くの車で埋まっていました。人気のほどが窺えます。なおこの施設は以前「BALI SPA リゾート やまとの湯 川口店」として営業していましたが、一旦閉店した後、2014年12月に経営母体が変わって現在の名称で再オープンしています。


経営者は変わったものの、インドネシアのバリ島をイメージした温泉施設である点は踏襲しており、エントランスまわりも何となくそんな感じがするようなしないような…。


受付は2階にあるので、屋外の階段を上がって2階へ向かいます。
1階の階段入口付近には、ぬるい温泉を張る円筒形のオブジェがあり、そのお湯からはいかにも化石海水系の温泉らしい臭素臭が放たれていました。荒川下流域の温泉は大抵が古東京湾の化石海水を由来としていますので、想定通りの泉質と言えますが、とはいえ、はっきりとお湯の個性が分かるこうした手水みたいなオブジェの存在は、マニアにとっては有難いものです。


入館して靴を下足箱に収め(鍵は退館時まで自分で管理)、受付で精算用のリストバンドを受け取ります。
こちらの施設ではアソビューで事前購入する大小レンタルタオル付の割引チケットを販売していますので、私は埼玉高速鉄道へ直通する地下鉄南北線乗車時にスマホでチケットを購入しておき、受付でスマホ画面を提示しました。こうすることで若干安く利用できます。
それにしてもこの施設の週末日中は混雑しているんですね。館内どこもかしこもお客さんだらけでビックリです。館内にも一応バリ島っぽい装飾が施されているのですが、湯上りでダラっとしているお客さんの雰囲気や物販品の数々がそうした雰囲気を抹殺しており、ごくごく普通の埼玉県のスーパー銭湯と化していました。


上述の通り館内は大混雑しているため、以降の画像はございません。文章のみの説明となりますのであしからず。
脱衣室にはスチールロッカーたくさん用意されており、リストバンドの番号とは無関係に任意の場所が使えます。しかも小銭不要ですので便利ですね。なお脱衣室の窓は露天風呂に面しており、露天風呂の様子が丸見えです。

内湯の洗い場にはたくさんのシャワー付き混合水栓が取り付けられており、シャワーの水圧も良好です。また各ブースにボディーソープなどのアメニティ類が用意されています。浴場内にはサウナや水風呂といった人気設備のほか、真湯の各種マッサージ風呂があり、各浴槽ではオジサンたちが水圧で体をブルブルさせながら気持ち良さそうに瞑目して入っていらっしゃいました。
内湯の窓側に設けられた大きな主浴槽には温泉が張られているのですが、残念ながら循環ろ過した上に炭酸ガスを溶かした炭酸風呂となっており、この浴槽のお湯は後述する源泉の浴槽と大きく異なっていました。具体的な特徴としては、見た目は黄色の透明で、塩味のほか炭酸味が混じり、弱い臭素臭のほかに消毒臭も強く、温泉マニア的にはあまり好ましくない状況となっております。炭酸の泡付きもそんなに良くないので、ちょっと残念です。

次に露天エリアへ出てみましょう。私が訪ねた日は露天エリアにものすごい数の人お客さんがおり、当たり前ですが皆さん全裸。限られた空間に見知らぬ男たちが全裸で密集するシーンって、なかなか遭遇しませんよね。日本ならでは独特で異様な光景に、お風呂へ通いなれている私もちょっとビビってしまいました。
さてこの露天エリアには寝湯、壺湯、そして源泉かけ流し浴槽があり、かけ流し浴槽は湯口がある上流側とそこからのお湯を受ける下流側(露天の主浴槽)に分かれています。寝湯は利用していないので詳細は不明。壺湯には循環された温泉が注がれていますが、上述した内湯ほど変貌しておらず、源泉を薄めたような感じの状態でした。この壺湯に人が入るとしっかりオーバーフローするので、その都度お湯が供給される仕組みになっています。

