おねえちゃんの独り言

「おねえちゃんの独り言」のブログ版
(・・・って、そのまんまだけど)

出産後・その1

2007-12-21 16:37:55 | Weblog
 娘が生まれて約1ヵ月、しみじみと感じるのは、首が据わらない乳飲み子がいると自分のことがほとんどできないということ。うちは夫も基本的に家にいて、食事は9割方作ってくれるし、子どもの世話も積極的にやってくれる。かなり助かっているのだが、いかんせん夫にはおっぱいがない(当たり前)。娘は本当におっぱいが大好きで(おっぱいが嫌いな赤ちゃんっているのか?!)起きている間はほとんどおっぱいに吸い付いている。腕の中で寝てしまった後も、置くと起きて泣きそうで、そのまま抱きっぱなしということもある。娘を抱くポジションによっては両手がふさがるし、どんなに頑張っても片手しか自由にならない。片手でパソコンを操作するのは、なんと不便なことか。片手で文章をタイプするのは、ストレス以外の何物でもない。せめて両手を使った時の半分の時間で片手タイプができればいいのだが、実際には10倍ぐらい(10倍以上?)の時間がかかるし、本当にイライラする。ここの更新はもちろん、メールの返事も滞りがちだ。
(ここの更新は日頃から頻繁ではないが、ネタがなかったり書く気が起きなくて更新しない普段と違い、今は書きたいことがあるのに書く時間がない状態)
 子どもが生まれるのと前後して、多くの友人知人から「赤ちゃんが寝ているすきに用事を片づけようとせず、赤ちゃんと一緒に昼寝してね」とアドバイスされた。Birth Centerからもらったパンフレットにも、そう書いてある。確かにそうしなければ自分が休めないことは分かるのだが、でも赤ちゃんが寝ている間だけが両手を自由に使える時間だ。一緒に昼寝をしていたら赤ちゃんの世話以外のことがなにもできなくなってしまう。この1ヵ月で昼寝できたのは、せいぜい2〜3回か・・・

