温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

肘折温泉 河原湯

2013年01月19日 | 山形県
 
私は肘折へ何度か訪れていますが、なぜか共同浴場の「河原湯」だけは未訪問でしたので、今回利用してみることにしました。路地沿いの民家の裏手にひっそりと佇む小さな湯屋はいかにも地元の方向けのお風呂らしい隠れキャラ的な風情であり、共同浴場はこうでなくっちゃと雪まみれの私は独り合点しながらひとまずデジカメにその姿を収めます。この時は路地から浴場へ向かうアプローチには足跡が全く見られなかったので、しばらく誰も入っていないコンディションの良いお湯を独り占めできるぞとほくそ笑みながら、まっさらな雪を踏みしめて入口へ向かいました。


 
宿泊先の旅館でお借りしたカードキーで解錠し、その隣にあるポストへ入浴券(これも宿泊先で入手)を投入して中へ。


 
若草色の暖簾の裏には若女将会の名前が赤く縫い込まれていました。


 
こぢんまりした脱衣室の棚には衣類や荷物を収める枠が8つしかありません。棚の上には大正12年と彫られた石の湯神が祀られており、その左右には御幣がさがった榊が供えられていました。温泉は神様が与えてくれた天の恵みですから、脱衣前にこの神様に手を合わせてから有難く入らせていただくことに。


 
浴室には湯船がひとつあるばかりで、余計なものが一切排除された至ってシンプルなレイアウトです。水道の蛇口以外にカランは無いので、桶で湯船のお湯を汲んで掛け湯します。床はタイル貼りで壁はモルタル塗り、ビビッドな水色の水道配管がとても目立ちます。


 
四角い浴槽は3人は入れそうな大きさで、左隅のパイプからトポトポとお湯が投入されています。こちらに引かれているお湯は3号と4号の2源泉混合で、前々回取り上げた「西本屋旅館」の「金魚湯」や前回の「三浦屋旅館」で使われている単独の2号泉と違い、ほんのりと赤茶系の黄土色を帯びて弱く濁っているものの、浴槽の底の石板タイルがはっきり見えるほどの透明度があるのですが、湯口の直下の底部は赤茶色に濃く染まっていたり、浴槽の縁は桜貝のような淡いピンク色の析出に覆われていたりと、湯船の透明度だけでは判断できない成分の濃さを有しているようです。お湯を口に含むと甘塩味+薄い出汁味+炭酸味+鉄系の金気味が舌に伝わってきますが、2号泉と較べて金気は弱いものの炭酸味は(相対的に)はっきりしているように感じられました。体を湯船に沈めるとツルスベ浴感とトロミのある感触が混在して肌に載ってきます。なお浴室の段階では全く加水していませんが、湯加減は丁度良く、そのまんまの状態で絶妙な状態のお湯に入ることができました。

余談ですが、肘折の宿泊客はカードキーさえあれば3つの外湯を自由に利用できますが、地元の方は利用する共同浴場が暗黙のうちに決まっているそうでして、宿泊先のお宿の方から伺った話によれば、近所の浴場以外は入ったことがないからどんなお風呂か知らないんですよ、とおっしゃっていました。佇まいもさることながら、こうした具体的な使われ方こそいかにも地元民向け施設だなと実感させられました。


組合3号源泉・組合4号源泉混合
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 69.0℃ pH6.5 蒸発残留物2965mg/kg 溶存物質3429mg/kg
Na+:898.8mg, K+:72.7mg, Mg++:26.8mg, Ca++:78.4mg,
Cl-:1055mg, SO4--:214.2mg, HCO3-:849.9mg,
H2SiO3:159.1mg, HBO2:66.7mg, CO2:309.2mg,
(平成19年10月10日)
源泉温度が高いので井戸水で加水

山形県最上郡大蔵村南山
肘折温泉ホームページ

入浴可能時間調査忘れ(8:00~18:00だったかな?)
200円(要カードキー、宿泊先の宿に問い合わせ。なお立ち寄り利用の場合は近所の方からキーを借りるそうです)
備品類なし

私の好み:★★★
コメント
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