露天主浴槽はかけ流し浴槽の下流にあたり、四角い形状をした所謂岩風呂で、適温に加温された赤黒い温泉が張られています。かけ流しを謳っていますが、後述する上流側からの流れ込みの他、浴槽内循環のお湯も入っているのではないかと思われます(間違っていたらごめんなさい)。

その露天主浴槽に隣接する上流側の浴槽には湯口があり、岩の湯口からかなりぬるい源泉がチョロチョロと落とされています。当然ぬるいお湯だけでは入浴に適さないため、浴槽底面から加温湯も投入されています。この加温湯も非循環のかけ流しなのでしょう。なお上流側浴槽は、女湯は四角い形状のようですが男湯は丸い岩風呂で、一見すると10人程入れそうな大きさなのですが、しかしながら内部にステップがあるため、肩まで湯船に浸かろうとすると4人程度しか入れません。私の訪問時、この浴槽には既にキャパいっぱいのお客さんが入っていました。私はこの上流側のかけ流し浴槽に入るべく、乗り慣れない埼玉高速鉄道に乗ってわざわざこの地までやってきたのですから、何としてでも湯口のそばで入浴したい・・・先客が出るのを虎視眈々と見つめながら傍で待機していると、数分経ったところで一人出たので、そのスペースに素早く入り込み、肩まで湯に浸かることができました。
お湯は小豆汁みたいな赤黒い色を帯びながら濁っており、湯中では浮遊物も見られます。施設側の説明によればこの温泉を黒湯と称しているようですが、黒湯のようでありながら実際には赤みの方が強く現れています。湯口のお湯からは臭素臭と刺激を伴うアンモニア臭が放たれ、そしておそらく消毒の塩素臭も混じっているかと思われます。ちょっと舐めてみますと強い塩味の他にほのかな苦みも感じられました。この上流側の浴槽は比較的ぬるいのですが、濃いめの塩分が力強い温浴効果を発揮し、体の芯までとても良く温まりました。

この手の塩辛いお湯は、東京近郊では決して珍しくなく、特に埼玉県内には多いのですが、一カ所一ヶ所を巡ってその特徴を比較すると、同じように見えて細かな点で異なるところも多く、そうした個性の違いを楽しみながら湯あみするのも一興です。こちらもわざわざ足を運んで良かったと実感できる温泉でした。


ナトリウム-塩化物温泉 28.8℃ pH記載なし 溶存物質8.741g/kg 成分総計8.799g/kg
Na+:2960mg(92.50mval%), NH4+:14.1mg, Mg++:32.1mg, Ca++:91.4mg, Fe++:3.1mg,
Cl-:4337mg(87.09mval%), Br-:19.3mg, I-:4.5mg, HCO3-:1079mg(12.59mval%),
H2SiO3:95.0mg, CO2:38.4mg,
(平成26年12月5日)
加水無し
加温・消毒あり
源泉かけ流し浴槽以外循環あり

埼玉県川口市朝日3-13-27
048-227-2611
ホームぺージ

平日9:00~25:00、土日祝6:00~25:00(いずれも最終受付24:00)
平日870円・土日祝970円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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南道後温泉 ていれぎの湯

2024年09月20日 | 四国(香川・徳島・愛媛・高知)

(2023年5月訪問)
今回も愛媛県松山市の温泉を取り上げます。市街中心部から国道11号や県道40号を走り、松山市南部を東西に流れる信茂川を渡って県道23号へ左折すると、程なく上画像の大きな看板が見えてきます。この施設「南道後温泉 ていれぎの湯」では完全かけ流しのお湯に入れるそうなので、実際に行ってみることにしました。


朝6時から営業しているとのことで、6:30頃に行ってみたところ、広い駐車場には既に多くの車が停まっており、人気の程が窺えます。いわゆるスーパー銭湯であり、敷地も施設も広くて大きく、全体的にゆとりのある造りです。