 さて前回の続きの出産ネタ、産後編。
 出産後の自分は、産前にいろいろな人から聞いていた状態よりはるかに元気だった。貧血もなく、当日の夜は普通に食卓を囲んで前夜の残り物を食べたし、メールの送受信もした。お腹(子宮)も空気の抜けた風船のように急激にへこんでいき、翌日、往診(?)に来た助産婦は何事もなかったかのような私のお腹を見て「妊娠なんかしてなかったみたいだね」と感心していた。
 しかし徹夜出産から続く寝不足はきつかった。生後3日間、娘は夜間ほとんど寝てくれなかった。なにごとも初めてで要領も分からず、交代で寝るという頭も働かず、夫婦2人して一晩中おろおろ。娘と一緒に昼間寝ようにも、やらなければならないことが山積していて昼寝どころではない。
 アメリカは病院出産でも日帰りか1泊、帝王切開ですら1〜2泊、Birth Center出産も日帰りだ。自宅出産の私は移動する必要がない分、少しは楽なハズなのだが、病院でも助産院でも1週間入院できる(=1週間は授乳とおむつ交換以外、なにもしなくて済む)日本のシステムをかなり羨ましく感じた。
 助産婦からは、出産後2週間は外出禁止、家事も禁止、授乳とおむつ交換以外はひたすら寝て休むようにと言われた。Doulaも、出産後に無理をすると後々体にがたが来るので、とにかく休めと言う。しっかしアメリカのシステムは休めるようになんか、全然できてない!
 そもそも誕生から3日以内に赤ちゃんを小児科に診せに行かなければならないという時点で、上記の言いつけを守るのは不可能。しかも娘が生まれたのは感謝祭の週の月曜だ。感謝祭前後は日本のお盆前後のようなもので、あてにしていた小児科2軒に「26日(翌週月曜)以降しか診察できない」と断られる。出産翌日の火曜日、あわてて電話帳を引っ張り出し、その週のうちに診てくれる小児科を必死で探す。ちっとも昼寝なんてできやしない。
 水曜日に診てくれる小児科をようやく見つけ、少し遠いが他に選択肢もなく、出産2日後にして遠出ドライブ。この小児科は高い(というか、普通なんだろうけど)ので、できれば出生届に必要な新生児検診の1回だけで終わらせたかったのだが、黄疸が心配だから2日後にまた来るようにと言われ、脱力。親も子も、ここまで来るだけで、えらい疲れるんだっての! しかも金曜日の予約は早朝だし・・・
(この黄疸というのがまたくせ者で、アジア系の新生児は大抵が言われるらしい。友人の子も再検査を受けさせられたそうで、「いい加減、アメリカの医者もアジア系はそういうものだって学んでほしいよね!」と怒っていた。妊娠中は胎児が小さいだの、もっと食えだのと言われ、生まれたら今度は黄疸だと脅される。異国での妊娠出産は実に大変でストレスに満ちたものであることを思い知ったよ・・・)
 仕方なく金曜日に再びこの小児科を訪問したところ、新生児全員が受ける先天性異常の検査と黄疸の検査を、隣の総合病院でまとめて受けるように言われる。どうせ受けなきゃいけないもんなら、水曜日に言ってほしかった。水曜日の初診の診療費120ドルは仕方ないとしても、金曜日はただ血液検査の指示を出しただけなのに83ドルも取りやがって・・・
 隣の総合病院が、これまた最悪。巨大な施設で、受付から会計、検査を受ける場所まで、全部が全部、非常に離れた建物の別の階にありやがる。出産直後+何日も続く寝不足+早起きして遠出=ヘロヘロなところ、さらにさんざん歩かされ、時には立ったまま待たされ、たかが血液検査に1時間半もかかって疲れ果てる。
 しかも! 約1時間後にこの病院から電話があり、「採血した量が少な過ぎて検査ができないから、もう1回採血しに来て」などとぬかしやがった! 採血の時、手際が悪いなぁ、とは思っていたが、本当にふざけるな!って感じ。近隣で昼など食べていて、まだ病院の近くにいたから良かったが、前述のように病院から家まではかなり遠い。すでに家に帰った後でそんな電話があったら完全にキレてた・・・
 2回目の採血の人は手際が良かったからまだ助かったが、家に帰り着いた頃には寝不足+疲労で思考能力ゼロ状態。そこへもってきて、今度は小児科医から電話。血液検査の結果が速効で小児科医に回ったらしく、ビリルビン値(黄疸の指標)が少し高いから、土曜の朝、もう一度血液検査を受けろなどと言いやがる!
 またあんな遠くまで、しかも翌日の「朝」に行くなんて、冗談じゃない! 寝不足状態で朝早くから新生児を連れて出かける大変さは、考えただけでも心の底からイヤになる。殺す気か?!
 なんとか断ろうとしたが、なにしろ小児科医には出生届に必要な書類を書いてもらわねばならない。その書類が人質(?)になっているから拒否しきれない。さんざんごねた挙げ句、どんなに早くても昼より前には行けない、と言うと、実にあっさり「じゃ、昼でいい」とぬかしやがる。だったら最初からそう言ってくれ・・・
 そんなわけで仕方なく土曜日に再び、遠路はるばる総合病院へ。週末のせいか、会計の場所が前日とは異なり、一層遠くの建物まで歩かされたものの、検査自体はすんなり終了。しっかし、先天性異常の検査は全新生児が受けるよう決められているらしいが、別に受けなくても構わない黄疸の検査を2回も受けさせられたお陰で、約150ドルの余分な出費である。
 こうして家族が増えて最初の1週間は、とてつもない睡眠不足と疲労を蓄積しつつ、慌ただしく忙しく過ぎていった。できるだけ寝ていなければと分かっていても、やることは山積、外出も必須。よほど具合が悪ければイヤでも休むのだろうが、下手に元気な分、無理をしてしまって良くないなぁ〜と、しみじみ。

 それにしても、「らいおんハート」の歌詞じゃないが、子どもができたら世界で2番目に愛する存在になるだろう、もちろん1番はダンナと、妊娠中はそう思っていた。夫婦はお互いを1番愛し、その次に子どもを愛することが、家族全員にとって最高の状態である。両親の仲が悪いほど子どもにとって不幸なことはない。自分を誰よりも愛している親なんて、うっとうしくてしょうがない。それより両親の仲がいいほうが、子どもにとってどれだけ有り難いことか。
 しかし生まれてきた我が子を見たら、とてもじゃないが「あなたは2番目」なんて言えなくなった。大きくなって生意気になってきたらまた違うのだろうが、私たちなしではほんのわずかの間も生きられない小さな命が、今は愛おしくて愛おしくて仕方がない。
 実のところ、「我が子が可愛くて愛おしくて仕方がない」という本能がなかったら、あんな手のかかる生き物、誰も面倒見ないかも・・・
(続く)←出産ネタは次回で終わると思います、多分

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