Amazing graceと言う歌がある。一時期ヘイリーウエスタンらが歌って有名になった曲であるが、これはもと奴隷商人が神の恵みにふれて改心した気持ちをあらわした歌である。時はクリスマスシーズン、時々食事にありつきに行っていた教会でこの曲を聴いている時、ジウンに「これ作曲した奴ってもと奴隷商人だろ、散々人を殺しておいて最後の最後に自分は救われた、自分はなんて幸せなことかということをよくもまあまあ歌にして歌えるもんだ、最低な奴じゃねえか、本当に改心したんだったら死を持って償うべきだ」と確かそのようなことをぼろくそ言ったと思う。しかし彼女はそんな私に「ホヨンそういう視点ばかりで物事を見ていたら心がすさんでいくよ、そんなことばかり言っていたら幸せになんてなれないよ」というようなことを言ったのだが、正直、そう言われてドキッとした。確かに私は人間の悪の部分についての指摘は鋭いし、実際そういうことを指摘して人間なんてそんなもんだと思っていた。しかし実際はそう言って勝ち誇ったような気になって、言ったところで自分の心が満たされるわけでもなく、何となくそれが負け惜しみのようなものだと思っていたのだが、彼女は私の心を見透かしているのか、時々こういう確信をついたことを言う。その週の夜ではあるが、ジウンの教会でクリスマス会がもたれるということで私は彼女に誘われて半ば強引にクリスマス会に参加させられた。彼女はクワイヤーに参加していて5曲ぐらい、そこで韓国語と英語のクリスマスの歌を歌ったと思う。そして最後に歌った歌が有名なO Holy Nightである。あっこの歌知っていると聴いていたが、聴いていくうちに不思議な雰囲気につつまれて、そしてなぜか自然と涙があふれてくる、おそらくそれは私がこの曲と言うか彼女たちの歌っている姿に甚く感動をおぼえたからだろう。ある作曲家は歌うことは祈ることだと言ったが、まさにその彼女たちの歌う姿は祈りそのもので、その歌声を天にとどけようとしていた姿に深く感動したのである。人間は本当に高尚なものにふれると自分の罪深さや弱さがわかる、聖書などで神が人の前に現れた時に「こんな罪深い私を」とひれ伏す姿が表現されているが、それは人間なんてそういう大きな存在を前にしたら無力で弱いものだと言うことを表現しているのだと思う。そして徹底して自分の無力さを思い知らされる時、大事なものに気づかされる。以前の私は上から目線でうがった見方で人間なんて所詮こんなもんだとうそぶいていた、所謂自分を絶対化し神の目線で世の中を見ていたと思う。しかし我々が神になったところで、ひとりでは何もできない、ひとりでは自分すら幸せにできない愚かな存在だ。しかし自分がへりくだって、無力だとわかる時、愛し合うことや助け合うこと、そして支え合って生きることの大切さがわかるであろう。人間は同情されたり、愛されたり、助けてもらったりすることで生きている、そしてそれを我々は感謝の気持ちで受け入れることが必要であり、その相互関係が人間の心を豊かにするのだと思う。結局最後の試合で、私は小さな島々のファイナルでまけてしまったが、その時自分の限界を知り、小ささそして無力さを知ることができた。おそらく私のこの体験はアメイジンググレイスの作者にも似た気持であったのだろう。神聖なものにふれて自然と出てくる涙はまさにそうだったと思う。O Holy Nightのさびの部分で「Fall on your knees, O hear the angel voices(ひざまずいて天使の声に耳をかたむけろ)」とあるが、傲慢な態度では天使の声を聞くことはできない、自分の無力さを知りへりくだることで、見える大切なものがあるが、それは平和や確かさにつながるものだと信じている。
May the miracle of Christmas fill your heart with warmth and love. Merry Christmas! 平和なクリスマスをお過ごしください。
May the miracle of Christmas fill your heart with warmth and love. Merry Christmas! 平和なクリスマスをお過ごしください。