広い敷地内ではBBQ場やテントサウナなど、いかにも当世風なサービスが提供されています。


さて入館しましょう。新しそうな施設なのに、下足箱は昔ながらの松竹錠で施錠するタイプ。これってレトロ感を演出しているのか、はたまた単なるチグハグなのか。


館内も綺麗でスタイリッシュ。券売機で入浴券を購入し、券を目の前の受付へ差し出します。


受付の先に広がるホールはとても広く、座り心地の良さそうなソファーがたくさん置かれ、セルフのエステマシーンもあり、無料で20分使えるマッサージチェアーが10台以上も用意されていて、癒しを求めたい私のような人間にとってはまさに夢のような空間。しかも漫画などの読書コーナーも充実し、子供の遊び場もあったりして、日がな一日過ごせちゃいそうです(ただ仮眠できるようなソファーは見当たりませんでした)。

浴場内については文章のみでご説明します。
更衣室のロッカーは任意の場所を使こことができます。室内はそこそこ広く、ドライヤーも多く用意されていますので、使い勝手良好です。
浴場に入ってびっくり。いろんな種類の浴槽があるんですね。男湯の場合、まず入って左手に洗い場が配置され、たくさんのシャワーが設けられています。そして各種浴槽は出入口の正面や右手にあり、例えば最も大きなメイン浴槽の「長寿の湯」、打たせ湯、気泡湯、ジェットバスなどを利用できます。これら内湯の浴槽には無色透明のお湯が張られており、後述する金泉のお湯とは全く異なるごく普通のお湯で、源泉を濾過処理したものなのか、はたまた井戸水の沸かし湯なのか、そのあたりは不明です。この他にオジサン達が大好きなサウナもあり、私の訪問時も朝から全身汗ダルマ状態になっているお父さん達が次々にサウナから出てきて、水風呂へドボンと入っていました。水風呂には「石鎚山系の名水」と書かれているので、おそらく地下水なのでしょう。また内湯の隅にはドーム状の浴槽があり、こちらは潜れる水風呂でした。

露天エリアにも複数の浴槽があり、歩行湯と樽風呂には普通のお湯が張られているのですが、「銀泉」と書かれた岩風呂には徐鉄された温泉が、「金泉」の岩風呂には源泉そのままの温泉が完全かけ流しで注がれています。言い換えれば、ひとつの源泉をそのままの状態で浴用にしているのが「金泉」、徐鉄処理しているのが「銀泉」です。この「金泉」と「銀泉」双方の分析表が館内に掲出されており、同じ源泉でも徐鉄処理の有無で成分構成が大きく異なることに驚かされます。個人的な感想を申し上げますと、正直なところ「銀泉」は普通のお湯みたいで面白みの欠けるのですが、「金泉」は四国では珍しい金気混じりの食塩泉ですから一浴する価値が大いにあります。具体的な特徴として、見た目は少々緑色掛かった赤っぽい濁り湯で、その透明度は30cmほど。湯口は焼け爛れたような色に染まっており、しかもカルシウムと思しき細かな鱗状の析出も現れています。分析表によれば「金泉」の成分総計は9g以上有するため、相当しょっぱいのかと予想しながら湯口のお湯を舐めてみたのですが、意外にもそこまで塩辛くなく、また赤く濁っているので相当量の金気が含まれているのかと思いきや、やはりこちらもそこまで強いわけではなく、むしろ金気はちょっとあるかな、と微かに感じる程度で、味覚的にはマイルドな塩味と石灰感(カルシウム感)がメインでした。湯中ではカルシウム由来のキシキシ感よりも、食塩泉らしいツルスベ感が勝っているように感じられました。

この「金泉」の岩風呂は自噴した約40℃の源泉を非加温でかけ流しているため、湯船の湯加減は微睡みをもたらす38℃前後となっており、しかも容量的に5~6人しか入れないため、微睡んだり寝ちゃったりするお客さんが長い時間湯船を占有してしまい、回転が悪いのが残念なところ。実際に私も入れるスペースが空くまでかなり待ちました。とはいえ、四国でしょっぱい濁り湯のかけ流しは大変珍しいため、近くへ寄ったら入るべき貴重な存在と言えましょう。


