おねえちゃんの独り言

「おねえちゃんの独り言」のブログ版
(・・・って、そのまんまだけど)

大水害・・・なんだけど・・・

2017-01-26 11:23:03 | Weblog
 今冬の南カリフォルニアは雨が多く、昨年11月あたりからまとまった雨が定期的に降っていた。ここ数年、カリフォルニアは深刻な水不足であったから、最初は「恵みの雨」と喜んでいた。
 しか~し! 近年の気候変動により、世界中のいたるところで気候が「極端化」してしまって、まったく降らないのも困るのだが、降ったら降ったでこれまた極端なのである・・・

 過去にも何度もネタにしたが、南カリフォルニアの建物、特に古い物は、住宅、商業建築問わず、雨が降らないことを前提に建てられている。日本の家のように土台を作らずいきなり地面に建てるもので、ちょっとしたことですぐに浸水だ。おまけに、そもそもが安普請の木造のくせに、築50年100年当たり前だから、雨漏りも程度の差こそあれ、全くしない家のほうが珍しい。道路の水はけもあまり考えられていないからすぐ冠水するし、集中豪雨の後ではあちこちの道路に穴が開く。
 それでもこれまでは、大した水害(?)にも遭わずにやってきたのだが、ついについに自分にも水害の運が巡ってきてしまった・・・

 最初の浸水は12月下旬。夜中に激しく雨が降った後、居間のカーペットの一部が濡れていることに朝になって気づいた。この時の降りは深夜に何度も停電するほど(停電すると、なぜか我が家のデスクトップの中の1台がビーと音を出すので、何度も停電したことが分かる)だったのだが、なにぶん深夜のことゆえ、どこから浸水したのかは不明だった。その後、雨は2日と空けずに降ったものの、浸水するほどの集中豪雨はなく、カーペットもいったんは乾いた。
 しかし年が明けてから雨が降る頻度が高まり、さらに降り方も激しさを増してきた。1月上旬の集中豪雨時に居間のカーペットだけでなく、台所の床にも水があふれていることを発見。大家さんは勝手に雨漏りだと決めつけ、屋根修理屋に屋根裏から雨漏りしそうな箇所を一通りシールさせた。

 さてさて、嵐の勢いは1月下旬に激しさを増し、19日から23日までに南カリフォルニア各地で大水害を引き起こした。うちは20日金曜日の午前中の集中豪雨で台所が池になり、嵐の中、無理矢理大家さんに来てもらって調べさせたところ、ナント! 家の東側の側面から浸水していることが発覚。我が家は丘の上に建っているので地域が浸水することはないのだが、コンクリート舗装された家の側面に一部、舗装されていない部分があり、集中豪雨になるとそこに水が溜まる。前述のように土台がなくいきなり家が地面に建っているものだから、ちょっと水が溜まっただけで床の高さを簡単に越えてしまう。最初は少しずつの浸水だったもの、度重なるうちに浸水部分が浸食されてどんどん浸水しやすくなり、しまいにゃ普通に流れ込みまくり・・・と相成った次第。
 原因が分かったところで、天候が回復するまで何もできない。居間のカーペットが今度は半分ぐらい浸水した状態で迎えた日曜日の嵐が、金曜日の嵐に輪をかけてひどかった。

 我が家は東側(浸水元)からダイニングキッチン、居間、主寝室と並んでいる。間にもちろん壁はあるのだが、水は壁なんか関係なく侵入していく。なにがあっても、寝室にだけは浸水してほしくない。おまけに寝室の東側には衣類がたくさん入ったクローゼットもある。絶対に、寝室への浸水は阻止したい。
 嵐が強まった日曜日の午後には豪雨の中、ダンナと交代で15分ごとに家の横に回って溜まった水を掻き出す。掻き出しても掻き出してもあっという間に水が溜まるような激しい降りに、どうしてこんなに降り続くのかと空をにらみ、これまでの人生で天候に対してここまで恨めしいと思ったことはなかった。
 家の中でも、放っておくとあっという間に池と化す台所でひたすら水をバケツにすくい上げる(カーペットの部分から水をすくいあげることは困難だが、台所は床なので)。とにかく寝室への浸水を食い止めようと、必死である。
 しかし、いくら何でも一晩中そんなことを続けられない。不幸中の幸い、雨脚は午後8時頃になって弱まってくれた。
 寝室では、クローゼットの下のほうに入れてあった物を移動し、マットレス(我が家ではマットレス直置きで寝ている)をできるだけ北西に移動し、さらにマットレスの下に大きなビニールシートを敷いて寝ることに。
 それでも、朝起きたらマットレスが水に浮かぶ孤島になっているのではないかと恐怖だったのだが、本当に幸いなことに、夜中はそれほど激しく降らなかったようで、浸水は寝室の東側から1メートルほどのところで止まってくれていた。ホントに助かった!!!

 改めて眺めてみれば、ダイニングキッチンの台所部分は床なのですぐに水がひくものの、カーペット敷のダイニング部分のかなりが浸水。居間はほぼ全滅の池状態。カーペットを軽く押すだけで水がずぼずぼとあふれてくる。浸水しなかった部屋は、避難させた家具や荷物で足の踏み場もないという惨状。
 ようやく雨が上がった月曜日午後には、業務用のカーペットクリーナーをレンタルしてきて何時間もひたすら水分を吸い続ける。これがまた、要は巨大で重い掃除機で、それをできるだけ水をよく吸うように力をかけてゆっくりゆっくり移動していくもので、時間はかかるし力もいる。おまけに浸水量がすごいから、タンクを何度空にしてもあっという間にまたタンクが汚水で満タンになる。一人でずっとできることではないのでダンナと交代で行ったが、しまいにゃ腕も背中もパンパンである。
 それでも自然乾燥を待っていたら何ヶ月もかかり、乾く前に腐ってカビが生えるところ、一生懸命何時間も吸い上げ続けたお陰で、10日もあれば乾くだろう・・・というレベルにまで復旧。夏だったらもっと早く乾くのだが、今冬は気温も平年より低いもので乾きが悪い。
 本当に有り難いことに、24日以降はしばらく降らないとの予報で、その隙に大家さんが手配した業者が家の側面の工事をしてくれる予定。お願いだから、それで浸水が止まってくれますように・・・

 そんなこんなで、我が家の生活可能面積は極端に狭まり、物もあっちこっちに緊急避難させた状態で何がどこにあるのか分からず、不便きわまりない。高出力のカーペットクリーナーを何時間も使ったり、カーペットを早く乾かすためにこの家に引っ越してきて以来初めてエアコン暖房(アメリカでエアコンと言えば、どんなに家が広かろうと全館冷暖房と決まっている。テレビも聞こえないほどうるさい上に、不経済この上ないので、これまで使ったことがなかった。しかしカーペット浸水で暖炉にも近づけないので仕方ない)を入れたりしているもので、次の電気代の請求が恐ろしい。嵐の中ぬれながら水をくみ出し続けたり、家のあちこちが濡れているので寒いのに靴下をはけなかったことなどから、風邪気味ですらある。
 しっかし、所詮は借家、修理は大家さんがしてくれる。最後の砦(?)、寝室のマットレスはなんとか守られた。ということで、どこか人ごとというか、こんな災難もある種のイベントとして冷静に眺めている自分がいる。
 実のところ、日本の両親の問題を思えば、こんな程度の災害、へでもないのである。逆に、目の前の災害に集中している間、日本の頭の痛い問題を考えずに済んで、有り難いぐらいである。また何か気が重くなる内容のメールが母から届いているのではないかと、メールをチェックするのが恐ろしい今日この頃なのである。

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