【金泉】
南道後温泉第1源泉
ナトリウム-塩化物温泉 40.5℃ pH7.3 溶存物質9.383g/kg 成分総計9.418g/kg
Na+:3287mg(91.37mval%), Mg++:44.8mg, Ca++:134.9mg, Fe++:2.7mg,
Cl-:5269mg(95.26mval%), Br-:12.4mg, I-:0.6mg, HCO3-:438.4mg,
H2SiO3:31.8mg, HBO2:82.9mg, CO2:35.2mg,
(平成26年3月28日)
加温加水循環消毒なし

【金泉以外】(徐鉄ろ過処理水)
南道後温泉第1源泉
ナトリウム-塩化物温泉 37.2℃ pH7.6 溶存物質6.052g/kg 成分総計6.065g/kg
Na+:2083mg(91.24mval%), Mg++:28.8mg, Ca++:88.9mg,
Cl-:3396mg(94.65mval%), Br-:7.7mg, I-:0.2mg, HCO3-:308.2mg,
H2SiO3:27.2mg, HBO2:49.0mg, CO2:12.7mg,
(平成26年3月28日)
加水無し
加温・循環濾過・消毒あり

愛媛県松山市中野町甲853
089-963-3535
ホームページ

6:00~24:00(最終受付23:00) 年中無休
平日660円、土日祝770円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5


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松山ニューグランドホテル 「天然温泉ゆるりん」

2024年09月13日 | 四国(香川・徳島・愛媛・高知)

(2023年5月訪問)
前回記事の徳島県から、今回は愛媛県松山市へと移動してまいりました。松山の温泉と言えば道後温泉ですが、松山市街地の中心であり且つ随一の歓楽街でもある大街道エリアにも温泉浴場があるんです。しかもその温泉はビジネスホテルに併設されており、宿泊でも日帰りでも入浴が可能です。今回は一晩こちらの「松山ニューグランドホテル」でお世話になりつつ、併設する温泉浴場「天然温泉 ゆるりん」で大街道に湧く温泉を楽しんでみることにします。


客室はごくごく一般的なビジネスホテルそのものですが、快適に一晩を過ごせましたよ。


さすが松山の中心部だけあって大街道エリアにはたくさんのホテルが営業していますが、そんな中でもこの「松山ニューグランドホテル」にしかないものがこれ。ホテル駐車場の隅には「これ温泉やけん 触っとおみ~」と書かれた手水らしきものがあり、大きなアヒルさんが浮かぶ甕に注がれているのは、正真正銘の温泉なのです。温泉らしい芳ばしい香りを放つこのお湯はちょっとぬるめですが、明らかに水道でも井戸水でもない、まぎれもない温泉です。後述する浴場内には非加温かけ流しの源泉浴槽があるのですが、そちらでは塩素が行われているため、源泉のありのままの姿を感じるにはこの手水のようなモニュメントで落とされる温泉を触るのが一番。温泉マニアでしたらまずはこれを見つけるべし。


温泉浴場はホテルと棟続きになっている別館にあります。館内1階でつながっていますので、宿泊客でしたらわざわざ外に出る必要なありません。宿泊中は朝10時まで夜通し利用可能です。
建物の脇には「グランド温泉 泉源地」と書かれた柱が立っていますね。どうやら源泉はここにあるようです。施設の説明によれば、pH8.9のアルカリ性単純泉を地下670mから揚湯しており、100%かけ流しで提供しているんだとか。早くお風呂に行きたい。楽しみだ。


日帰り入浴利用の場合は、ホテルの角を曲がって路地に入った先にある、この専用玄関から入館します。日帰り入浴料金にはレンタルタオルなども含まれていますので、手ぶらで利用可能です。


こちらが男女別浴場の入口。自動ドアの枠にカードリーダーがあり、宿泊客は自分の客室のカードキーを読み取り部分にタッチすれば開錠されてドアが開きます。男女でカードキーの色が異なるため、誤った浴場に入ることは無いでしょう。
建物自体は建築から相当の年月が経過しているものと思われますが、この浴場部分は最近改修したらしく、更衣室はとても綺麗で現代的。ロッカーやドライヤーなどひと通りの備品が完備されているほか、飲料水のサービスも用意されています。


(浴場内の画像は公式サイトから借用)
お風呂は内湯のみですが、こちらも綺麗に改修されており、とても快適に利用できました。
出入口付近には今や温浴施設に欠かせなくなったサウナと水風呂があり(いずれも男湯のみ)、浴場のほぼ中央が洗い場が設けられています。洗い場のシャワーは計10個で、新しい水栓ゆえ水圧良好です。温浴槽は2つあり、入って右手に源泉浴槽、奥の方に加温循環の温泉が張られた大浴槽がそれぞれ設けられています。


私は初めての利用ですのでひとまずサウナを含む全ての浴槽に入ってみましたが、やっぱり抜群に素晴らしかったのがこの源泉浴槽でした。こちらでは36℃の源泉を非加温非加水で掛け流しています。アルカリ性単純泉とはいえ印象に残るような滑らかさこそ無いものの、優しく柔らかいお湯で、しかも不感温度帯の湯加減ですから、このお湯に浸かったら微睡んでしまうこと必至。いつまでも長湯できちゃいます(とはいえ混雑時は他のお客さんと譲り合いましょうね)。塩素消毒は仕方ありませんが、でも松山の街中でかけ流しのお風呂に入れるのですから有難いですね。微睡みの湯に浸かって旅の疲れを癒し、湯上がりに客室へ直行すれば熟睡間違いなし。道後の湯も良いけど大街道の湯もなかなか良いですね。


グランド温泉 
アルカリ性単純温泉 36.4℃ pH8.9 溶存物質0.4009g/kg 成分総計0.4011g/kg
Na+:116.0mg(95.10mval%),
F-:18.3mg, Cl-:81.3mg(44.21mval%), OH-:0.1mg, S2O3--:1.2mg, HCO3-:102.5mg(32.43mval%), CO3--:5.5mg,
H2SiO3]57.4mg, HBO2:12.0mg,
(平成27年3月2日)
加水無し
大浴槽のみ加温・循環あり
大浴槽・源泉槽とも塩素系薬剤による消毒あり(松山市の公衆浴場の衛生に関する基準を満たすため)

愛媛県松山市二番町3-4-10
089-933-3661
ホームページ

日帰り入浴15:00~24:00 (受付終了23:00)
1,000円/2時間(貸タオル含む)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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三好市 松尾川温泉

2024年09月06日 | 四国(香川・徳島・愛媛・高知)

(2023年5月訪問)
前回記事に引き続き四国の温泉を巡ります。今回は徳島県へやってきました。徳島県の名湯と言えば祖谷温泉ですが、私が訪ねた5月連休の某日は非常に多くのお客さんで大混雑しており、とてもゆったりできそうになかったため、目的地を変更して、祖谷峡から北へ伸びる県道32号を進んだ先にある「松尾川温泉」を目指すことにしました。途中で県道32号線から140号に逸れ、綺麗な渓谷に沿っていかにも四国の山間部らしい狭隘な道を東進し・・・


対向車が来るか来ないかドキドキしながらクネクネと曲がる山道を走行してゆくと、やがて公営の無料駐車場が目の前に広がります。「松尾川温泉」に到着です。後述する「しらさぎ荘」の奥に建つこげ茶色で平屋の建物が今回利用する温浴施設です。こちらも訪問時はとても混んでおり、入場規制がかけられていて、受付のおじちゃん曰く「外で待っていてほしい」とのことで、順番待ちの札が渡されました。しばらく待つうちにお客さんが多少出てきてキャパシティに余裕が出てきたらしく、順番待ち札と引き換えにようやく入湯券を購入することができました。ちなみに待っている間は券売機が隠されて購入できなくなります。順番待ちの札や券売機の隠蔽などの対応ができているということは、普段も混雑する機会が多いのかもしれませんね。
なお連休中の夕方に訪問したため、館内の画像はございません。ご了承ください。


なお、公営無料駐車場の前に公営と思しき「しらさぎ荘」という古いコンクリの建物があります。自炊湯治の宿と書かれており、「松尾川温泉」の公式サイトで紹介されている宿泊料金はこの「しらさぎ荘」のものかと思われます。周囲には店舗が無いため自炊するための食材などは事前に市街地などで調達する必要がありますが、自炊の手間さえ気にならなければ、こちらに泊まってのんびり「松尾川温泉」に浸かるという楽しみ方もできるわけですね。宿泊すれば朝7時から夜7時まで何度も入浴可能なんだとか。


さて、入浴券を購入して券を受付のおじちゃんに手渡します。男女両浴室は受付を挟んで左右に分かれており、男湯は受付の左側です。
脱衣室はシンプルな構造ですが、定員20名を収容できるだけの広さを有しており、ロッカーの個数も問題なし。ドライヤーは2つあり、扇風機もあって使い勝手はまずまずです。

お風呂は内湯のみで露天風呂などはありませんが、室内は木造建築で綺麗に維持されており、特に洗い場周りは黒いタイルでシックにまとめられていて、落ち着いた雰囲気の中で湯浴みを楽しめます。なお洗い場に取り付けられているシャワーは6つあり、ボディーソープやシャンプー類が備え付けられています。シャワーの吐出圧力も良好なので快適に利用できました。

浴槽は窓に面して横長に作られており、寸法としては縦1.8m×横5mくらいでしょうか、7~8人は入れそうなサイズ感があって、その窓からは清流が眺められます。浴槽の右端には小さな木の滑り台みたいな湯口が設けられていて、そこから加温された温泉が注がれています。本来こちらのお湯は無色透明なはずですが、混雑のためか湯鈍りが発生していたらしく、若干黄緑色っぽく(あるいは若干エメラルドグリーンっぽく)濁っていたように見えました。後述するように硫黄を多く含むお湯ですので、コンディションによって色合いがかわるのかもしれません。

湯口から出るお湯は無色透明で、ローションを彷彿とさせるヌルヌルスベスベとした大変滑らかな浴感がはっきりと得られます。もしかしたら四国の温泉や鉱泉の中では1位か2位を争うほどの強いヌルスベ感ではないでしょうか。アルカリ性に強く傾いている上、炭酸イオンが66.5mgも含まれていることが、このような強いヌルスベをもたらすのかもしれません。しかも湯口のお湯を手に取ってみると、明瞭なタマゴ感(タマゴ味とタマゴ臭)が感じられます。加温の過程でタマゴ感が飛んでしまうのか、浴槽のお湯からはさほど感じられませんでしたが、それでも他の鉱泉に比べればハッキリとしたタマゴ感を放っています。とりわけ湯口のお湯はチオ硫酸イオンを多く含む温泉によくある茹で卵の卵黄のような味を帯びていました。更にはアルカリ性単純泉らしい微収斂も感じられます。
ローション的なヌルヌル浴感、そしてタマゴのような味や匂いなど、知覚的特徴がはっきり出ている良泉であり、且つ加水・循環・消毒を行っていない加温かけ流しという湯使いも素晴らしく、わざわざこのような山奥を目指してお客さんが来て混雑するのも十分に納得できます。ここは一浴の価値がありますね。おすすめ。


アルカリ性単純硫黄温泉 25.0℃ pH10.2 蒸発残留物0.2445g/kg 溶存物質0.3037g/kg
Na+:83.8mg,
OH-:15.8mg, HS-:12.2mg, CO3--:66.5mg,
(平成29年12月26日)
加水・循環・消毒なし
加温あり(入浴に適した温度に保つため)

徳島県三好市池田町松尾黒川2-1
0883-75-2322
ホームページ

10:00~19:00 水曜・年末年始定休
550円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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